「小脳原基」の版間の差分

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== 小脳原基発生領域決定の分子機構 ==
== 小脳原基発生領域決定の分子機構 ==
 小脳原基の派生する後脳の第一分節は、[[ホメオボックス]]型[[転写因子]]であるGbx2陽性、かつOtx2およびHoxa2陰性の領域として発生初期に分子的に定義される(3, 4)。[[遺伝子組み換え動物]]を用いた実験から、Otx2およびGbx2転写因子は相互的に発現を抑制することで第一分節の吻側境界を決定すること(5-7)、また一方で、Hoxa2が第二分節より尾側で発現することにより、小[[脳神経]]細胞の[[分化]]を抑制していることが知られている(8, 9)。Otx2の下流因子であるLmx1bは発現細胞において[[分泌]]たんぱく質[[Wnt1]]の発現を誘導する。Wnt1が隣接細胞でFgf8の発現を誘導し(10)、Fgf8がOtx2の発現を負に制御することにより(11, 12)、厳密に中脳小脳の境界領域、峡部(isthmus)が形成される(図1)。第一分節を規定するこれらの因子に加え、ホメオボックス型転写因子En1やEn2は中脳から第一分節内の吻側領域にかけて発現し、小脳吻側部分の領域決定に関与する(13)が、領域決定後も小脳小葉形成などに関わっている(14, 15)。
 小脳原基の派生する後脳の第一分節は、[[ホメオボックス]]型[[転写因子]]である[[Gbx2]]陽性、かつ[[Otx2]]および[[Hoxa2]]陰性の領域として発生初期に分子的に定義される<ref><pubmed>9012500</pubmed></ref><ref><pubmed>10498676</pubmed></ref>(3, 4)。[[遺伝子組み換え動物]]を用いた実験から、Otx2およびGbx2転写因子は相互的に発現を抑制することで第一分節の吻側境界を決定すること<ref><pubmed>10490025</pubmed></ref><ref><pubmed>9247335</pubmed></ref><ref><pubmed>10704829</pubmed></ref>(5-7)、また一方で、Hoxa2が第二分節より尾側で発現することにより、小[[脳神経]]細胞の[[分化]]を抑制していることが知られている<ref><pubmed>9367425</pubmed></ref><ref><pubmed>15198802</pubmed></ref>(8, 9)。Otx2の下流因子であるLmx1bは発現細胞において[[分泌]]たんぱく質[[Wnt1]]の発現を誘導する。Wnt1が隣接細胞でFgf8の発現を誘導し<ref><pubmed>12399317</pubmed></ref>(10)、Fgf8がOtx2の発現を負に制御することにより<ref><pubmed>10518499</pubmed></ref><ref><pubmed>10021338</pubmed></ref>(11, 12)、厳密に中脳小脳の境界領域、峡部(isthmus)が形成される('''図1''')。第一分節を規定するこれらの因子に加え、ホメオボックス型転写因子En1やEn2は中脳から第一分節内の吻側領域にかけて発現し、小脳吻側部分の領域決定に関与する<ref><pubmed>7925010</pubmed></ref>(13)が、領域決定後も小脳小葉形成などに関わっている<ref><pubmed>20081196</pubmed></ref><ref><pubmed>19020009</pubmed></ref>(14, 15)。


== 哺乳類小脳原基において生み出される細胞群 ==
== 哺乳類小脳原基において生み出される細胞群 ==

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