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==== 小脳の発生 ==== | ==== 小脳の発生 ==== | ||
小脳発生における選択的ポリA付加反応の役割に着目した研究で、小脳[[顆粒細胞]]において、MEMO1のmRNAに3'側非翻訳領域の長さが異なる2種類のアイソフォームが存在することが明らかとなった<ref name=Jereb2018><pubmed>29578408</pubmed></ref>。顆粒細胞の前駆細胞には3'側非翻訳領域の短いmRNAが多く、分化の進んだ顆粒細胞には3'側非翻訳領域の長いmRNAが多い。長いMEMO1アイソフォームは[[miR-124]]の標的配列を含んでいるため、分化した顆粒細胞ではMEMO1のタンパク質発現がmiR-124依存的に抑制される。MEMO1遺伝子欠損マウスでは、小脳顆粒細胞前駆細胞の増殖能低下と小脳の低形成が生じる。すなわち、MEMO1は顆粒細胞の増殖を正に制御しており、この機能が必要な前駆細胞の期間中、短いmRNAアイソフォームを発現することによってmiR-124依存的な抑制を回避し、MEMO1の発現を維持していると想定される。したがって、小脳顆粒細胞の発生において、選択的ポリA付加によってMEMO1は時期特異的な役割を発揮していると考えられる<ref name=Jereb2018><pubmed>29578408</pubmed></ref>。 | 小脳発生における選択的ポリA付加反応の役割に着目した研究で、小脳[[顆粒細胞]]において、MEMO1のmRNAに3'側非翻訳領域の長さが異なる2種類のアイソフォームが存在することが明らかとなった<ref name=Jereb2018><pubmed>29578408</pubmed></ref>。顆粒細胞の前駆細胞には3'側非翻訳領域の短いmRNAが多く、分化の進んだ顆粒細胞には3'側非翻訳領域の長いmRNAが多い。長いMEMO1アイソフォームは[[miR-124]]の標的配列を含んでいるため、分化した顆粒細胞ではMEMO1のタンパク質発現がmiR-124依存的に抑制される。MEMO1遺伝子欠損マウスでは、小脳顆粒細胞前駆細胞の増殖能低下と小脳の低形成が生じる。すなわち、MEMO1は顆粒細胞の増殖を正に制御しており、この機能が必要な前駆細胞の期間中、短いmRNAアイソフォームを発現することによってmiR-124依存的な抑制を回避し、MEMO1の発現を維持していると想定される。したがって、小脳顆粒細胞の発生において、選択的ポリA付加によってMEMO1は時期特異的な役割を発揮していると考えられる<ref name=Jereb2018><pubmed>29578408</pubmed></ref>。 | ||
MEMO1は[[バーグマングリア細胞]]にも発現している。MEMO1遺伝子の欠損によってバーグマングリアの組織内分布の乱れと放射状線維の低形成が生じる<ref name=Nakagawa2019><pubmed>31277925</pubmed></ref>。バーグマングリアの放射状線維は、生後発達期の小脳[[顆粒細胞]]の[[外顆粒層]]から[[内顆粒層]]への細胞移動の足場として重要であり、実際にMEMO1遺伝子欠損マウスでは顆粒細胞の移動が障害され外顆粒層に異所的な残存が認められる<ref name=Nakagawa2019><pubmed>31277925</pubmed></ref>。 | MEMO1は[[バーグマングリア細胞]]にも発現している。MEMO1遺伝子の欠損によってバーグマングリアの組織内分布の乱れと放射状線維の低形成が生じる<ref name=Nakagawa2019><pubmed>31277925</pubmed></ref>。バーグマングリアの放射状線維は、生後発達期の小脳[[顆粒細胞]]の[[外顆粒層]]から[[内顆粒層]]への細胞移動の足場として重要であり、実際にMEMO1遺伝子欠損マウスでは顆粒細胞の移動が障害され外顆粒層に異所的な残存が認められる<ref name=Nakagawa2019><pubmed>31277925</pubmed></ref>。 | ||