1. 「マウスからヒトにいたるまで多種の実験動物を利用してその学習メカニズムが研究され、脊椎動物の記憶・学習系の中で、その責任神経回路がもっとも詳らかにされた行動パラダイムの一つである。」 ヒトは実験動物というと語弊があるのでは。 「学習メカニズム」->単に「メカニズム」で良いのでは。
2. 「無条件反応」という言葉と、「条件反射」という言葉が記載されていますが、反応も反射もresponseの訳なので、反射か反応のどちらかに統一したほうがよいのではないでしょうか。
3. 「CSとしてメトロノームの音を、USとして肉を提示すると、この対刺激によって」->「CSとしてメトロノームの音を、USとして肉を用い、これらの対刺激を繰り返し提示することによって」
4. 「USに先行してCSのみで」->「USに先行するCSのみで」の意でしょうか?
5. 「 唾液の分泌を出すようになる」->「分泌が生じるようになる」 「分泌」という言葉自体に「出す」という意味が含まれていますので。
6. 「 もっとも初期の瞬目反射条件づけの現象についての報告は」->「瞬目反射条件づけの現象についての最も初期の報告は」
7. 「 遡れる」->「遡ることができる」
8. 「ちなみに、」->不要では。
9. 「 Isidore Gormezanoによりウサギに対してこの連合学習が導入されて以降は」 小脳依存性の運動、海馬依存性の連合学習という表現がアブストラクトにありますが、これは後者のことを意味しているのでしょうか?そうでなければ、表現はかえたほうが良いように思います。 また、何に「導入され」たのか、「導入」という言葉を使うのであれば明記したほうがよいのではないでしょうか。
10. 「 方法論がノックアウトマウスにそのまま適応され」->「方法論がノックアウトマウスにそのまま適用され」
11. 「 特に、小脳のシナプス可塑性である長期抑圧(Long-term depression; LTD)(後述)と瞬目反射条件づけ遅延課題との関係性が集中的に調べられることになる[7]」 集中的に調べられることになると言っているので、[7]の最初の論文だけでなく、他の同様な論文も2〜3、引用しておいたほうがよいのではないでしょうか。総説を引用する、ということでも良いかもしれませんが。
12. 「 こうした行動遺伝学的研究によって、代謝活性型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)、PKCγ、GluRδ2、内在性カンナビノイド受容体CB1Rなど多くの分子が小脳LTDと瞬目反射条件づけ遅延課題の双方に必要であることが明らかとなり、」 これについても、それぞれ文献引用をお願いします。これを引用すれば、上記ポイントについては引用は不要かもしれません。
13. 「その学習メカニズムが研究されてきたことも本学習の特徴的な点である」 上の1のポイントと同様。
14. 「 ほぼ同一の課題で学習能力を測定できる数少ない学習系」->「ほぼ同一の課題で学習能力を測定できる数少ない学習系の一つ」
15. 「 水迷路試験」については、本辞典の「迷路」のところにモリス水迷路についての記述があるので、そこにリンクをはっていただければと思います。
16. 「さらに、まばたき反射は仮に筋萎縮や麻痺といった四肢の障害がある場合でも、その出力が比較的最後まで保存されることから、例えば運動失調を持つモデル動物でも認知機能を評価しやすいと考えられる。」 -> 「さらに、仮に筋萎縮や麻痺といった四肢の障害がある場合でも(例えば運動失調を持つモデル動物でも)、まばたき反射はその出力が比較的最後まで保存されることから、認知機能を評価しやすいと考えられる。」
17. 「後述する遅延課題の場合、」 既にこの前に遅延課題が言及されています。そこで詳細は「後述」する旨を述べるか、単に「後述する」を削除するか、どちらかがよいのではないでしょうか。
18. 「後述する遅延課題の場合、その学習の記憶痕跡の場が、主に小脳にあることから、とりわけ神経科学の分野で小脳依存性学習もしくは運動学習としてよく分類・記述される。小脳が記憶形成の場であるとの論拠は、主に実験動物の脳損傷実験と小脳疾患患者の臨床例よりもたらされた[16][15]。また多くのニューラルネットワークモデルによっても瞬目反射条件づけの小脳理論が構築され、行動実験の結果との擦り合わせが図られている。」 このパラグラフについてですが、既に遅延課題->小脳、痕跡課題->海馬の関係が記述されています。そこのパラグラフに組み込んでしまってはいかがでしょうか。
19. 「 学習の記憶痕跡」->単に「記憶痕跡」とするか、「学習・記憶の痕跡」とするのがよいのでは。
20. 「一方、ラットやマウスに対しては、上瞼の裏側に4本の電極を埋め込み、そのうち2本を眼輪筋筋電図の取得、残る2本をUSとしての電気刺激に用いる方法論が適用される」 -> 「一方、ラットやマウスに対しては、上瞼の裏側に4本の電極を埋め込み、そのうち2本を眼輪筋筋電図の取得、残る2本をUSとしての電気刺激に用いる方法論が適用されることが多い」 または、 「一方、ラットやマウスに対しては、通常、上瞼の裏側に4本の電極を埋め込み、そのうち2本を眼輪筋筋電図の取得、残る2本をUSとしての電気刺激に用いる方法論が適用される」 では?
