16,040
回編集
細 (→語彙とは) |
細 (→語彙情報へのアクセス) |
||
15行目: | 15行目: | ||
ある語彙項目が適切に使用されるには、それがどんな音素の組み合わせから構成されるか(音韻情報、phonological information)、どういう意味に対応するか(意味情報、semantic information)、どのような形態素の構成を持つか(形態情報、morphological information)、そして文や句を構成する時にどういう規則に従うか(統語情報、syntactic information)といった情報が少なくとも必要である。ある語彙項目の知識が脳内にあるということは、これらの情報が適切な関係づけの下で保持されていることを意味している。こうした相互に関連する知識の総体が語彙、すなわちメンタル・レキシコンである。 | ある語彙項目が適切に使用されるには、それがどんな音素の組み合わせから構成されるか(音韻情報、phonological information)、どういう意味に対応するか(意味情報、semantic information)、どのような形態素の構成を持つか(形態情報、morphological information)、そして文や句を構成する時にどういう規則に従うか(統語情報、syntactic information)といった情報が少なくとも必要である。ある語彙項目の知識が脳内にあるということは、これらの情報が適切な関係づけの下で保持されていることを意味している。こうした相互に関連する知識の総体が語彙、すなわちメンタル・レキシコンである。 | ||
= 語彙情報へのアクセス | ==語彙情報へのアクセス== | ||
ことばを発したり理解したりするには基本的に語彙情報に対するアクセスが不可欠である。この語彙アクセスがどうやって実現されるかは、ことばに対する応答や発話といった行動を詳細に分析することで間接的に調べられる。行動に基づく語彙アクセスの研究はメンタル・レキシコンの特性を調べる上で中心的な意義を担ってきた。以下では語彙アクセスに関する心理学的知見やモデル研究を紹介する。 | ことばを発したり理解したりするには基本的に語彙情報に対するアクセスが不可欠である。この語彙アクセスがどうやって実現されるかは、ことばに対する応答や発話といった行動を詳細に分析することで間接的に調べられる。行動に基づく語彙アクセスの研究はメンタル・レキシコンの特性を調べる上で中心的な意義を担ってきた。以下では語彙アクセスに関する心理学的知見やモデル研究を紹介する。 | ||
== | ==影響する要因 == | ||
語彙の認識や理解に関する心理学的研究は以前から盛んに行われてきており、単語によってアクセスのしやすさが異なるということが分かっている。このような違いを生む要因としては出現頻度(word frequency)や親密度(word familiarity)といったものがある。使用される頻度が高かったり親密度が高かったりする単語ほど、処理に要する時間は短くなる<ref><pubmed> 6242411 </pubmed></ref><ref><pubmed> 2148581 </pubmed></ref>。 | 語彙の認識や理解に関する心理学的研究は以前から盛んに行われてきており、単語によってアクセスのしやすさが異なるということが分かっている。このような違いを生む要因としては出現頻度(word frequency)や親密度(word familiarity)といったものがある。使用される頻度が高かったり親密度が高かったりする単語ほど、処理に要する時間は短くなる<ref><pubmed> 6242411 </pubmed></ref><ref><pubmed> 2148581 </pubmed></ref>。 |