「小脳原基」の版間の差分

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== 小脳原基とは ==
== 小脳原基とは ==
 [[小脳]]原基は成体において小脳となる部分であり、発生期において、筒状の構造をもつ[[神経管]]の[[中脳]]後脳境界部尾側(後脳側)から派生する菱状の空間、[[第四脳室]]の上唇部に由来する。後脳領域は発生初期にロンボメアと呼ばれる分節構造を形成し、各分節構造から決まった神経器官が生じる。小脳原基はその第一分節の[[翼板]]が発達、肥大することにより、後脳背側部に形成される。[[ヒト]]では受精後7-9週齢で翼板の肥大が起こり、10週齢までに左右の小脳原基は正中線で融合する(1)。一方、[[マウス]]では受精後7-8日目からこれらの現象が観察される。小脳発生領域は種をまたいで保存されている一方、生み出される小脳細胞の種類や[[神経前駆細胞]]の移動経路が種間で異なるため、最終的には[[脊椎動物]]間、例えば[[両生類]]、[[鳥類]]、[[哺乳類]]で構造がかなり異なる(2)。特に小脳顆粒前駆細胞の分裂が見られるのは鳥類以降の高等[[動物]]であり、その結果、より複雑な小脳構造が形成される。
 [[小脳]]原基は成体において小脳となる部分であり、発生期において、筒状の構造をもつ[[神経管]]の[[中脳]]後脳境界部尾側(後脳側)から派生する菱状の空間、[[第四脳室]]の上唇部に由来する。後脳領域は発生初期にロンボメアと呼ばれる分節構造を形成し、各分節構造から決まった神経器官が生じる。小脳原基はその第一分節の[[翼板]]が発達、肥大することにより、後脳背側部に形成される。[[ヒト]]では受精後7-9週齢で翼板の肥大が起こり、10週齢までに左右の小脳原基は正中線で融合する<ref><pubmed>21380713</pubmed></ref>(1)。一方、[[マウス]]では受精後7-8日目からこれらの現象が観察される。小脳発生領域は種をまたいで保存されている一方、生み出される小脳細胞の種類や[[神経前駆細胞]]の移動経路が種間で異なるため、最終的には[[脊椎動物]]間、例えば[[両生類]]、[[鳥類]]、[[哺乳類]]で構造がかなり異なる<ref><pubmed>25336734</pubmed></ref>(2)。特に小脳顆粒前駆細胞の分裂が見られるのは鳥類以降の高等[[動物]]であり、その結果、より複雑な小脳構造が形成される。


== 小脳原基発生領域決定の分子機構 ==
== 小脳原基発生領域決定の分子機構 ==

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