16,040
回編集
細 (→プロゲステロン) |
細 (→エストロゲン受容体) |
||
109行目: | 109行目: | ||
また近年、[[Gタンパク質共役型受容体]]([[G protein-coupled receptor]]: [[GPCR]])もステロイドホルモンの膜受容体として注目されている。 | また近年、[[Gタンパク質共役型受容体]]([[G protein-coupled receptor]]: [[GPCR]])もステロイドホルモンの膜受容体として注目されている。 | ||
===エストロゲン受容体=== | ====エストロゲン受容体==== | ||
エストロゲン受容体にはERαとERβとがあり、これらは独立した遺伝子から産生される(スプライシングバリアントではない)。ER受容体はリガンドフリーの状態でも核内に存在するが、リガンドと結合すると二量体を形成して標的遺伝子の[[転写調節領域]]に結合する。ERは[[エストロゲン応答配列]] ([[estrogen response element]]: [[ERE]])に直接に結合する以外にも、[[AP-1]]やc[[yclic AMP応答エレメント]]([[cyclic AMP-responsive element]], [[CRE]])様配列にも間接的に作用し遺伝子発現を調節することが知られる。 | エストロゲン受容体にはERαとERβとがあり、これらは独立した遺伝子から産生される(スプライシングバリアントではない)。ER受容体はリガンドフリーの状態でも核内に存在するが、リガンドと結合すると二量体を形成して標的遺伝子の[[転写調節領域]]に結合する。ERは[[エストロゲン応答配列]] ([[estrogen response element]]: [[ERE]])に直接に結合する以外にも、[[AP-1]]やc[[yclic AMP応答エレメント]]([[cyclic AMP-responsive element]], [[CRE]])様配列にも間接的に作用し遺伝子発現を調節することが知られる。 | ||
123行目: | 123行目: | ||
アンドロゲン受容体(AR)はGRなどと同様にリガンド非存在下では細胞質に存在し、リガンドと結合すると核へ移行し標的遺伝子の転写を調節する。ARの標的遺伝子には[[前立腺特異抗原]]([[prostate specific antigen]], [[PSA]])、[[線維芽細胞成長因子8]] ([[fibroblast growth factor 8]], [[FGF8]])、[[サイクリン依存性キナーゼ1]] (cyclin-dependent kinase 1. Cdk1), Cdk2, PMDPA1, [[transmembrane protease, serine 2]] (TMPRSS2)、[[D-dopachrome tautomerase]] (DDT)、[[グルタチオン-S-転位酵素θ2]] ([[glutathione S-transferase θ2]] ([[GSTT2]])、[[Ca2+/リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素|Ca<sup>2+</sup>/リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素]] (protein kinase C&delta, PRKCD)、[[ピロリン-5-カルボン酸レダクターゼI]] ([[pyrroline-5-carboxylate reductase I]], [[PYXRI]])等が知られる。[[wikipedia:ja:哺乳動物|哺乳動物]]の[[中枢神経]]においては、これまでにアンドロゲンのノンゲノミック作用に直接関与するような膜型受容体は見つかっていない。 | アンドロゲン受容体(AR)はGRなどと同様にリガンド非存在下では細胞質に存在し、リガンドと結合すると核へ移行し標的遺伝子の転写を調節する。ARの標的遺伝子には[[前立腺特異抗原]]([[prostate specific antigen]], [[PSA]])、[[線維芽細胞成長因子8]] ([[fibroblast growth factor 8]], [[FGF8]])、[[サイクリン依存性キナーゼ1]] (cyclin-dependent kinase 1. Cdk1), Cdk2, PMDPA1, [[transmembrane protease, serine 2]] (TMPRSS2)、[[D-dopachrome tautomerase]] (DDT)、[[グルタチオン-S-転位酵素θ2]] ([[glutathione S-transferase θ2]] ([[GSTT2]])、[[Ca2+/リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素|Ca<sup>2+</sup>/リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素]] (protein kinase C&delta, PRKCD)、[[ピロリン-5-カルボン酸レダクターゼI]] ([[pyrroline-5-carboxylate reductase I]], [[PYXRI]])等が知られる。[[wikipedia:ja:哺乳動物|哺乳動物]]の[[中枢神経]]においては、これまでにアンドロゲンのノンゲノミック作用に直接関与するような膜型受容体は見つかっていない。 | ||
==== | ====プロゲステロン受容体==== | ||
プロゲステロン受容体(PR)はPR-BとPR-Aの2つのアイソフォームが存在し、これらは同一遺伝子から産生され、PR-AはPR-BのN末端のアミノ酸が164個欠落したものである。PR-Bはリガンドの非存在下では細胞質と核の両方に分布するが、PR-Aはリガンド非存在下でも核内に局在し、いずれも標的遺伝子の転写を調節する。さらに、PR-Bは膜シグナル伝達分子である[[c-Src]]を代表とする[[Srcファミリーチロシンキナーゼ]] ([[Src family tyrosine kinase]], [[SFK]])と相互作用し、SFKを活性化することによりその下流の[[MAPK]]へシグナルを伝達することが報告されている<ref><pubmed>15242342</pubmed></ref>。 | プロゲステロン受容体(PR)はPR-BとPR-Aの2つのアイソフォームが存在し、これらは同一遺伝子から産生され、PR-AはPR-BのN末端のアミノ酸が164個欠落したものである。PR-Bはリガンドの非存在下では細胞質と核の両方に分布するが、PR-Aはリガンド非存在下でも核内に局在し、いずれも標的遺伝子の転写を調節する。さらに、PR-Bは膜シグナル伝達分子である[[c-Src]]を代表とする[[Srcファミリーチロシンキナーゼ]] ([[Src family tyrosine kinase]], [[SFK]])と相互作用し、SFKを活性化することによりその下流の[[MAPK]]へシグナルを伝達することが報告されている<ref><pubmed>15242342</pubmed></ref>。 | ||
標的遺伝子として、fumarylacetoacetate、[[プロラクチン]]、[[Sox17]]などが知られる<ref><pubmed>22638070</pubmed></ref>。 | 標的遺伝子として、fumarylacetoacetate、[[プロラクチン]]、[[Sox17]]などが知られる<ref><pubmed>22638070</pubmed></ref>。 | ||
グルココルチコイドとその受容体に関しては[[グルココルチコイド]]の項目参照。 | |||