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H3K27のメチル化は、[[うつ]]様行動の発生に関与することが知られている。マウスに社会的[[ストレス]]を繰り返し与えることによりヒトのうつ患者と同様な行動や神経化学的変化を引き起こす。うつモデルマウスでは海馬の[[ | H3K27のメチル化は、[[うつ]]様行動の発生に関与することが知られている。マウスに社会的[[ストレス]]を繰り返し与えることによりヒトのうつ患者と同様な行動や神経化学的変化を引き起こす。うつモデルマウスでは海馬の[[脳由来神経栄養因子]]遺伝子([[brain-derived neurotrophic factor]]:[[BDNF]])プロモーターでのH3K27のメチル化が増加しており、これはうつモデルマウスがストレスのない環境へ移されたとしても持続することが知られている。[[抗うつ薬]]である[[イミプラミン]]を投与すると、うつ様行動の解消に加え、BDNFプロモーターのH3K27のメチル化状態がH3K4のメチル化状態やH3のアセチル化に置換される。このクロマチン状態の変化はイミプラミン投与の副産物やうつ様行動が解消された結果生じるものではなく、イミプラミンによるうつ症状改善のメカニズムのひとつであると考えられている<ref><pubmed>16501568</pubmed></ref>。そのため、うつ病治療においてもヒストンのメチル化制御は重要な要因のひとつであるといえる。<br> | ||
ここに示した例以外にも多くのヒストンメチル化状態やメチル化酵素、脱メチル化酵素が脳機能や精神疾患に関わることが報告されている<ref name=ref27 /><ref name=ref28 />。 | ここに示した例以外にも多くのヒストンメチル化状態やメチル化酵素、脱メチル化酵素が脳機能や精神疾患に関わることが報告されている<ref name=ref27 /><ref name=ref28 />。 |