9,444
回編集
細編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
21行目: | 21行目: | ||
== 空間座標系 == | == 空間座標系 == | ||
[[image:座標系1.jpg|thumb|350px|'''図1.眼球中心、頭部中心、身体中心、外界中心座標系で表現される対象物'''<br> | |||
a. 上からみた模式図。眼球(青)、頭部(ピンク)、身体(茶)対象物(黒)。<br> | |||
b. 眼球だけを回転させる。眼球中心座標系で表現される対象物(青丸)は、眼球の回転に伴って表現される。<br> | |||
c. 眼球と頭部を回転させる。頭部中心座標系で表現される対象物(赤丸)は、頭部の回転にのみ伴って表現される。<br> | |||
d. 眼球、頭部、身体を回転させる。身体中心座標系で表現される対象物(茶丸)は、身体の回転にのみ伴って表現される。外界中心座標系で表現される対象物(黒丸)は,眼球、頭部、身体の動きに対して不変である。]] | |||
===網膜座標系・網膜中心座標系=== | ===網膜座標系・網膜中心座標系=== | ||
54行目: | 59行目: | ||
===外界中心座標系・環境中心座標系=== | ===外界中心座標系・環境中心座標系=== | ||
world-centered coordinates | world-centered coordinates | ||
68行目: | 67行目: | ||
空間座標は主に、視覚の背側経路にて表現され、特に頭頂連合野には複数の座標表現が存在する。このような脳内の空間座標は、運動や空間記憶、行動決定などの行動に使われる。特に運動にとっては、欠くことができない。使われる空間座標は、運動の効果器によって異なるのは当然であり、脳内のある特定の運動を制御する領域に、その運動が必要とする座標表現が存在する。例えば、網膜中心座標系や眼球中心座標系は、眼球運動に使われるが、これらは眼球運動の制御に関わる上丘、LIP等で表現される。眼球中心座標系や頭部中心座標系や身体中心座標系、あるいは身体部位中心座標系は到達運動に取って必要であるが、これらは到達運動に関わるPRRやMIP、VIP、V6A等で表現されている。また、物体中心座標系に関わる神経活動は、把持運動に関わるAIPで見つかる。また、移動に関しては、外界中心座標系(環境中心座標系)がもちいられるが、場所の記憶やナビゲーションに関わる内側頭頂葉、後部帯状回皮質や脳梁膨大部後部領域、内側側頭皮質などが、このような空間表現を持っている。以上を以下の表にまとめる。 | 空間座標は主に、視覚の背側経路にて表現され、特に頭頂連合野には複数の座標表現が存在する。このような脳内の空間座標は、運動や空間記憶、行動決定などの行動に使われる。特に運動にとっては、欠くことができない。使われる空間座標は、運動の効果器によって異なるのは当然であり、脳内のある特定の運動を制御する領域に、その運動が必要とする座標表現が存在する。例えば、網膜中心座標系や眼球中心座標系は、眼球運動に使われるが、これらは眼球運動の制御に関わる上丘、LIP等で表現される。眼球中心座標系や頭部中心座標系や身体中心座標系、あるいは身体部位中心座標系は到達運動に取って必要であるが、これらは到達運動に関わるPRRやMIP、VIP、V6A等で表現されている。また、物体中心座標系に関わる神経活動は、把持運動に関わるAIPで見つかる。また、移動に関しては、外界中心座標系(環境中心座標系)がもちいられるが、場所の記憶やナビゲーションに関わる内側頭頂葉、後部帯状回皮質や脳梁膨大部後部領域、内側側頭皮質などが、このような空間表現を持っている。以上を以下の表にまとめる。 | ||
{ class="wikitable" style="float-right" | |||
|+ 表 | |||
|- | |||
| '''座標系''' | |||
| 網膜中心座標系 | |||
| 網膜中心座標系 | |||
| 頭部/身体中心座標系 | |||
| 身体部位中心座標系 | |||
| 物体中心座標系 | |||
| 外界中心座標系 | |||
|- | |||
| '''脳領域''' | |||
| 外側膝状体、上丘、視床枕、V1、V2、V3、V4、LIP、FEF | |||
| MIP、PRR、LIP、V3A | |||
| VIP、V6A、LIP | |||
| VIP、被殻、F4 | |||
| 7a、AIP、F5 | |||
| LIP、内側頭頂葉、後部帯状回皮質や脳梁膨大部後部領域、海馬 | |||
|- | |||
| '''参考文献''' | |||
| <ref name=ref1 /> <ref name=ref8 /> <ref name=ref9 /> <ref name=ref10 /> <ref name=ref11 /> <ref name=ref12 /> <ref name=ref13 /> <ref name=ref14 /> | |||
| <ref name=ref1 /> <ref name=ref12 /> <ref name=ref15 /> <ref name=ref16 /> | |||
| <ref name=ref12 /> <ref name=ref20 /> <ref name=ref21 /> <ref name=ref22 /> | |||
| <ref name=ref3 /> <ref name=ref23 /> <ref name=ref24 /> | |||
| <ref name=ref26 /> <ref name=ref27 /> <ref name=ref28 /> | |||
| <ref name=ref5 /> <ref name=ref20 /> | |||
|- | |||
|} | |||
== 関節・筋座標系 == | == 関節・筋座標系 == |