「セロトニン神経系」の版間の差分

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==== 攻撃性  ====
==== 攻撃性  ====


 セロトニン枯渇実験などの結果に基づき、従来はセロトニンが[[攻撃性]]を抑制することが定説となっていた。しかし、セロトニンが攻撃性に及ぼす影響は、用いられる動物モデルなどに依存し、促進的に働く場合もあることが示されている<ref name="ref4" /> <ref name="ref6"><pubmed>15817750</pubmed></ref> <ref name="ref7"><pubmed>20938650</pubmed></ref>。ヒトでもSSRIが攻撃性に対して抑制的、促進的、どちらにも働き得ることが報告されている<ref><pubmed>19404614</pubmed></ref>。攻撃性に対するセロトニンの影響は、攻撃の特性(trait)か攻撃の状態(state)に関するものか、あるいは能動的攻撃か反応的攻撃かなどによって異なることが示唆されている<ref name="ref4" /> <ref name="ref6" />。実験動物において5-HT<sub>1A</sub>、5-HT<sub>1B</sub>受容体アゴニストの全身投与や視床下部、[[中脳水道周囲灰白質]]に対する局所投与は攻撃性に対して抑制的に作用する。5-HT<sub>1A</sub>アゴニストの全身投与は沈静などの非特異的な効果を伴うのに対し、5-HT<sub>1B</sub>アゴニストは特異的に攻撃性を抑制する。また、5-HT<sub>1B</sub>受容体欠損マウスでは攻撃性が上昇している<ref name="ref6" /> <ref name="ref7" />。セロトニン、[[ノルアドレナリン]]の代謝酵素MAO<sub>A</sub>(monoamine oxidase A)を欠損したマウスでは、脳のセロトニン含量の増加と攻撃性の亢進が生じている。攻撃性の変化は5-HT<sub>2A</sub>受容体のアンタゴニストで抑制できるため、この場合5-HT<sub>2A</sub>受容体が攻撃性に対して促進的に働いていると考えられる<ref><pubmed>18258310</pubmed></ref>。  
 セロトニン枯渇実験などの結果に基づき、従来はセロトニンが[[攻撃性]]を抑制することが定説となっていた。しかし、セロトニンが攻撃性に及ぼす影響は、用いられる[[動物モデル]]などに依存し、促進的に働く場合もあることが示されている<ref name="ref4" /> <ref name="ref6"><pubmed>15817750</pubmed></ref> <ref name="ref7"><pubmed>20938650</pubmed></ref>。ヒトでもSSRIが攻撃性に対して抑制的、促進的、どちらにも働き得ることが報告されている<ref><pubmed>19404614</pubmed></ref>。攻撃性に対するセロトニンの影響は、攻撃の特性(trait)か攻撃の状態(state)に関するものか、あるいは能動的攻撃か反応的攻撃かなどによって異なることが示唆されている<ref name="ref4" /> <ref name="ref6" />。実験動物において5-HT<sub>1A</sub>、5-HT<sub>1B</sub>受容体アゴニストの全身投与や視床下部、[[中脳水道周囲灰白質]]に対する局所投与は攻撃性に対して抑制的に作用する。5-HT<sub>1A</sub>アゴニストの全身投与は沈静などの非特異的な効果を伴うのに対し、5-HT<sub>1B</sub>アゴニストは特異的に攻撃性を抑制する。また、5-HT<sub>1B</sub>受容体欠損マウスでは攻撃性が上昇している<ref name="ref6" /> <ref name="ref7" />。セロトニン、[[ノルアドレナリン]]の代謝酵素MAO<sub>A</sub>(monoamine oxidase A)を欠損したマウスでは、脳のセロトニン含量の増加と攻撃性の亢進が生じている。攻撃性の変化は5-HT<sub>2A</sub>受容体のアンタゴニストで抑制できるため、この場合5-HT<sub>2A</sub>受容体が攻撃性に対して促進的に働いていると考えられる<ref><pubmed>18258310</pubmed></ref>。  


==== 情動  ====
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