「ヒストンメチル基転移酵素」の版間の差分

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===脳神経系疾患===
===脳神経系疾患===
====ヒストンリジンメチル基転移酵素====
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 Setdb1は、脳腫瘍において一般的に過剰発現され、主にヒストンH3K9me3を誘導し、腫瘍抑制遺伝子の発現を抑制する<ref name=Sepsa2015><pubmed>25602259</pubmed></ref>。また、統合失調症やうつ病などの気分関連障害、認知障害では、Setdb1の発現が上昇し、Grin2Bの発現を抑制する<ref name=Bharadwaj2014><pubmed>25467983</pubmed></ref><ref name=Avramopoulos2007><pubmed>18007143</pubmed></ref>。これらの疾患では、陰性症状優位の表現型や疾患予後の悪化と関連している。さらに、ハンチントン病ではSetdb1の発現が上昇し、ハンチントン病の病因に関与する重要な遺伝子の発現低下と関連するとの報告がある<ref name=Ryu2006><pubmed>17142323</pubmed></ref>。
 Setdb1は、[[脳腫瘍]]において一般的に過剰発現され、主にヒストンH3K9me3を誘導し、[[腫瘍抑制遺伝子]]の発現を抑制する<ref name=Sepsa2015><pubmed>25602259</pubmed></ref>。また、[[統合失調症]]や[[うつ病]]などの[[気分障害]]、[[認知障害]]では、Setdb1の発現が上昇し、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]サブユニット[[Grin2B]]の発現を抑制する<ref name=Bharadwaj2014><pubmed>25467983</pubmed></ref><ref name=Avramopoulos2007><pubmed>18007143</pubmed></ref>。これらの疾患では、陰性症状優位の表現型や疾患予後の悪化と関連している。さらに、ハンチントン病ではSetdb1の発現が上昇し、ハンチントン病の病因に関与する重要な遺伝子の発現低下と関連するとの報告がある<ref name=Ryu2006><pubmed>17142323</pubmed></ref>。


 一方、Setdb1遺伝子が欠損すると、シナプス形成に重要なIL1RAPL1 (Interleukin-1 receptor accessory protein-like 1)遺伝子のエンハンサーが活性化され、その発現が亢進する<ref name=Sun2018><pubmed>30103804</pubmed></ref><ref name=Markouli2021><pubmed>33279625</pubmed></ref>。この遺伝子の発現亢進がASDを含む精神・神経疾患の原因である可能性が示されている。  
 一方、Setdb1遺伝子が欠損すると、シナプス形成に重要なIL1RAPL1 (Interleukin-1 receptor accessory protein-like 1)遺伝子のエンハンサーが活性化され、その発現が亢進する<ref name=Sun2018><pubmed>30103804</pubmed></ref><ref name=Markouli2021><pubmed>33279625</pubmed></ref>。この遺伝子の発現亢進がASDを含む精神・神経疾患の原因である可能性が示されている。  
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 さらにPrmt1 は、アポトーシス促進性のBCL-2 antagonist of cell death(BAD)タンパク質をメチル化することによりAktからのリン酸化を阻害し、その結果アポトーシスを亢進させることが示されている<ref name=Sakamaki2011><pubmed>21444773</pubmed></ref>。最近の報告によると、Btg1ノックアウト髄芽腫モデルマウスでは、Prmt1の発現が増加し、このPrmt1-BAD軸を介して腫瘍のアポトーシスを亢進することで、腫瘍の発生を抑制している。<ref name=Ceccarelli2020><pubmed>32231994</pubmed></ref>。一方で神経膠腫細胞株においてPrmt1をノックダウンすると、細胞周期が停止し、アポトーシスに至った<ref name=Wang2012><pubmed>22917032</pubmed></ref>。これらの結果は、Prmt1が様々な種類の腫瘍細胞において異なる機能を果たす可能性を示唆している。
 さらにPrmt1 は、アポトーシス促進性のBCL-2 antagonist of cell death(BAD)タンパク質をメチル化することによりAktからのリン酸化を阻害し、その結果アポトーシスを亢進させることが示されている<ref name=Sakamaki2011><pubmed>21444773</pubmed></ref>。最近の報告によると、Btg1ノックアウト髄芽腫モデルマウスでは、Prmt1の発現が増加し、このPrmt1-BAD軸を介して腫瘍のアポトーシスを亢進することで、腫瘍の発生を抑制している。<ref name=Ceccarelli2020><pubmed>32231994</pubmed></ref>。一方で神経膠腫細胞株においてPrmt1をノックダウンすると、細胞周期が停止し、アポトーシスに至った<ref name=Wang2012><pubmed>22917032</pubmed></ref>。これらの結果は、Prmt1が様々な種類の腫瘍細胞において異なる機能を果たす可能性を示唆している。
===腫瘍===
===腫瘍===
====ヒストンリジンメチル基転移酵素====
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