「シナプシン」の版間の差分

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 神経終末におけるシナプス小胞は、[[形質膜]]から離れたところに存在する予備のプールと、刺激が到達した際に直ちに放出可能な形質膜直下のプールを含むリサイクルプールとに大別され、予備のプールが80-90%と大部分を占める。上述の古典的モデルでは、特に、[[Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII|Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII]]([[CaMKII]])によるシナプシンIのリン酸化が、予備のプールから放出可能なプールへのシナプス小胞の移行を促進しているのではないか、と提唱された。
 神経終末におけるシナプス小胞は、[[形質膜]]から離れたところに存在する予備のプールと、刺激が到達した際に直ちに放出可能な形質膜直下のプールを含むリサイクルプールとに大別され、予備のプールが80-90%と大部分を占める。上述の古典的モデルでは、特に、[[Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII|Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII]]([[CaMKII]])によるシナプシンIのリン酸化が、予備のプールから放出可能なプールへのシナプス小胞の移行を促進しているのではないか、と提唱された。


 その後、シナプシンI、II、III遺伝子のノックアウトマウスの作製・解析が進み、近年ではシナプシンI、IIが相補的な役割を果たすと理解され、これらが2量体を形成し、2価性にシナプス小胞に結合して架橋することにより、神経終末においてシナプス小胞の予備のプールを維持・安定化する上で必須の分子であること、またその結果、連続刺激の際に放出可能なシナプス小胞を動員し、シナプス抑圧を制限する上で、特に重要な役割を果たすことがわかってきた<ref name=ref1 /> <ref name=ref2 /> <ref name=ref5>'''M V Khvotchev, J Sun'''<br>Synapsins.<br>Encyclopedia of Neuroscience, Academic Press: 2009, 705-708<br>DOI: 10.1016/B978-008045046-9.01374-7</ref>。
 その後、シナプシンI、II、III遺伝子のノックアウトマウスの作製・解析が進み、近年ではシナプシンI、IIが相補的な役割を果たすと理解され、これらが2量体を形成し、2価性にシナプス小胞に結合して架橋することにより、神経終末においてシナプス小胞の予備のプールを維持・安定化する上で必須の分子であること、またその結果、連続刺激の際に放出可能なシナプス小胞を動員し、シナプス抑圧を制限する上で、特に重要な役割を果たすことがわかってきた<ref name=ref1 /> <ref name=ref2 /> <ref name=ref5>'''M V Khvotchev, J Sun'''<br>Synapsins.<br>Encyclopedia of Neuroscience, Academic Press: 2009, 705-708<br>{{DOI|10.1016/B978-008045046-9.01374-7}}</ref>。


 リン酸化によるシナプシンのタンパク質機能の修飾についても、シナプシンIに特異的なカルボキシル末端側のCaMKIIによるリン酸化よりもむしろ、各シナプシンアイソフォームに共通の、アミノ末端側におけるPKAあるいは[[Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼI|Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼI]]([[CaMKI]])によるリン酸化に注目が集まりつつある<ref name=ref5 />。
 リン酸化によるシナプシンのタンパク質機能の修飾についても、シナプシンIに特異的なカルボキシル末端側のCaMKIIによるリン酸化よりもむしろ、各シナプシンアイソフォームに共通の、アミノ末端側におけるPKAあるいは[[Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼI|Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼI]]([[CaMKI]])によるリン酸化に注目が集まりつつある<ref name=ref5 />。

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