「カルシトニン遺伝子関連ペプチド」の版間の差分

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 CGRPが片頭痛に関与しているという最初の報告は、1990年に片頭痛発作中の患者の血液中にCGRPレベルの大幅な上昇が見られたことから始まった<ref name=Goadsby1990><pubmed>1699472</pubmed></ref>53。この発見以後、[[唾液]]、[[涙]]、発作の間の片頭痛患者の[[血漿]]などでもCGRPの上昇が検出され、治療によって抑制されることが明らかとなった<ref name=Bellamy2006><pubmed>16412148</pubmed></ref><ref name=Kamm2019><pubmed>31603037</pubmed></ref><ref name=Cernuda-Moroll2013><pubmed>23975872</pubmed></ref><ref name=Cernuda-Moroll2015><pubmed>25735000</pubmed></ref>54, 55, 56, 57。また、CGRPを[[静脈]]注射することにより、片頭痛様の頭痛を引き起こすことが報告されている<ref name=Lassen2002 />6。一方で、CGRPの上昇が全ての片頭痛患者で観察されたわけではなく、CGRPの上昇が片頭痛の[[バイオマーカー]]として機能するかどうかは不明のままである<ref name=Alpuente2022><pubmed>34601944</pubmed></ref>58。しかしCGRPを標的とする薬は臨床的有効性が確立している。最新の研究により、CGRP関連[[抗体医薬品]]の有効性が示されている。
 CGRPが片頭痛に関与しているという最初の報告は、1990年に片頭痛発作中の患者の血液中にCGRPレベルの大幅な上昇が見られたことから始まった<ref name=Goadsby1990><pubmed>1699472</pubmed></ref>53。この発見以後、[[唾液]]、[[涙]]、発作の間の片頭痛患者の[[血漿]]などでもCGRPの上昇が検出され、治療によって抑制されることが明らかとなった<ref name=Bellamy2006><pubmed>16412148</pubmed></ref><ref name=Kamm2019><pubmed>31603037</pubmed></ref><ref name=Cernuda-Moroll2013><pubmed>23975872</pubmed></ref><ref name=Cernuda-Moroll2015><pubmed>25735000</pubmed></ref>54, 55, 56, 57。また、CGRPを[[静脈]]注射することにより、片頭痛様の頭痛を引き起こすことが報告されている<ref name=Lassen2002 />6。一方で、CGRPの上昇が全ての片頭痛患者で観察されたわけではなく、CGRPの上昇が片頭痛の[[バイオマーカー]]として機能するかどうかは不明のままである<ref name=Alpuente2022><pubmed>34601944</pubmed></ref>58。しかしCGRPを標的とする薬は臨床的有効性が確立している。最新の研究により、CGRP関連[[抗体医薬品]]の有効性が示されている。


 さらに、第二世代の小分子CGRP受容体拮抗薬 ([[ゲパント]], [[gepant]])は急性治療と予防治療の両方に適応があり、片頭痛発作の予防や、進行中の発作の抑制が可能である。[[米国食品医薬品局]]により承認されているが、本邦ではまだ未承認である。
 さらに、第二世代の小分子CGRP受容体拮抗薬 ([[ゲパント]], [[gepant]])は急性治療と予防治療の両方に適応があり、片頭痛発作の予防や、進行中の発作の抑制が可能である。いずれも分子量が小さいため、経口や点鼻による投与が可能<ref name=Tepper2020><pubmed>32337726</pubmed></ref>60[[米国食品医薬品局]]により承認されているが、本邦ではまだ未承認である。
 
=== 抗体医薬品 ===
* [[エレヌマブ]]([[Erenumab]]):CGRP受容体を標的
* [[フレマネズマブ]]([[Fremanezumab]])、[[ガルカネズマブ]]([[Galcanezumab]])、[[エプチネズマブ]]([[Eptinezumab]]):CGRP自体を中和
* [[エプチネズマブ]]([[Eptinezumab]]):静脈注射薬であり、0.5時間〜1時間以内の片頭痛発作にも効果がある<ref name=Ailani2022><pubmed>35659622</pubmed></ref>59
 
=== ゲパント類小分子CGRP受容体拮抗薬 ===
 いずれも分子量が小さいため、経口や点鼻による投与が可能<ref name=Tepper2020><pubmed>32337726</pubmed></ref>60
* [[リメゲパント]]([[Rimegepant]])、[[ウブロゲパント]]([[Ubrogepant]]):急性片頭痛の治療薬<ref name=Russo2023 />11
* [[アトゲパント]]([[Atogepant]])、[[リメゲパント]]([[Rimegepant]]):予防治療薬に承認
* [[ザベゲパント]]([[Zavegepant]]):[[鼻腔]]内製剤。[[経口薬]]で効果がない場合や、[[吐き気]]・[[嘔吐]]により服薬が困難な場合の選択肢となる。


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| フレマネズマブ(Fremanezumab)、ガルカネズマブ(Galcanezumab)、エプチネズマブ(Eptinezumab) || CGRP自体を中和
| フレマネズマブ(Fremanezumab)、ガルカネズマブ(Galcanezumab)、エプチネズマブ(Eptinezumab) || CGRP自体を中和
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| エプチネズマブ(Eptinezumab) || 静脈注射薬であり、0.5時間〜1時間以内の片頭痛発作にも効果がある<ref name=ref59>59</ref>
| エプチネズマブ(Eptinezumab) || 静脈注射薬であり、0.5時間〜1時間以内の片頭痛発作にも効果がある<ref name=Ailani2022><pubmed>35659622</pubmed></ref>59</ref>
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| rowspan="3" | ゲパント類小分子CGRP受容体拮抗薬 || リメゲパント(Rimegepant)、ウブロゲパント(Ubrogepant) || 急性片頭痛の治療薬<ref name=ref11>11</ref>
| rowspan="3" | ゲパント類小分子CGRP受容体拮抗薬 || リメゲパント(Rimegepant)、ウブロゲパント(Ubrogepant) || 急性片頭痛の治療薬<ref name=Russo2023 />11
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| アトゲパント(Atogepant)、リメゲパント(Rimegepant) || 予防治療薬に承認
| アトゲパント(Atogepant)、リメゲパント(Rimegepant) || 予防治療薬に承認