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転写制御因子は、DNA結合ドメインの構造モチーフに基づき、ホメオドメイン、ジンクフィンガー、塩基性へリックス・ループ・へリックスなどのファミリーに分けられる。 | 転写制御因子は、DNA結合ドメインの構造モチーフに基づき、ホメオドメイン、ジンクフィンガー、塩基性へリックス・ループ・へリックスなどのファミリーに分けられる。 | ||
==== | ====ホメオドメイン==== | ||
homeodomain | |||
[[wikipedia:ja:ホメオボックス|ホメオボックス]]がコードする約60個のアミノ酸配列である。ショウジョウバエの体節形成の研究で発見され、ヒトを含む高等動物まで[[wikipedia:ja:ホモログ|ホモログ]]間でよく保存されている<ref><pubmed>11470884</pubmed></ref>。へリックス・ターン・へリックス構造をとり、2番目のヘリックスがDNAの主溝に入り込んで結合する。アミノ酸配列の類似性やホメオドメインの外のモチーフから、さらにサブファミリーに分けられる。ホメオドメインが結合するコンセンサス配列の代表としてATTAが知られ、サブファミリーにより認識配列が異なる<ref><pubmed>18585359</pubmed></ref>。 | [[wikipedia:ja:ホメオボックス|ホメオボックス]]がコードする約60個のアミノ酸配列である。ショウジョウバエの体節形成の研究で発見され、ヒトを含む高等動物まで[[wikipedia:ja:ホモログ|ホモログ]]間でよく保存されている<ref><pubmed>11470884</pubmed></ref>。へリックス・ターン・へリックス構造をとり、2番目のヘリックスがDNAの主溝に入り込んで結合する。アミノ酸配列の類似性やホメオドメインの外のモチーフから、さらにサブファミリーに分けられる。ホメオドメインが結合するコンセンサス配列の代表としてATTAが知られ、サブファミリーにより認識配列が異なる<ref><pubmed>18585359</pubmed></ref>。 | ||
==== | ====ジンクフィンガー==== | ||
zinc finger | |||
GATAファミリーの因子などに見られる構造で、亜鉛イオンに2個の[[wikipedia:ja:システイン|システイン]]と2個のヒスチジンが配位結合するC2H2タイプや、4個のシステインが配位結合するC4タイプなどがある<ref><pubmed>18253864</pubmed></ref>。亜鉛に配位したシステインあるいはヒスチジン残基に挟まれたアミノ酸領域が指状のループをつくる。[[wikipedia:ja:ステロイドホルモン|ステロイドホルモン]]受容体などの[[wikipedia:ja:核内受容体|核内受容体]]は、[[wikipedia:ja:リガンド|リガンド]]と直接結合すると核内に入り転写制御能を発揮するようになる<ref><pubmed>20813267</pubmed></ref><ref><pubmed>20850017</pubmed></ref>。コンセンサス配列にはGATAファミリーの因子が結合するGATAなどがある。 | GATAファミリーの因子などに見られる構造で、亜鉛イオンに2個の[[wikipedia:ja:システイン|システイン]]と2個のヒスチジンが配位結合するC2H2タイプや、4個のシステインが配位結合するC4タイプなどがある<ref><pubmed>18253864</pubmed></ref>。亜鉛に配位したシステインあるいはヒスチジン残基に挟まれたアミノ酸領域が指状のループをつくる。[[wikipedia:ja:ステロイドホルモン|ステロイドホルモン]]受容体などの[[wikipedia:ja:核内受容体|核内受容体]]は、[[wikipedia:ja:リガンド|リガンド]]と直接結合すると核内に入り転写制御能を発揮するようになる<ref><pubmed>20813267</pubmed></ref><ref><pubmed>20850017</pubmed></ref>。コンセンサス配列にはGATAファミリーの因子が結合するGATAなどがある。 | ||
==== | ====塩基性へリックス・ループ・へリックス==== | ||
basic helix-loop-helix、bHLH | |||
Mash1/Ascl1 (mammalian achaete-scute homolog 1/ achaete-scute complex homolog 1)やMath1/ Atoh1 (mammalian atonal homolog 1/ atonal homolog 1) などの神経分化を開始させるプロニューラル因子などに見られる<ref name=ref10><pubmed>12094208</pubmed></ref>。E12/Tcf3 (transcription factor 3) タンパク質などのへリックス・ループ・へリックスドメインとヘテロ[[wikipedia:ja:二量体|二量体]]を形成し、DNAに結合する。コンセンサス配列として、プロニューラル因子などの転写活性化因子が結合するE box (CANNTG) と、Hes1 (hairy, Enhancer of split 1) などの転写抑制因子が結合するN box (CACNAG) などが知られている<ref name=ref11><pubmed>17329370</pubmed></ref>。 | Mash1/Ascl1 (mammalian achaete-scute homolog 1/ achaete-scute complex homolog 1)やMath1/ Atoh1 (mammalian atonal homolog 1/ atonal homolog 1) などの神経分化を開始させるプロニューラル因子などに見られる<ref name=ref10><pubmed>12094208</pubmed></ref>。E12/Tcf3 (transcription factor 3) タンパク質などのへリックス・ループ・へリックスドメインとヘテロ[[wikipedia:ja:二量体|二量体]]を形成し、DNAに結合する。コンセンサス配列として、プロニューラル因子などの転写活性化因子が結合するE box (CANNTG) と、Hes1 (hairy, Enhancer of split 1) などの転写抑制因子が結合するN box (CACNAG) などが知られている<ref name=ref11><pubmed>17329370</pubmed></ref>。 | ||
==== | ====ロイシンジッパー==== | ||
leucine zipper | |||
c-FosやMycなどに見られ、7アミノ酸ごとに[[wikipedia:ja:ロイシン|ロイシン]]が配置された[[wikipedia:ja:コイルドコイル|コイルドコイル]]と呼ばれる構造を取る。同様の構造を持つ因子とコイルドコイル間でヘテロ二量体を形成し、コイルドコイルのN端側に存在する塩基性アミノ酸に富む領域でDNAに結合する。コンセンサス配列には[[wikipedia:ja:CREB|CREB]] (cAMP-responsive element-binding protein) が結合するサイクリックAMP応答配列(TGACGTCA)などがある<ref name=ref18><pubmed>20223527</pubmed></ref>。 | c-FosやMycなどに見られ、7アミノ酸ごとに[[wikipedia:ja:ロイシン|ロイシン]]が配置された[[wikipedia:ja:コイルドコイル|コイルドコイル]]と呼ばれる構造を取る。同様の構造を持つ因子とコイルドコイル間でヘテロ二量体を形成し、コイルドコイルのN端側に存在する塩基性アミノ酸に富む領域でDNAに結合する。コンセンサス配列には[[wikipedia:ja:CREB|CREB]] (cAMP-responsive element-binding protein) が結合するサイクリックAMP応答配列(TGACGTCA)などがある<ref name=ref18><pubmed>20223527</pubmed></ref>。 | ||