「標的認識」の版間の差分

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=== 大脳皮質での領域特異的ターゲティング===  
=== 大脳皮質での領域特異的ターゲティング===  


[[Image:辞典06.jpg|thumb|200px|'''図6.大脳皮質での領域特異的なターゲティング'''<br>マウスのE14の脳において、[[体性感覚]]の情報は[[体性感覚野]]へ(SM)また、[[辺縁系]]からの情報は[[辺縁系皮質領域]]へ(PR)、それぞれ投射する。PRの領域には[[LAMP]]という細胞接着因子が発現している。この時期にLAMP陽性の皮質領域を感覚野へ移植すると辺縁系からの線維は移植された感覚野へ投射する様になる。]]  
[[Image:辞典06.jpg|thumb|200px|'''図6 大脳皮質での領域特異的なターゲティング'''<br>マウスのE14の脳において、[[体性感覚]]の情報は[[体性感覚野]]へ(SM)また、辺縁系からの情報は辺縁系皮質領域へ(PR)、それぞれ投射する。PRの領域には[[LAMP]]という細胞接着因子が発現している。この時期にLAMP陽性の皮質領域を感覚野へ移植すると辺縁系からの線維は移植された感覚野へ投射する様になる。]]  


 かつて、[[wikipedia:Pasko Rakic|Pasko Rakic]][[wikipedia:Dennis O'leary|Dennis O'leary]]の間で大脳皮質の発生に関して論争があった<ref><pubmed>22099452</pubmed></ref>。Protomap vs Protocortexと呼ばれたもので、端的に言えば大脳は領域ごとに発生の早い段階から遺伝的に決定されているという説と、そうではなくて大脳は他の神経細胞(領域)とつながったあとに領域ごとに差が出てくるという説である(Dennisが後者である事は今にして思うと興味深い)。Rakicの弟子であるPat Levittは、もし大脳皮質の領域が早い段階で決定されているならば、例えばある皮質領域に特異的にでている分子があるはずであると考え、それを探したところ辺縁系皮質領域に特異的にでている分子を得た。これはLAMPと呼ばれる細胞接着因子であるが、この分子の発現をマーカーとしてこれに皮質の移植の実験を組み合わせる事によって、辺縁系皮質領域は辺縁系からの線維を引き寄せるメカニズムがある事が示されている(図6)<ref><pubmed>1570290</pubmed></ref>。この標的認識に関わる分子はLAMPそのものである可能性もある。
 かつて、[[wikipedia:Pasko Rakic|Pasko Rakic]]とDennis O'Learyの間で[[大脳皮質]]の発生に関して論争があった<ref><pubmed>22099452</pubmed></ref>。Protomap vs Protocortexと呼ばれたもので、端的に言えば[[大脳]]は領域ごとに発生の早い段階から遺伝的に決定されているという説と、そうではなくて大脳は他の神経細胞(領域)とつながったあとに領域ごとに差が出てくるという説である。Rakicの弟子であるPat Levittは、もし大脳皮質の領域が早い段階で決定されているならば、例えばある皮質領域に特異的にでている分子があるはずであると考え、それを探したところ[[辺縁系]]皮質領域に特異的にでている分子を得た。これは[[LAMP]]と呼ばれる細胞接着因子であるが、この分子の発現をマーカーとしてこれに皮質の移植の実験を組み合わせる事によって、辺縁系皮質領域は辺縁系からの線維を引き寄せるメカニズムがある事が示されている(図6)<ref><pubmed>1570290</pubmed></ref>。この標的認識に関わる分子はLAMPそのものである可能性もある。


=== 神経細胞内での特定のコンパートメントへのターゲティング===  
=== 神経細胞内での特定のコンパートメントへのターゲティング===  

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