「ヒスタミン」の版間の差分

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==== H2受容体 ====
==== H2受容体 ====
 神経細胞とグリア細胞に発現している。神経細胞に対して[[興奮性]]に作用する。末梢では主に胃壁細胞に存在し、胃酸分泌に関与している。H2[[拮抗薬]]は、胃潰瘍治療薬として用いられている。
 神経細胞とグリア細胞に発現している。神経細胞に対して[[興奮性]]に作用する。末梢では主に胃壁細胞に存在し、胃酸分泌に関与している。H2[[阻害薬]]は、胃潰瘍治療薬として用いられている。


==== H3受容体 ====
==== H3受容体 ====
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{| class="wikitable"
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|+表. ヒスタミン受容体と作動薬、阻害薬
|+表. ヒスタミン受容体と作動薬、阻害薬
!受容体!!遺伝子!!Allen Brain Atlas!!細胞内情報伝達!!特異的作動薬!!拮抗薬!!特異的拮抗薬
!受容体!!遺伝子!!Allen Brain Atlas!!細胞内情報伝達!!特異的作動薬!!阻害薬!!特異的阻害薬
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| H1受容体||[https://www.genenames.org/cgi-bin/gene_symbol_report?hgnc_id=HGNC:5182 HRH1]||[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/69257755 69257755]||[[Gq]]/[[G11|11]]<br>[[ホスホリパーゼC]]活性化<br>[[IP3]]と[[DG]]産生||[[メチルヒスタプロジフェン]]<br>[[ヒスタプロジフェン]]||[[シプロヘプタジン]]<br>[[プロメサジン]] <br>[[ピリラミン]] ([[逆作動薬]]) <br>[[セチリジン]] (逆作動薬) <br>[[ジフェンヒドラミン]]||[[クレマスチン]]<br> [[デスロラタジン]] <br> [[アゼラスチン]] <br>[[トリプロリジン]]<br> [[アステミゾール]]
| H1受容体||[https://www.genenames.org/cgi-bin/gene_symbol_report?hgnc_id=HGNC:5182 HRH1]||[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/69257755 69257755]||[[Gq]]/[[G11|11]]<br>[[ホスホリパーゼC]]活性化<br>[[IP3]]と[[DG]]産生||[[メチルヒスタプロジフェン]]<br>[[ヒスタプロジフェン]]||[[シプロヘプタジン]]<br>[[プロメサジン]] <br>[[ピリラミン]] ([[逆作動薬]]) <br>[[セチリジン]] (逆作動薬) <br>[[ジフェンヒドラミン]]||[[クレマスチン]]<br> [[デスロラタジン]] <br> [[アゼラスチン]] <br>[[トリプロリジン]]<br> [[アステミゾール]]
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 [[パーキンソン病]]患者では、黒質、[[被殻]]、[[淡蒼球]]でヒスタミンレベルが顕著に増加している<ref><pubmed>12065607</pubmed></ref>[38]。H3受容体に作用してドパミン遊離低下が起こっている可能性がある。[[統合失調症]]患者の[[前頭前皮質]]、[[帯状回]]のH1受容体量が減少している<ref><pubmed>1912125</pubmed></ref><ref><pubmed>15695063</pubmed></ref>[39,40]。アルツハイマー病患者では、[[前頭葉]]、[[側頭葉]]でヒスタミンレベルが低下している<ref><pubmed>10974435</pubmed></ref>[41]。
 [[パーキンソン病]]患者では、黒質、[[被殻]]、[[淡蒼球]]でヒスタミンレベルが顕著に増加している<ref><pubmed>12065607</pubmed></ref>[38]。H3受容体に作用してドパミン遊離低下が起こっている可能性がある。[[統合失調症]]患者の[[前頭前皮質]]、[[帯状回]]のH1受容体量が減少している<ref><pubmed>1912125</pubmed></ref><ref><pubmed>15695063</pubmed></ref>[39,40]。アルツハイマー病患者では、[[前頭葉]]、[[側頭葉]]でヒスタミンレベルが低下している<ref><pubmed>10974435</pubmed></ref>[41]。


 H3受容体は各種の神経系のシナプス前膜に存在し、ヒスタミンの他、アセチルコリン、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン、グルタミン酸、GABAの遊離を抑制する。H3拮抗薬は、これらの抑制を解除し遊離量を増やすため、アルツハイマー病、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、統合失調症、多発性硬化症の治療薬となる可能性がある<ref name=Leurs2011/><ref name=Vohora2012/><ref><pubmed> 20864502 </pubmed></ref>[36,37,42]。
 H3受容体は各種の神経系のシナプス前膜に存在し、ヒスタミンの他、アセチルコリン、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン、グルタミン酸、GABAの遊離を抑制する。H3阻害薬は、これらの抑制を解除し遊離量を増やすため、アルツハイマー病、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、統合失調症、多発性硬化症の治療薬となる可能性がある<ref name=Leurs2011/><ref name=Vohora2012/><ref><pubmed> 20864502 </pubmed></ref>[36,37,42]。


 ヒスタミンは動揺病(乗り物酔い)の原因となる。空間認知の情報処理における齟齬からヒスタミンニューロンが活性化され、[[嘔吐中枢]]のH1受容体を活性化することによる。
 ヒスタミンは動揺病(乗り物酔い)の原因となる。空間認知の情報処理における齟齬からヒスタミンニューロンが活性化され、[[嘔吐中枢]]のH1受容体を活性化することによる。


 てんかん発作に対しては、ヒスタミンがH1受容体を介して抑制すること、H3拮抗薬が抑制すること、逆にH1拮抗薬は発作を悪化させること等が考えられているが、まだ確定していない<ref><pubmed>22758607</pubmed></ref>[43]。
 てんかん発作に対しては、ヒスタミンがH1受容体を介して抑制すること、H3阻害薬が抑制すること、逆にH1阻害薬は発作を悪化させること等が考えられているが、まだ確定していない<ref><pubmed>22758607</pubmed></ref>[43]。


==関連項目==
==関連項目==