「SNAP-25」の版間の差分

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===リン酸化===
===リン酸化===
 Ser187が[[プロテインキナーゼC]]([[PKC]])によってリン酸化されるとシンタキシンとの結合が強まり、Ca<sup>2+</sup>非依存的なシナプトタグミン1との結合が低下する<ref name=ref25><pubmed>8662851</pubmed></ref> <ref name=ref26><pubmed>17325194</pubmed></ref>。SNAP-25は[[cAMP依存性タンパク質キナーゼ]]([[PKA]])によってもThr138がリン酸化されるが、この場合にはシンタキシンおよびシナプトタグミン1との結合はいずれも抑制される<ref name=ref26 />。[[セロトニン]]などの[[メタボリックレセプター]]が活性化されると、開口放出による神経伝達物質放出が抑制されることが知られている。活性化型[[Gタンパク質]]である[[Gβγ]]はSNAP-25と直接結合し、結合部位としてAsp99, Lys102, Arg198, Lys201を含む膜に近い部位と、Arg135、Arg136、Arg161、Arg142を含む2か所が同定され、セロトニンレセプターの活性化に伴う放出抑制にはC末端に近いArg198, Lys201へのGβγの結合が関与することが示されている<ref name=ref27><pubmed>22962332</pubmed></ref>。
 Ser187が[[プロテインキナーゼC]]([[PKC]])によってリン酸化されるとシンタキシンとの結合が強まり、Ca<sup>2+</sup>非依存的なシナプトタグミン1との結合が低下する<ref name=ref25><pubmed>8662851</pubmed></ref> <ref name=ref26><pubmed>17325194</pubmed></ref>。SNAP-25は[[cAMP依存性タンパク質キナーゼ]]([[PKA]])によってもThr138がリン酸化されるが、この場合にはシンタキシンおよびシナプトタグミン1との結合はいずれも抑制される<ref name=ref26 />。[[セロトニン]]などの[[メタボリックレセプター]]が活性化されると、開口放出による神経伝達物質放出が抑制されることが知られている。活性化型[[Gタンパク質]]である[[Gβγ]]はSNAP-25と直接結合し、結合部位としてAsp99, Lys102, Arg198, Lys201を含む膜に近い部位と、Arg135、Arg136、Arg161、Arg142を含む2か所が同定され、セロトニン受容体の活性化に伴う放出抑制にはC末端に近いArg198, Lys201へのGβγの結合が関与することが示されている<ref name=ref27><pubmed>22962332</pubmed></ref>。


===ボツリヌス毒素による分解===
===ボツリヌス毒素による分解===
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 SNARE複合体形成に際しては、構成する4本のへリックスの中でQcおよびQbの2本のへリックスを供出する。SNAP-25がBoNT/Eで切断を受けると神経伝達物質放出が見られなくなることや<ref name=ref5 />、SNAP-25の[[KOマウス]]ではCa<sup>2+</sup>誘発性の神経伝達物質放出が見られないこと<ref name=ref6 />、SNAP-25とsyntaxinを組み込んだリポゾームをVAMP-2を組み込んだ[[リポゾーム]]を混ぜるとリポゾーム同士の[[膜融合]]が起こることなどから<ref name=ref33><pubmed>25997356</pubmed></ref>、SNAP-25は開口放出による神経伝達物質放出に必須なタンパク質であると結論されている。SNAP-25は内分泌細胞にも発現し、水溶性ホルモン分泌に不可欠な役割を果たしている。
 SNARE複合体形成に際しては、構成する4本のへリックスの中でQcおよびQbの2本のへリックスを供出する。SNAP-25がBoNT/Eで切断を受けると神経伝達物質放出が見られなくなることや<ref name=ref5 />、SNAP-25の[[KOマウス]]ではCa<sup>2+</sup>誘発性の神経伝達物質放出が見られないこと<ref name=ref6 />、SNAP-25とsyntaxinを組み込んだリポゾームをVAMP-2を組み込んだ[[リポゾーム]]を混ぜるとリポゾーム同士の[[膜融合]]が起こることなどから<ref name=ref33><pubmed>25997356</pubmed></ref>、SNAP-25は開口放出による神経伝達物質放出に必須なタンパク質であると結論されている。SNAP-25は内分泌細胞にも発現し、水溶性ホルモン分泌に不可欠な役割を果たしている。


 開口放出は小胞内の内容物を放出する以外にも、小胞膜上のタンパク質を細胞膜に組み込んだり、細胞膜を伸長させたりする機能も持っている。SNAP-25は[[電位依存性カルシウムチャネル]]や[[アクアポリン]]などのチャネルタンパク質や[[NMDA型グルタミン酸|NMDA型]]および[[AMPA型グルタミン酸]]レセプターなどの細胞膜への組み込みに関与していることが示されている<ref name=ref34><pubmed>11276228</pubmed></ref> <ref name=ref35><pubmed>11487629</pubmed></ref> <ref name=ref36><pubmed>17624753</pubmed></ref> <ref name=ref37><pubmed>18162553</pubmed></ref> <ref name=ref38><pubmed>19679075</pubmed></ref> <ref name=ref39><pubmed>20053906</pubmed></ref> <ref name=ref40><pubmed>20118925</pubmed></ref> <ref name=ref41><pubmed>25565955</pubmed></ref>。
 開口放出は小胞内の内容物を放出する以外にも、小胞膜上のタンパク質を細胞膜に組み込んだり、細胞膜を伸長させたりする機能も持っている。SNAP-25は[[電位依存性カルシウムチャネル]]や[[アクアポリン]]などのチャネルタンパク質や[[NMDA型グルタミン酸|NMDA型]]および[[AMPA型グルタミン酸]]受容体などの細胞膜への組み込みに関与していることが示されている<ref name=ref34><pubmed>11276228</pubmed></ref> <ref name=ref35><pubmed>11487629</pubmed></ref> <ref name=ref36><pubmed>17624753</pubmed></ref> <ref name=ref37><pubmed>18162553</pubmed></ref> <ref name=ref38><pubmed>19679075</pubmed></ref> <ref name=ref39><pubmed>20053906</pubmed></ref> <ref name=ref40><pubmed>20118925</pubmed></ref> <ref name=ref41><pubmed>25565955</pubmed></ref>。


 さらにSNAP-25は[[成長円錐]]にも局在し、成長円錐の伸長に関わるほか<ref name=ref42><pubmed>19805073</pubmed></ref>、[[アダプタータンパク質]]である[[p140Cap]]と相互作用して[[樹状突起スパイン]]の形成にも関与することが示されている<ref name=ref43><pubmed>23868368</pubmed></ref>。しかしSNAP-25のノックアウトマウスでは、出生時に脳の構造に異常は認められないことから、これらの機能は出生後に起こる[[シナプス可塑性]]に関わっている可能性が高い。
 さらにSNAP-25は[[成長円錐]]にも局在し、成長円錐の伸長に関わるほか<ref name=ref42><pubmed>19805073</pubmed></ref>、[[アダプタータンパク質]]である[[p140Cap]]と相互作用して[[樹状突起スパイン]]の形成にも関与することが示されている<ref name=ref43><pubmed>23868368</pubmed></ref>。しかしSNAP-25のノックアウトマウスでは、出生時に脳の構造に異常は認められないことから、これらの機能は出生後に起こる[[シナプス可塑性]]に関わっている可能性が高い。

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