「Depolarization-induced suppression of inhibition」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/phsyiol2 橋本谷 祐輝]
''Albert Einstein College of Medicine, Department of Neuroscience''<br>
[http://researchmap.jp/masanobukano 狩野 方伸]</font><br>
''東京大学 大学院医学系研究科 医学部''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年7月17日 原稿完成日:2012年10月1日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br>
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英略称: DSI  
英略称: DSI  


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 Depolarization-induced suppression of inhibition(脱分極誘導性脱抑制)とは[[ニューロン]]が[[脱分極]]したときに、そのニューロンに入力している抑制性シナプス応答が一過性(1〜2分間程度)に抑制される現象をいう(図1)。同じ現象が[[興奮性シナプス]]で起こる場合、[[Depolarization-induced suppression of excitation]] (DSE)と呼ぶ。[[エンドカンナビノイド]]([[内因性カンナビノイド]])が担う[[逆行性シナプス伝達]]の一種である。DSI/DSEのメカニズムは以下のとおりである。脱分極による細胞内への[[カルシウム]]イオン流入によってエンドカンナビノイドの一種である[[2-アラキドノイルグリセロール]](2-AG)が産生される。シナプス後部でつくられた2-AGは細胞外へ放出され、[[シナプス間隙]]を逆行し[[シナプス前終末]]に局在する[[カンナビノイド受容体]]I型(CB1)に結合し活性化する。CB1受容体の活性化によって[[神経伝達物質]]の放出が一過性に抑制される。DSI及びDSEの発生条件として、そのニューロンに2-AGを産生する能力(2-AG合成酵素の有無)があり、かつ入力するシナプス前終末にCB1受容体が存在することが必要である。脳の広範囲のシナプスにおいてDSIやDSEが引き起こされることが知られている。<br>
 Depolarization-induced suppression of inhibition(脱分極誘導性脱抑制)とは[[ニューロン]]が[[脱分極]]したときに、そのニューロンに入力している抑制性シナプス応答が一過性(1〜2分間程度)に抑制される現象をいう(図1)。同じ現象が[[興奮性シナプス]]で起こる場合、[[Depolarization-induced suppression of excitation]] (DSE)と呼ぶ。[[エンドカンナビノイド]]([[内因性カンナビノイド]])が担う[[逆行性シナプス伝達]]の一種である。DSI/DSEのメカニズムは以下のとおりである。脱分極による細胞内への[[カルシウム]]イオン流入によってエンドカンナビノイドの一種である[[2-アラキドノイルグリセロール]](2-AG)が産生される。シナプス後部でつくられた2-AGは細胞外へ放出され、[[シナプス間隙]]を逆行し[[シナプス前終末]]に局在する[[カンナビノイド受容体]]I型(CB1)に結合し活性化する。CB1受容体の活性化によって[[神経伝達物質]]の放出が一過性に抑制される。DSI及びDSEの発生条件として、そのニューロンに2-AGを産生する能力(2-AG合成酵素の有無)があり、かつ入力するシナプス前終末にCB1受容体が存在することが必要である。脳の広範囲のシナプスにおいてDSIやDSEが引き起こされることが知られている。<br>
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== 歴史  ==
== 歴史  ==
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== 参考文献  ==
== 参考文献  ==


<references />  
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<br> (執筆者:橋本谷祐輝、狩野方伸 担当編集委員:柚崎通介)

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