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<font size="+1">[http://researchmap.jp/2rikenbsi/?lang=japanese 林 康紀]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/2rikenbsi/?lang=japanese 林 康紀]</font><br> | ||
''京都大学大学院医学研究科 システム神経薬理学分野''<br> | ''京都大学大学院医学研究科 システム神経薬理学分野''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年2月5日 原稿完成日:2018年1月2日<br> | ||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/wadancnp 和田 圭司](国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/wadancnp 和田 圭司](国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)<br> | ||
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''詳細は、[[興奮毒性]]の項目参照。'' | ''詳細は、[[興奮毒性]]の項目参照。'' | ||
また、[[ | また、[[wj:ムラサキガイ|ムラサキガイ]]のもつ毒である[[ドウモイ酸]]は徳之島では駆虫薬としても用いられる興奮性アミノ酸の一つであり、カイニン酸型受容体のアゴニストとして機能する。珪藻により産生されるが、生物濃縮がかかりムラサキガイを初めとする海産生物に多量に含まれる事がある。これを食すると神経細胞死を引き起こす<ref><pubmed> 2540893 </pubmed></ref>。これが[[wj:貝毒|貝毒]]による[[wj:食中毒|食中毒]]の病態機序と考えられている。1987年11~12月、カナダ東岸で中毒が発生し、[[記憶喪失性貝毒]]として知られるようになった<ref>'''Aurélie Lelong, Hélène Hégaret, Philippe Soudant, and Stephen S. Bates'''<br>Pseudo-nitzschia (''Bacillariophyceae'') species, domoic acid and amnesic shellfish poisoning: revisiting previous paradigms.<br>''Phycologia'' 51: 168-216(2012)</ref> 。 | ||
一方、かつて[[ | 一方、かつて[[wj:中華料理店症候群|中華料理店症候群]](Chinese restaurant syndrome)の原因としてグルタミン酸が疑われた事があったが、通常食物に含まれる程度のグルタミン酸はかなりの部分が、[[wj:腸管|腸管]]での局所のエネルギー源として使用されてしまう<ref>'''鳥居邦夫、三村亨'''<br><small>L</small>-グルタミン酸塩類のラットにおける吸収と排泄について<br>''医薬品研究'' (1990)21: 242-256</ref>。また、血中へ入っても[[血液脳関門]]を越える事がないので、生理的条件下で中枢神経細胞に影響を与えるとは考えにくい。日本国内外での公的機関による[[wj:食品添加物|食品添加物]]としての安全性評価の結果では毒性は否定され、現在では摂取量には特に上限を設けられていない。 | ||
===自閉症=== | ===自閉症=== | ||
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麻酔薬として開発された[[フェンサイクリジン]](俗に[[エンジェルダスト]]とも呼ばれる)が統合失調症の症状にた幻覚などを示す事が知られていた。その後、フェンサイクリジンがNMDA型グルタミン酸受容体の[[非拮抗型阻害剤]]である事が示され、グルタミン酸受容体伝達の低下が統合失調症を起こすのではないかと示唆された<ref><pubmed> 2828962 </pubmed></ref>。実際に死後脳ではグルタミン酸受容体の発現が低下している事が報告されている<ref><pubmed> 10719155 </pubmed></ref><ref><pubmed>12559388</pubmed></ref>。また、NR1サブユニットの発現を低下させたマウスでは社会性の低下など統合失調症様症状が出る事が知られている<ref><pubmed> 10481908 </pubmed></ref>。現在、コアゴニストを用いてNMDA型受容体の機能を増強する事で統合失調症の症状が改善しないかが試みられている。 | 麻酔薬として開発された[[フェンサイクリジン]](俗に[[エンジェルダスト]]とも呼ばれる)が統合失調症の症状にた幻覚などを示す事が知られていた。その後、フェンサイクリジンがNMDA型グルタミン酸受容体の[[非拮抗型阻害剤]]である事が示され、グルタミン酸受容体伝達の低下が統合失調症を起こすのではないかと示唆された<ref><pubmed> 2828962 </pubmed></ref>。実際に死後脳ではグルタミン酸受容体の発現が低下している事が報告されている<ref><pubmed> 10719155 </pubmed></ref><ref><pubmed>12559388</pubmed></ref>。また、NR1サブユニットの発現を低下させたマウスでは社会性の低下など統合失調症様症状が出る事が知られている<ref><pubmed> 10481908 </pubmed></ref>。現在、コアゴニストを用いてNMDA型受容体の機能を増強する事で統合失調症の症状が改善しないかが試みられている。 | ||
''詳細は[[ | ''詳細は[[グルタミン酸仮説(統合失調症)]]の項目参照。'' | ||
==関連項目== | ==関連項目== | ||
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*[[AMPA型グルタミン酸受容体]] | *[[AMPA型グルタミン酸受容体]] | ||
*[[代謝活性型グルタミン酸受容体]] | *[[代謝活性型グルタミン酸受容体]] | ||
*[[ | *[[グルタミン酸仮説(統合失調症)]] | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references /> | <references /> |