「外国語学習」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
36行目: 36行目:


=== 学習者要因 ===
=== 学習者要因 ===
外国語学習には,学習者の年齢,外国語に対する適性,ストラテジー使用など,学習者の内的要因も影響を及ぼす。
 外国語学習には,学習者の年齢,外国語に対する適性,ストラテジー使用など,学習者の内的要因も影響を及ぼす。


①学習者の年齢:母語の場合は,ある一定の年齢を過ぎると生得的言語習得能力が失われ,習得することができないという,いわゆる「[[臨界期]]」(critical period)がある。外国語の場合もそのような主張がなされたことがあるが<ref>’’’レネバーグ, E. H.(佐藤方哉,神尾昭雄訳)’’’<br>言語の生物学的基礎<br>’’大修館書店’’:1974</ref>,一般に母語並みに習得することは難しくなるが,実際に大人になってからでも習得している人がいることから見ても,言語習得能力が失われるという仮説は否定されている。
* ①学習者の年齢:母語の場合は,ある一定の年齢を過ぎると生得的言語習得能力が失われ,習得することができないという,いわゆる「[[臨界期]]」(critical period)がある。外国語の場合もそのような主張がなされたことがあるが<ref>’’’レネバーグ, E. H.(佐藤方哉,神尾昭雄訳)’’’<br>言語の生物学的基礎<br>’’大修館書店’’:1974</ref>,一般に母語並みに習得することは難しくなるが,実際に大人になってからでも習得している人がいることから見ても,言語習得能力が失われるという仮説は否定されている。


②外国語に対する適性(language aptitude):アメリカの心理学者キャロル(Carroll, J., B)は,①音や音の連続をすばやく聞き分け,記憶保持することができる音の[[符号化]](phonetic coding)に関する能力,②文法構造や機能に気づき,運用できる文法感覚(grammatical sensitivity)に関する能力,③機械的な記憶(rote memory)に関する能力,④言語使用の背後にある規則性や論理性を機能的に類推することができる能力(inductive reasoning)の4つを挙げている<ref>’’’キャロル, J. B.’’’<br>英語の評価と教授<br>’大修館書店’’:1972</ref>。
* ②外国語に対する適性(language aptitude):アメリカの心理学者キャロル(Carroll, J., B)は,①音や音の連続をすばやく聞き分け,記憶保持することができる音の[[符号化]](phonetic coding)に関する能力,②文法構造や機能に気づき,運用できる文法感覚(grammatical sensitivity)に関する能力,③機械的な記憶(rote memory)に関する能力,④言語使用の背後にある規則性や論理性を機能的に類推することができる能力(inductive reasoning)の4つを挙げている<ref>’’’キャロル, J. B.’’’<br>英語の評価と教授<br>’大修館書店’’:1972</ref>。


③優れた学習者が用いる学習ストラテジー(learning strategy):スターン(Stern, H. H.)は,①計画性,②積極性,③感情移入,④形式への注意,⑤実験(試行錯誤),⑥意味への注意,⑦練習,⑧コミュニケーション,⑨モニター(モデルとの自己との比較),⑩内在化の10種類のストラテジーを挙げている<ref>’’’Stern, H. H.’’’<br>Fundamental Concepts of Language Teaching<br>’’Oxford University Press’’:1983</ref>。
* ③優れた学習者が用いる学習ストラテジー(learning strategy):スターン(Stern, H. H.)は,①計画性,②積極性,③感情移入,④形式への注意,⑤実験(試行錯誤),⑥意味への注意,⑦練習,⑧コミュニケーション,⑨モニター(モデルとの自己との比較),⑩内在化の10種類のストラテジーを挙げている<ref>’’’Stern, H. H.’’’<br>Fundamental Concepts of Language Teaching<br>’’Oxford University Press’’:1983</ref>。
*


== 外国語の獲得・処理・学習 ==
== 外国語の獲得・処理・学習 ==
79

回編集

案内メニュー