「到達運動」の版間の差分

43行目: 43行目:
==脳内の到達運動制御==
==脳内の到達運動制御==
===大脳皮質===
===大脳皮質===
[[空間知覚]]は、[[視覚前野]]を経由し[[頭頂連合野]]にいたる大脳の[[空間知覚|背側視覚経路]]が主に関わっている。視覚野で[[座標系|網膜中心座標系]]で表現されていた位置情報は、頭頂連合野では単一の座標系ではなく、複数の[[座標系]]、つまり[[座標系|眼球中心座標系]]、[[座標系|頭部中心座標系・身体中心座標系]]、[[座標系|身体部位中心座標系]]などの複数の座標系へと座標変換される。これらの座標系は、頭頂連合野の複数の領域で表現されでおり、眼球運動や到達運動、把持運動など、適当な座標系を用いて制御する。運動の種類によって、制御する脳領域が異なる。
[[空間知覚]]は、[[視覚前野]]を経由し[[頭頂連合野]]にいたる大脳の[[空間知覚|背側視覚経路]]が主に関わっている。視覚野で[[座標系|網膜中心座標系]]で表現されていた位置情報は、頭頂連合野では単一の座標系ではなく、複数の[[座標系]]、つまり[[座標系|眼球中心座標系]]、[[座標系|頭部中心座標系・身体中心座標系]]、[[座標系|身体部位中心座標系]]などの複数の座標系へと座標変換される。これらの座標系は、頭頂連合野の複数の領域で表現されでおり、眼球運動や到達運動、把持運動など、適当な座標系を用いて制御する。運動の種類によって、制御する脳領域が異なる。<br>
[[頭頂連合野]]は、[[運動前野]]との結合が強く、[[上縦束]](SLF)と呼ばれる皮質下の線維束で、運動前野と結合している<ref name=ref13><pubmed>22088488</pubmed></ref>。この線維束は、3本に分かれており、特に[[頭頂連合野|上頭頂小葉]]と[[運動前野|背側運動前野]]を結ぶ一番背側部の経路(SLF-I)が、到達運動に関わっていると考えられている。[[頭頂連合野|下頭頂小葉]]と[[運動前野|腹側運動前野]]を結ぶ腹側部の経路(SLF-III)も一部関っている。この他、一次運動野、小脳、大脳基底核等の領域も到達運動の実現に重要な領域である。
[[頭頂連合野]]は、[[運動前野]]との結合が強く、[[上縦束]](SLF)と呼ばれる皮質下の線維束で、運動前野と結合している<ref name=ref13><pubmed>22088488</pubmed></ref>。この線維束は、3本に分かれており、特に[[頭頂連合野|上頭頂小葉]]と[[運動前野|背側運動前野]]を結ぶ一番背側部の経路(SLF-I)が、到達運動に関わっていると考えられている。[[頭頂連合野|下頭頂小葉]]と[[運動前野|腹側運動前野]]を結ぶ腹側部の経路(SLF-III)も一部関っている。この他、一次運動野、小脳、大脳基底核等の領域も到達運動の実現に重要な領域である。
以下にサルの単一ニューロン記録で明らかになった、到達運動に関わると考えられる領域のニューロンの性質を述べる。
以下にサルの単一ニューロン記録で明らかになった、到達運動に関わると考えられる領域のニューロンの性質を述べる。
356

回編集