「カスパーゼ」の版間の差分

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===非細胞死機能===
===非細胞死機能===
 カスパーゼ1はIL-1βやIL-18といった直接基質となる[[サイトカイン]]の成熟・分泌に関わるだけではなく、[[bFGF]]のようなシグナル配列を持たないシグナル因子の分泌にも関わることが報告されている。カスパーゼは細胞内での局所的な活性化や、一過性の活性化によってアポトーシス実行から回避されることで、[[細胞分化]]、[[細胞移動|移動]]、[[細胞増殖|増殖]]、細胞形態形成、[[シナプス]]機能調節といった様々な生命現象に関わっている<ref name=ref15><pubmed>25526085</pubmed></ref>。
 カスパーゼ1はIL-1βやIL-18といった直接基質となる[[サイトカイン]]の成熟・分泌に関わるだけではなく、[[bFGF]]のようなシグナル配列を持たないシグナル因子の分泌にも関わることが報告されている。カスパーゼは細胞内での局所的な活性化や、一過性の活性化によってアポトーシス実行から回避されることで、[[細胞分化]]、[[細胞移動|移動]]、[[細胞増殖|増殖]]、細胞形態形成、[[シナプス]]機能調節といった様々な生命現象に関わっている<ref name=ref15><pubmed>25526085</pubmed></ref>。
===カスパーゼの神経系での機能===
 カスパーゼ3、9、あるいはその活性化因子Apaf-1のノックアウトマウスは129系統において神経管閉鎖不全をともなう外脳症を発症する。神経管閉鎖時の細胞死動態を生体イメージングで解析した結果、アポトーシスが抑制された胚では神経管閉鎖速度が減少し、神経管閉鎖後に見られる脳室の拡大が、その時期になってもおきない。発生では一連の形態形成運動が適切なタイミングでおこることが必要であり、神経管閉鎖遅延が脳の形態異常の初期変化をもたらす原因と考えられる<ref name=ref44><pubmed>25710534</pubmed></ref>。
 ショウジョウバエにおける生体イメージングによる観察から、外感覚器前駆細胞(sensory organ precursor: SOP)が作られる時に分化に失敗した細胞がある頻度で出現するが、そのような細胞は選択的にアポトーシスによって除去されることが示されている<ref name=ref44 />。SOPが未分化な神経前駆細胞集団から選ばれる数の調節に関しては、非細胞死機能としてのカスパーゼ活性が関わる<ref name=ref44 />。
 他にも神経系ではカスパーゼが様々な働きをしている。ショウジョウバエ変態期には、神経細胞の一部を除去することで神経系の再編成がおこる。樹状突起の刈り込みは樹状突起局所でのカスパーゼ活性化によって細胞死を伴わないで実行される<ref name=ref44 />。樹状突起分岐形成に関しても、分岐点局所でのカスパーゼ活性が関与することがゼブラフィッシュで報告されている<ref name=ref44 />。哺乳類神経系において、網膜神経節細胞が外側膝状体に投射する際に軸索の刈り込みがおこるが、このプロセスにもカスパーゼが関わる可能性が示されている。
 シナプス形成や機能とカスパーゼとの関連も報告されている。マウス嗅覚神経のシナプス成熟にカスパーゼ活性が関与することが示された<ref name=ref44 />。キンカチョウの歌学習時には後シナプス終末でのカスパーゼ活性化がおこり、その阻害によって長期記憶形成が抑制される<ref name=ref45><pubmed>17178408</pubmed></ref>。哺乳類では長期抑制(LTD)とAMPA受容体の内在化にカスパーゼ3の活性が使われている<ref name=ref46><pubmed>20510932</pubmed></ref>。
 神経変性疾患の発症とカスパーゼとの関連も多く調べられている<ref name=ref47><pubmed>22796265</pubmed></ref>。ハンチントン舞踏病患者およびそのマウスモデルにおいて、ポリグルタミン鎖の伸長したhuntingtinは カスパーゼによって切断を受ける。そしてhuntingtin切断断片が毒性を発揮することが示されている。アルツハイマー病の発症に関わるアミロイド前駆体蛋白質(APP)はカスパーゼ3で切断され、この切断されたAPPはアミロイド形成しやすいAβ42への切断が促進される。また、カスパーゼ3で切断されたC末端断片が細胞内で毒性をもつことも示されている。


==関連項目==
==関連項目==

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