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[[ファイル:Fujiyama Ptf1a Fig3.png|サムネイル|'''図3. PTF1複合体として核内E-box配列に結合している様子''']] | [[ファイル:Fujiyama Ptf1a Fig3.png|サムネイル|'''図3. PTF1複合体として核内E-box配列に結合している様子''']] | ||
== 構造 == | == 構造 == | ||
=== 一次構造 === | |||
ヒトPTF1Aタンパク質は328アミノ酸から成り、塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス(basic helix-loop-helix)型DNA結合ドメインを有するClass II bHLH因子群に属する('''図1'''および'''2''')。主に核内で転写因子として機能する。PTF1Aのサブファミリーに属する因子はこれまで同定されていない。 | ヒトPTF1Aタンパク質は328アミノ酸から成り、塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス(basic helix-loop-helix)型DNA結合ドメインを有するClass II bHLH因子群に属する('''図1'''および'''2''')。主に核内で転写因子として機能する。PTF1Aのサブファミリーに属する因子はこれまで同定されていない。 | ||
===複合体=== | |||
PTF1AはEタンパク質およびRBPJ(Notchシグナルの媒介因子)とともに三量複合体PTF1を形成する。まずPTF1AとEタンパク質がヘテロ二量体を形成してDNA上のE-box配列(CANNTG)に結合する。さらにこの二量体にRecombination signal Binding Protein for immunoglobulin kappa J region (RBPJ、別名mammalian Suppressor of Hairless)あるいはRecombination signal Binding Protein for immunoglobulin kappa J region-like (RBPJL)がPTF1AのC末端側トリプトファン残基を介して結合することで、三量体PTF1として転写活性を発揮する('''図3''')<ref name=Obata2001><pubmed>11442633</pubmed></ref><ref name=Duque2022><pubmed>35704392</pubmed></ref><ref name=Beres2006><pubmed>16581783</pubmed></ref>[Beres et al., MCB 200645]。 | |||
== 発現 == | == 発現 == | ||
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== 機能 == | == 機能 == | ||
=== 分子機能 === | === 分子機能 === | ||
PTF1AはEタンパク質およびRBPJ(Notchシグナルの媒介因子)とともに三量複合体PTF1を形成することで転写因子として機能する<ref name=Obata2001><pubmed>11442633</pubmed></ref><ref name=Duque2022><pubmed>35704392</pubmed></ref>[Obata et al., 200119; Duque et al., FEBS 202244]。 | |||
Eタンパク質 (E-protein, E12/E47, TCF3)はbHLHファミリーに属する転写因子であり、PTF1Aとヘテロ二量体を形成してDNA上のE-box配列(CANNTG)に結合する。さらにこの二量体にRBPJがPTF1AのC末端側トリプトファン残基を介して結合することで、三量体PTF1として転写活性を発揮する('''図3''')<ref name=Beres2006><pubmed>16581783</pubmed></ref>[Beres et al., MCB 200645]。 | Eタンパク質 (E-protein, E12/E47, TCF3)はbHLHファミリーに属する転写因子であり、PTF1Aとヘテロ二量体を形成してDNA上のE-box配列(CANNTG)に結合する。さらにこの二量体にRBPJがPTF1AのC末端側トリプトファン残基を介して結合することで、三量体PTF1として転写活性を発揮する('''図3''')<ref name=Beres2006><pubmed>16581783</pubmed></ref>[Beres et al., MCB 200645]。 | ||
RBPJおよびRBPJLはいずれもNotchシグナル経路の中心的転写因子として知られ、DNA上のTC-box配列に結合する。活性化には補助因子との複合体形成が必要である。特に、膵外分泌酵素(elastase-1, amylase)の遺伝子や脊髄、網膜のGABA神経系分化関連遺伝子に対する転写制御においてPTF1複合体形成が転写活性に不可欠である<ref name=Masui2007><pubmed>17289922</pubmed></ref><ref name=Masui2010><pubmed>20398664</pubmed></ref><ref name=Hori2008><pubmed>18227107</pubmed></ref><ref name=Lelievre2011><pubmed>21270207</pubmed></ref>[Masui et al., Genes Dev 200714; Masui et al., Gastroenterology 201046; Hori et al., Genes and Dev 200847; Lelièvre et al., DB 201148]。 | |||
主な下流遺伝子を'''表1'''に示す。 | 主な下流遺伝子を'''表1'''に示す。 | ||