「Transient receptor potentialチャネル」の版間の差分

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 すべてのTRPCチャネルが脳の様々な領域に発現しており<ref name=Vennekens2012><pubmed>23184016</pubmed></ref> 、一般的には受容体活性化型陽イオンチャネルとして機能している。マウスにおいてTRPC1は[[小脳]]、[[海馬]]、[[大脳基底核]]、[[扁桃体]]、[[前脳]]など様々な領域で、TRPC4は、海馬、大脳皮質、小脳で発現が確認されている。
 すべてのTRPCチャネルが脳の様々な領域に発現しており<ref name=Vennekens2012><pubmed>23184016</pubmed></ref> 、一般的には受容体活性化型陽イオンチャネルとして機能している。マウスにおいてTRPC1は[[小脳]]、[[海馬]]、[[大脳基底核]]、[[扁桃体]]、[[前脳]]など様々な領域で、TRPC4は、海馬、大脳皮質、小脳で発現が確認されている。


 TRPC1とTRPC5の発現部位が似ていることから、TRPC1とTRPC5によるヘテロマーチャネルの形成が疑われたが、十分な証拠は今のところ得られていない。機能的にTRPC1は[[脳由来神経栄養因子]](BDNF)や[[ネトリン-1]]による[[軸索誘導]]に関係している。また、培養された海馬ニューロンでは、TRPC4の発現は[[神経突起]]伸長・分岐を阻害し、TRPC5もまた神経突起伸長や[[成長円錐]]形態を阻害することが知られている。これらの知見により、TRPC4/TRPC5は適切な脳の発達に必要な神経突起伸長に対する負の制御において重要な役割を担っていると考えられる。TRPC1/TRPC4/TRPC5は、[[てんかん]]に関連しているという報告もある。
 TRPC1とTRPC5の発現部位が似ていることから、TRPC1とTRPC5によるヘテロマーチャネルの形成が疑われたが、十分な証拠は今のところ得られていない。


 TRPC3は[[前頭前皮質]]と小脳、[[アストロサイト]] <u>(編集部コメント:前頭前皮質と小脳は脳の領域である一方、アストロサイトは細胞種であることから、並列に書くのは奇異な気がします。いかにも同様なところがあります。) </u>に発現している。またTRPC3は[[プルキンエ細胞]]に豊富に発現しており、[[代謝型グルタミン酸受容体]]依存的なシナプスのシグナル伝達に重要であるため、歩行などの運動の協調性を制御する。
 機能的にTRPC1は[[脳由来神経栄養因子]](BDNF)や[[ネトリン-1]]による[[軸索誘導]]に関係している。また、培養された海馬ニューロンでは、TRPC4の発現は[[神経突起]]伸長・分岐を阻害し、TRPC5もまた神経突起伸長や[[成長円錐]]形態を阻害することが知られている(ref)。これらの知見により、TRPC4/TRPC5は適切な脳の発達に必要な神経突起伸長に対する負の制御において重要な役割を担っていると考えられる。


 TRPC3と[[TRPC6]]は、小脳[[顆粒細胞]]においてBDNFによる神経保護において重要な役割を担っている。
 TRPC1/TRPC4/TRPC5は、[[てんかん]]に関連しているという報告もある(ref)。


 ラットの海馬においてTRPC6は興奮性後シナプスに局在しており、TRPC6の過剰発現は、海馬ニューロンにおける[[スパイン]]の数を増加させ、[[モリス水迷路試験]]において[[空間認知]][[空間記憶]]を増強させることから、TRPC6は[[シナプス可塑性]]と行動可塑性において機能的な役割を担うと考えられる。
 TRPC3は[[前頭前皮質]]と小脳、[[アストロサイト]] <u>(編集部コメント:前頭前皮質と小脳は脳の領域である一方、アストロサイトは細胞種であることから、並列に書くのは奇異な気がします。いかにも同様なところがあります。) </u>に発現している。またTRPC3は[[プルキンエ細胞]]に豊富に発現しており、[[代謝型グルタミン酸受容体]]依存的なシナプスのシグナル伝達に重要であるため、歩行などの運動の協調性を制御する(ref)。


 TRPC3は、[[プロテインキナーゼCγ|プロテインキナーゼC(PKC)γ]]の変異から生じる[[脊髄小脳運動失調症]] ([[spinocerebellar ataxia type 14]])と関係していると考えられている。
 TRPC3と[[TRPC6]]は、小脳[[顆粒細胞]]においてBDNFによる神経保護において重要な役割を担っている(ref)。


 [[ピロカルピン]]誘導[[てんかん重積]]状態ラットでは、[[歯状回]]顆粒細胞だけでなく[[CA1]]、[[CA3]][[錐体細胞]]においても、TRPC3の発現は著しく増強されるがTRPC6は減少することから、TRPC3はてんかん重積状態において有害な役割を担うと考えられる。
 ラットの海馬においてTRPC6は興奮性後シナプスに局在しており、TRPC6の過剰発現は、海馬ニューロンにおける[[スパイン]]の数を増加させ、[[モリス水迷路試験]]において[[空間認知]]・[[空間記憶]]を増強させることから、TRPC6は[[シナプス可塑性]]と行動可塑性において機能的な役割を担うと考えられる(ref)。
 
 TRPC3は、[[プロテインキナーゼCγ|プロテインキナーゼC(PKC)γ]]の変異から生じる[[脊髄小脳運動失調症]] ([[spinocerebellar ataxia type 14]])と関係していると考えられている(ref)。
 
 [[ピロカルピン]]誘導[[てんかん重積]]状態ラットでは、[[歯状回]]顆粒細胞だけでなく[[CA1]]、[[CA3]][[錐体細胞]]においても、TRPC3の発現は著しく増強されるがTRPC6は減少することから、TRPC3はてんかん重積状態において有害な役割を担うと考えられる(ref)。


=== TRPM ===
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