「近赤外線スペクトロスコピー」の版間の差分

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=== 定量的Hb濃度計測 ===  
=== 定量的Hb濃度計測 ===  
                  
                  
 上で述べたように、一般に市販されている装置(CW計測装置)から得られる信号は、 Hb濃度変化に光路長が掛け合わさった値で、脳賦活時のように血流変化が脳内に限局している場合には、血流変化の生じている部分の光路長(部分光路長)との積になる(図2)。CW計測による[[光トポグラフィ]]では、多チャンネル装置を用いて複数の領域を計測し、各計測領域の光路長は照射-受光間距離が同じなら一定であると仮定して、得られる画像はHbの濃度変化のマッピングを示していることになっている。しかし、光路長は照射-受光間距離が同じでも計測部位によって異なり、さらに、部分光路長と総光路長は負の関係にあるため(照射-受光間距離が一定の場合、総光路長が長いほど部分光路長は短い<ref name=ref6><pubmed>16409097</pubmed></ref>)、信号の振幅は必ずしもHb濃度変化の大きさを示しているわけではなく、計測領域全体でHb濃度が一様に変化した場合は、光路長のマッピングを示している可能性もある。しかし、図1に示した[[時間分解計測法]](time-resolved spectroscopy, TRS)や[[位相分解計測法]](phase-resolved spectroscopy, PRS)を用いて総光路長を計測することはできても、現時点では部分光路長を実測することは不可能であるため、拡張ベア・ランバート則に基づくCW計測で、脳活動に連動するHb濃度変化を定量的に算出することはできない。さらに、NIRS計測では照射と受光ファイバペアの位置によって、信号の振幅は異なるため、NIRS信号の振幅の部位間・個体間比較は、血流反応の大小の比較にはならない。
 上で述べたように、一般に市販されている装置(CW計測装置)から得られる信号は、 Hb濃度変化に光路長が掛け合わさった値で、脳賦活時のように血流変化が脳内に限局している場合には、血流変化の生じている部分の光路長(部分光路長)との積になる(図2)。CW計測による[[光トポグラフィー]]では、多チャンネル装置を用いて複数の領域を計測し、各計測領域の光路長は照射-受光間距離が同じなら一定であると仮定して、得られる画像はHbの濃度変化のマッピングを示していることになっている。しかし、光路長は照射-受光間距離が同じでも計測部位によって異なり、さらに、部分光路長と総光路長は負の関係にあるため(照射-受光間距離が一定の場合、総光路長が長いほど部分光路長は短い<ref name=ref6><pubmed>16409097</pubmed></ref>)、信号の振幅は必ずしもHb濃度変化の大きさを示しているわけではなく、計測領域全体でHb濃度が一様に変化した場合は、光路長のマッピングを示している可能性もある。しかし、図1に示した[[時間分解計測法]](time-resolved spectroscopy, TRS)や[[位相分解計測法]](phase-resolved spectroscopy, PRS)を用いて総光路長を計測することはできても、現時点では部分光路長を実測することは不可能であるため、拡張ベア・ランバート則に基づくCW計測で、脳活動に連動するHb濃度変化を定量的に算出することはできない。さらに、NIRS計測では照射と受光ファイバペアの位置によって、信号の振幅は異なるため、NIRS信号の振幅の部位間・個体間比較は、血流反応の大小の比較にはならない。


=== 選択的脳内Hb濃度計測 ===  
=== 選択的脳内Hb濃度計測 ===  

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