「シンタキシン」の版間の差分

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 シンタキシン1は、H3ドメインを介して神経伝達物質放出の[[CA2|Ca2]]+センサーの最有力候補シナプトタグミン1と結合する。大腸菌で発現させた組換えタンパク質同士の結合は、結合実験に用いるフラグメントの大きさや付加するタグによって、特にCa2+の要求性に、大きな影響を受ける。Ca2+非存在下では、シナプトタグミンのC2Bドメインと結合する。
 シンタキシン1は、H3ドメインを介して神経伝達物質放出の[[CA2|Ca2]]+センサーの最有力候補シナプトタグミン1と結合する。大腸菌で発現させた組換えタンパク質同士の結合は、結合実験に用いるフラグメントの大きさや付加するタグによって、特にCa2+の要求性に、大きな影響を受ける。Ca2+非存在下では、シナプトタグミンのC2Bドメインと結合する。


=== コンプレキシン ===
===コンプレキシン ===
 シンタキシンは、コンプレキシン(別名シナフィン)とH3を介して結合する。コンプレキシンは、SNARE複合体による膜融合を一時停止させる役割を持つとされるシナプス前終末タンパク質である。コンプレキシンの中央部分とSNARE複合体の結合状態の立体構造が明らかにされている。
 シンタキシンは、コンプレキシン(別名シナフィン)とH3を介して結合する。コンプレキシンは、SNARE複合体による膜融合を一時停止させる役割を持つとされるシナプス前終末タンパク質である。コンプレキシンの中央部分とSNARE複合体の結合状態の立体構造が明らかにされている。
 
=== Munc-18 ===
=== Munc-18 ===
 小胞のドッキングあるいは[[プライミング]]に関与するMunc-18(別名n-Sec1)のシンタキシンへの結合は、当初SNARE複合体の形成を阻害するとされていた。これは、単純化された結合実験において、シンタキシン1のNペプチドにMunc18が結合している時はその閉構造が安定化し、SNAP-25と結合できないためである。しかし後述のように、Munc-18と結合したシンタキシン1でもMunc-13存在下では開構造へと変形し、SNARE複合体を形成できることがその後明らかにされた。このように、Munc-18は、シンタキシン1の開閉構造に応じた二種類の結合様式でモノメリックなシンタキシン1とSNARE複合体中のシンタキシン1の両方に結合することができる。シンタキシン1とMunc-18の結合は、両者のリン酸化や、アラキドン酸およびスフィンゴシンにより制御される。シンタキシンとMunc-18の複合体の立体構造も明らかにされている。
 小胞のドッキングあるいは[[プライミング]]に関与するMunc-18(別名n-Sec1)のシンタキシンへの結合は、当初SNARE複合体の形成を阻害するとされていた。これは、単純化された結合実験において、シンタキシン1のNペプチドにMunc18が結合している時はその閉構造が安定化し、SNAP-25と結合できないためである。しかし後述のように、Munc-18と結合したシンタキシン1でもMunc-13存在下では開構造へと変形し、SNARE複合体を形成できることがその後明らかにされた。このように、Munc-18は、シンタキシン1の開閉構造に応じた二種類の結合様式でモノメリックなシンタキシン1とSNARE複合体中のシンタキシン1の両方に結合することができる。シンタキシン1とMunc-18の結合は、両者のリン酸化や、アラキドン酸およびスフィンゴシンにより制御される。シンタキシンとMunc-18の複合体の立体構造も明らかにされている。
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