「分離脳」の版間の差分

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==== 左耳の聴覚性言語消去 ====
==== 左耳の聴覚性言語消去 ====
 聴覚は内耳(蝸牛)の有毛細胞→蝸牛神経→蝸牛神経核(脳幹)→交叉→外側毛帯→下丘(中脳)→内側膝状体(視床)→聴放線→聴覚野(側頭葉)の交差性経路と、交叉しない同側性経路があり、両者の情報量は6対4程度とされている。したがって言語刺激を片耳からだけ入力した場合、左耳右耳ともに理解可能である。しかし、両耳から同時に異なった言語刺激を入力した場合(dichotic listening: 両耳同時聴)は、同側性成分がマスキングされるため、言語野が存在する左脳への入力が多い右耳の方が聞き取りやすくなる。
 聴覚は[[内耳]]([[蝸牛]])の[[有毛細胞]]→[[蝸牛神経]]→[[蝸牛神経核]]([[脳幹]])→交叉→[[外側毛帯]]→[[下丘]]([[中脳]])→[[内側膝状体]]([[視床]])→[[聴放線]]→[[聴覚野]](側頭葉)の交差性経路と、交叉しない同側性経路があり、両者の情報量は6対4程度とされている。したがって言語刺激を片耳からだけ入力した場合、左耳右耳ともに理解可能である。しかし、両耳から同時に異なった言語刺激を入力した場合(dichotic listening: 両耳同時聴)は、同側性成分がマスキングされるため、言語野が存在する左脳への入力が多い右耳の方が聞き取りやすくなる。


 しかし、脳梁離断患者ではその傾向が極端になり右耳の刺激だけしか聞き取れない者がある。これは交差性経路によって右の[[聴覚野]]に入力された左耳からの情報が、脳梁離断によって左脳の[[言語野]]へ伝達されないためと考えられる。部分性離断患者での検討から、聴覚情報の伝達には脳梁の後半部分、特に脳梁幹の後部が重要であると考えられている<ref name=山鳥1985 /><ref name=西川隆1988>'''西川隆, 田辺敬貴, 奥田純一郎, 柏木敏宏, 柏木あさ子. (1988).'''<br>脳梁損傷例における消去現象 ―“見かけ上の消去現象”および両耳聴検査における知見補遺―. 神経心理学, 4(1), 33-46. [https://cir.nii.ac.jp/crid/1571135650143613568 [DOI<nowiki>]</nowiki>]</ref><ref name=Sugishita1995><pubmed>7735883</pubmed></ref>。
 しかし、脳梁離断患者ではその傾向が極端になり右耳の刺激だけしか聞き取れない者がある。これは交差性経路によって右の[[聴覚野]]に入力された左耳からの情報が、脳梁離断によって左脳の[[言語野]]へ伝達されないためと考えられる。部分性離断患者での検討から、聴覚情報の伝達には脳梁の後半部分、特に脳梁幹の後部が重要であると考えられている<ref name=山鳥1985 /><ref name=西川隆1988>'''西川隆, 田辺敬貴, 奥田純一郎, 柏木敏宏, 柏木あさ子. (1988).'''<br>脳梁損傷例における消去現象 ―“見かけ上の消去現象”および両耳聴検査における知見補遺―. 神経心理学, 4(1), 33-46. [https://cir.nii.ac.jp/crid/1571135650143613568 [DOI<nowiki>]</nowiki>]</ref><ref name=Sugishita1995><pubmed>7735883</pubmed></ref>。