16,040
回編集
細編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
27行目: | 27行目: | ||
==発現== | ==発現== | ||
代表的なアクチン結合タンパク質の名に恥じず、αアクチニンは基本的にはアクチン線維と共存している。アクチン線維の構造の制御と他のタンパク質をアクチン線維([[細胞骨格]])に結合する[[足場/骨格タンパク質]](scaffold protein)として機能している。[[シナプス]]においては[[シナプス後膜]] (post-synaptic densities、PSD)に局在しアクチン線維と[[NMDA受容体]]の連絡に関与していると考えられている。ACTN2は[[海馬]]の[[歯状回]](dentate gyrus)で[[CA1]]より強く発現している<ref><pubmed>9454847</pubmed></ref | 代表的なアクチン結合タンパク質の名に恥じず、αアクチニンは基本的にはアクチン線維と共存している。アクチン線維の構造の制御と他のタンパク質をアクチン線維([[細胞骨格]])に結合する[[足場/骨格タンパク質]](scaffold protein)として機能している。[[シナプス]]においては[[シナプス後膜]] (post-synaptic densities、PSD)に局在しアクチン線維と[[NMDA受容体]]の連絡に関与していると考えられている。ACTN2は[[海馬]]の[[歯状回]](dentate gyrus)で[[CA1]]より強く発現している<ref><pubmed>9454847</pubmed></ref>。 | ||
84行目: | 84行目: | ||
</gallery> | </gallery> | ||
==疾患との関わり== | |||
細胞骨格と[[wikipedia:ja:悪性腫瘍|悪性腫瘍]]はその浸潤や増殖の過程で様々な関係が報告されていている。いわゆる細胞骨格タンパク質が転写制御を行うことが見いだされているが<ref><pubmed>20593452</pubmed></ref>、αアクチニンについても[[転写]]を活性化することが報告されている<ref name=ref100><pubmed>20037648</pubmed></ref>。[[脳腫瘍]]との関連では、たとえば脳腫瘍のなかで最も悪性の[[glioblastoma]]の浸潤との関連が指摘されている<ref name=ref100 />。 | |||
==その他のアクチニンと名称がつく分子== | ==その他のアクチニンと名称がつく分子== | ||
===βアクチニン=== | ===βアクチニン=== | ||
丸山工作らが報告したβアクチニンは分子量3万程度の2個のサブユニットからなるヘテロダイマーである。当初、βアクチニンは骨格筋のZ膜側とは反対側(矢じり端<*注1>)に結合して、アクチンフィラメントの長さを一定に保つ機能が推定されていた。1981年にはProc Natl Acad Sciにβアクチニンは[[wikipedia:JA:アルブミン|アルブミン]]であるという論文が掲載されたが、さすがにこれは誤報であった<*注2>。しかし、1987年にZ膜から反矢じり端結合タンパク質が精製され、[[CapZ]]と命名された。CapZはβアクチニンに他ならなかった。βアクチニンが矢じり端に結合すると思われたのは混和タンパク質([[トロポモジュリン]])によるものと結論された。このためβアクチニンの名前はほぼ消滅し、現在はCapZが定着している。 | |||
CapZは骨格筋と[[wikipedia:JA:心筋|心筋]]で見いだされおり、[[wikipedia:JA:Z膜|Z膜]]へアクチン線維を固定化している。マウスではCapZの部分欠損は[[プロテインキナーゼ]]C系シグナル伝達が低下し、心筋肥大と生後早期死亡をもたらす<ref><pubmed>22155006</pubmed></ref>。 | CapZは骨格筋と[[wikipedia:JA:心筋|心筋]]で見いだされおり、[[wikipedia:JA:Z膜|Z膜]]へアクチン線維を固定化している。マウスではCapZの部分欠損は[[プロテインキナーゼ]]C系シグナル伝達が低下し、心筋肥大と生後早期死亡をもたらす<ref><pubmed>22155006</pubmed></ref>。 | ||
95行目: | 95行目: | ||
<*注2> 丸山工作は反論の論文をProc Natl Acad Sci誌が掲載を認めないことに不満を唱えた。結局、反論論文はJ. Biochem<ref><pubmed>7298603</pubmed></ref>に掲載された。 | <*注2> 丸山工作は反論の論文をProc Natl Acad Sci誌が掲載を認めないことに不満を唱えた。結局、反論論文はJ. Biochem<ref><pubmed>7298603</pubmed></ref>に掲載された。 | ||
<gallery widths=250px heights=300px> | <gallery widths=250px heights=300px> |