21. 「学習は有効的に成立する。」->「学習が成立しやすい。」 「有効的に成立する」という表現はあまり聞かないように思いますので。
22. 一応、「 痕跡間隔」の英訳も記載ください。
23. 「記憶獲得」と「学習獲得」という語がでてきますが、これは同じ意味で使われていますでしょうか?であれば、どちらかに統一していただいたほうがよいと思います。
24. 「 非常に簡略した模式図を図4に示した。」 「簡略化した模式図を図4に示した。」 「非常に」は不要では。また「簡略した」は「簡略化した」のほうが普通かと思います。
25. 「 小脳LTDは、運動記憶の形成そのものよりも、学習の表出のタイミングを担っているとする論調も目立つようになってきたが、」 文献の引用をお願いします。
26. Optogeneticsの手法を用いた研究がこの種のモデルを考えるには重要かと思います。例えば、 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3913874/ 。引用するのが良いのではないでしょうか。
27. 「 むしろ小脳皮質が遅延課題の記憶形成に必須ではないとの文脈で参照されることが多いようである。」 そのような文脈で参照している文献を引用してください。
28. 「 現時点において中位核は瞬目反射条件づけの記憶形成において最も重要な部位と認識されるに至っている。」 このパラグラフで引用されている15, 29, 30の文献はかなり古いですので、そのような認識を示している新しい文献(総説や代表的論文、本など)を引用してください。
29. 「 もしくは、消去試行後直ちにCS-USの対提示を繰り返した場合では、CRは急速に発現し、初回よりも少ない試行回数で元の学習到達率まで回復する。」 これも自発的回復なのではないでしょうか。であるとすれば、前の文との関係を整理しつつ、これも自発的回復であることがわかるような記載にしていただければと思います。
30. 「アルツハイマー型認知症患者では痕跡課題は正常な学習を示すのに対し、遅延課題では顕著な学習障害が見られた[32]。」 32番の文献では、痕跡課題でも有意な障害がみられたとアブストラクトにあります。ご確認ください。
31. 最近の研究では、統合失調症患者では障害されているという報告が多いようです。 http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fpsyt.2014.00160/full アップデートをお願いします。展望のところでも疾患モデルとしての重要性を強調されていますので、他の疾患も最新の情報をご確認いただき、また、それぞれできれば複数の文献の引用をお願いできれば、と思います。
32. 図4ですが、「瞬目反射条件づけの神経回路とLTD仮説」の中にでてくる脳部位については、できるだけ図中に含めていただけないでしょうか(and/or 文章中で必須ではない脳部位の記述を減らす)。私はこの分野では素人ですが、文章と図を見比べながら読む際に、文章に出てきた脳部位を図中で探してしまうこともあり、理解がかなり困難でした。
33. 図4の「小脳LTDは、平行繊維とプルキンエ細胞間において神経伝達物質の伝達効率が減少する現象である。」ですが、「神経伝達物質の伝達効率が減少」と言い切ってよいものなのでしょうか。この表現ですと、ポストでの変化の意となるかと思います。プレにおいて神経伝達物質の放出が低下する可能性もあるのではないでしょうか。 いずれにしましても、文献の引用をお願いします。
34. 23の論文が小脳LTD仮説を否定するようなものであるようですが、これは2011年と4年前で少し古いようです。その後、小脳LTD仮説についての最新の論調はどのようなものでしょうか。可能であれば、アップデートしていただけますと有り難いです。