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Tatsuyamori (トーク | 投稿記録) 細 (→構造) |
Tatsuyamori (トーク | 投稿記録) 細 (→前進運動の分子メカニズム) |
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== '''前進運動の分子メカニズム''' == | == '''前進運動の分子メカニズム''' == | ||
成長円錐は①周辺部先端での糸状仮足の形成・伸長、②糸状仮足間への葉状仮足の流れ込みによる周辺部の拡大、③後方からの中心部の侵入、という3つの過程を繰り返すことで前方へと移動していく。この成長円錐の前方移動の分子メカニズムとして、前方移動の仕組みを自動車の走行に例えた[[クラッチ仮説]]が有力なものとして提唱されている。クラッチ仮説ではアクチン繊維のターンオーバーと成長円錐形質膜上に発現する接着分子、接着分子とアクチン繊維をつなぐ[[クラッチ分子]]、接着分子のリサイクリングが協調して働き、成長円錐が前方移動を行っていると説明される。 | |||
=== 動力源となるアクチン繊維のターンオーバー === | === 動力源となるアクチン繊維のターンオーバー === | ||
周辺部に存在するアクチン繊維は、プラス端を成長円錐先端に、[[マイナス端]]を中心部側に向けて規則正しく配置されており、単量体アクチンのアクチン繊維への付加は主に先端部で、アクチン繊維の解離は主に中心部側で起こる。同時にアクチン繊維全体は[[モータータンパク質]]である[[ミオシン(myosin)Ⅰb]]や[[ミオシンⅡ]]の作用により一定の速度(約5 μm/min)で先端部から中心部へと移動している。そのため、見かけ上、周辺部が運動を停止しているような場合でも、その内部に存在するアクチン繊維は先端部から中心部へと運ばれており、その移動分を補うように先端部では重合、中心部では脱重合が続いている[[(トレッドミル)]]。このような成長円錐における細胞骨格の動態は、Waterman-Storerのグループによって開発された[[蛍光スペックル顕微鏡法]]によって詳細な解析が可能である。 | |||
=== 細胞外基質との接着 === | === 細胞外基質との接着 === | ||
成長円錐の形質膜には[[免疫グロブリン]](immunogloblin)ファミリー、[[カドヘリン]](cadherin)ファミリー、[[インテグリン]](integrin)ファミリーなどの接着分子が発現しており、[[細胞外基質]]、または隣接する細胞との接着を媒介している。多くの場合、細胞外領域での接着分子の[[リガンド]]結合および細胞表面での接着分子[[クラスタリング]]は細胞内領域における接着分子とアクチン繊維間の結合を誘導する。例えば、インテグリン細胞外領域における[[フィブロネクチン]](fibronectin)との結合は、インテグリン細胞内領域と細胞骨格の結合を引き起こす。同様に、ショウジョウバエの[[L1]][[ホモログ]]である[[ニューログリアン]](neuroglian)におけるリガンド依存性クラスタリングは、ニューログリアン細胞内領域と[[アンキリン]](ankyrin)との結合を引き起こす。このような接着分子-アクチン繊維間の結合は、接着分子の接着性を増強するとともに、アクチン繊維の後方移動により発生した牽引力を細胞外周囲環境に伝達し、その結果として成長円錐が前方に推進されると考えられている。 | |||
=== アクチン繊維と接着分子をつなぐクラッチ分子 === | === アクチン繊維と接着分子をつなぐクラッチ分子 === | ||
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=== 接着分子のリサイクリング === | === 接着分子のリサイクリング === | ||
アクチン繊維と結合した接着分子は、アクチンの後方移動に伴って成長円錐中心部へと運ばれてしまう。そのために、成長円錐ではその前方移動を恒常的に維持するため、後方へ移動した接着分子を周辺環境から脱着し、再び成長円錐先端部へと輸送し再利用する機構が存在すると考えられている。例えば、アクチン繊維の後方移動により中心部に到達したL1は、[[クラスリン]]依存的[[エンドサイトーシス]]によって膜小胞に取り込まれた後、微小管のガイドによって細胞質内を成長円錐先端部まで輸送され、形質膜に再挿入される。一方、インテグリンは成長円錐形質膜上を中心部から先端部に向かって順行性に移動しうることから、エンドサイトーシス非依存的な接着分子のリサイクル機構も存在すると考えられている。 | |||
==軸索ガイダンスによる制御== | ==軸索ガイダンスによる制御== |
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