「カルシトニン遺伝子関連ペプチド」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
54行目: 54行目:
== 機能==
== 機能==
=== 中枢感作 ===
=== 中枢感作 ===
 CGRPは[[中枢感作]](central sensitization)を引き起こし、慢性痛や片頭痛の病態形成に重要な役割を果たす。生理作用は以下の二つに分類される。
 CGRPは[[中枢感作]]([[central sensitization]])を引き起こすことにより、痛み伝達経路の興奮性を持続的に高め、通常では痛みを生じない刺激でも痛みを感じやすくする([[アロディニア]])や[[痛覚過敏]]をもたらし、[[慢性痛]]や片頭痛の病態形成に重要な役割を果たす。生理作用は以下の二つに分類される。
 
==== 侵害受容伝達 ====
==== 侵害受容伝達 ====
 脊髄後角および三叉神経脊髄路核において、CGRPはグルタミン酸の放出を引き起こし、中枢感作を起こす<ref name=Marviz2007><pubmed>17614212</pubmed></ref>36。さらに、炎症性物質であるサブスタンスPがAMPA型およびNMDA型グルタミン酸受容体の両方に対する作用を増強する<ref name=Seybold2009><pubmed>19655115</pubmed></ref>37。これにより、CGRPは[[機械的アロディニア]]を引き起こす。また、[[小胞グルタミン酸トランスポーター]]を介したグルタミン酸伝達は、CGRPによる持続性炎症に関連する[[熱痛覚過敏]]の発生に不可欠であり、[[痛み]]や[[痒み]]の促進に関与する<ref name=Rogoz2014><pubmed>24275230</pubmed></ref>38。
 脊髄後角および三叉神経脊髄路核において、CGRPはグルタミン酸の放出を引き起こし、中枢感作を起こす<ref name=Marviz2007><pubmed>17614212</pubmed></ref>36。さらに、炎症性物質であるサブスタンスPが[[AMPA型グルタミン酸受容体|AMPA型]]および[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の両方に対する作用を増強する<ref name=Seybold2009><pubmed>19655115</pubmed></ref>37。これにより、CGRPは[[機械的アロディニア]]を引き起こす。また、[[小胞グルタミン酸トランスポーター]]を介したグルタミン酸伝達は、CGRPによる持続性炎症に関連する[[熱痛覚過敏]]の発生に不可欠であり、[[痛み]]や[[痒み]]の促進に関与する<ref name=Rogoz2014><pubmed>24275230</pubmed></ref>38。


 視床においては、[[ヒト]]の[[網膜]]と視床後部は関連があることが報告されている<ref name=Maleki2012><pubmed>21337474</pubmed></ref>39。また、マウスの視床後部にCGRPを注入すると、[[光過敏]]が誘発され、片頭痛患者の[[光過敏症]]に類似した反応が引き起こされることが示されている<ref name=Sowers2020 />26。
 視床においては、[[ヒト]]の[[網膜]]と視床後部は関連があることが報告されている<ref name=Maleki2012><pubmed>21337474</pubmed></ref>39。また、マウスの視床後部にCGRPを注入すると、[[光過敏]]が誘発され、片頭痛患者の[[光過敏症]]に類似した反応が引き起こされることが示されている<ref name=Sowers2020 />26。

ナビゲーション メニュー