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==診断== | ==診断== | ||
[[IMAGE:てんかん脳波1.png|thumb|350px|'''脳波1.覚醒時大発作てんかん発作時の脳波'''<br>10歳女児の脳波で両側性に棘波の群発を認める。]] | |||
[[IMAGE:てんかん脳波2.png|thumb|350px|'''脳波2.前頭葉てんかん'''<br>10歳男児の脳波で、左前頭葉に棘徐派結合を認める。]] | |||
[[IMAGE:てんかん脳波3.png|thumb|350px|'''脳波3.側頭葉てんかん'''<br>21歳女性の脳波で、左側頭前部から側頭中部にかけて、棘波、鋭波の群発を認める。]] | |||
[[IMAGE:てんかん脳波4.png|thumb|350px|'''脳波4.後頭葉てんかん'''<br>10歳男児の脳波で、右後頭葉優位に、棘徐波結合を認める。]] | |||
[[IMAGE:てんかん脳波5.png|thumb|350px|'''脳波5.中心・側頭部に棘波を持つ良性小児てんかん'''<br>左半球(左中心・側頭部)にローランド棘波を認める 。]] | |||
[[IMAGE:てんかん脳波6.png|thumb|350px|'''脳波6.欠神発作時の脳波'''<br>脳全体に3Hz(1秒間に3回の頻度)の棘波結合の持続的な出現を認める。]] | |||
[[IMAGE:てんかん脳波7.png|thumb|350px|'''脳波7.ウエスト症候群の脳波'''<br>棘波、多棘波、高振幅の徐波が、同期せずばらばらに出現し、ヒプスアリスミア(hypsarrythmia)を示す。]] | |||
[[IMAGE:てんかん脳波8.png|thumb|350px|'''脳波8.レノックス・ガストー症候群の脳波'''<br>脳全体に3cpsより遅い棘徐波結合が頻会に出現する。]] | |||
===病歴=== | ===病歴=== | ||
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==== 脳波 ==== | ==== 脳波 ==== | ||
てんかんの診断に脳波検査は欠かせない。同じパターンを示す発作の確認と発作間歇期に発作波([[棘徐波結合]]、[[鋭波-徐波結合]]、[[棘波]]、[[鋭波]]、[[徐波]]の群発などが記録されるとてんかんと考えられるが(<u>編集部コメント:それぞれ図があるとイメージしやすいと思います。</u>)、てんかんであっても脳波異常が記録されないときもあるため、発作症状からてんかんが疑われる場合には時間をおいて繰り返し、脳波を記録する必要がある。24時間連続して記録するビデオ脳波同時記録は服薬をしない状態で記録するため、発作時脳波を記録できる可能性が高く、鑑別診断の有力な手段である。 | てんかんの診断に脳波検査は欠かせない。同じパターンを示す発作の確認と発作間歇期に発作波([[棘徐波結合]]、[[鋭波-徐波結合]]、[[棘波]]、[[鋭波]]、[[徐波]]の群発などが記録されるとてんかんと考えられるが(<u>編集部コメント:それぞれ図があるとイメージしやすいと思います。</u>)、てんかんであっても脳波異常が記録されないときもあるため、発作症状からてんかんが疑われる場合には時間をおいて繰り返し、脳波を記録する必要がある。24時間連続して記録するビデオ脳波同時記録は服薬をしない状態で記録するため、発作時脳波を記録できる可能性が高く、鑑別診断の有力な手段である。 | ||
==== 画像診断 ==== | ==== 画像診断 ==== | ||
てんかんの原因として[[脳奇形]]、[[脳腫瘍]]、[[脳出血]]、[[脳萎縮]]など脳の器質性疾患を見出すには MRI検査が有力であり,[[PET]]あるいはSPECTを併用し代謝、血流の変化する部位同定も焦点部位決定に役立つ。 | てんかんの原因として[[脳奇形]]、[[脳腫瘍]]、[[脳出血]]、[[脳萎縮]]など脳の器質性疾患を見出すには MRI検査が有力であり,[[PET]]あるいはSPECTを併用し代謝、血流の変化する部位同定も焦点部位決定に役立つ。 | ||
==== 遺伝子診断 ==== | ==== 遺伝子診断 ==== | ||
一部のてんかん類型では遺伝子検査が行われる。特に生後間もない時に発病するてんかん類型('''表3''')では鑑別診断に有力な検査手段となる。てんかんの発病を防止しようとする動きがあり、これには発病前の治療が必要性であり、ハイリスク児同定に遺伝子検査が有力な手段となる<ref name=ref11>'''兼子直、他'''<br>新しい抗てんかん薬の開発とてんかんの発病防止戦略<br>''最新医学'' 70;1044-1050, 2015.</ref>。 | 一部のてんかん類型では遺伝子検査が行われる。特に生後間もない時に発病するてんかん類型('''表3''')では鑑別診断に有力な検査手段となる。てんかんの発病を防止しようとする動きがあり、これには発病前の治療が必要性であり、ハイリスク児同定に遺伝子検査が有力な手段となる<ref name=ref11>'''兼子直、他'''<br>新しい抗てんかん薬の開発とてんかんの発病防止戦略<br>''最新医学'' 70;1044-1050, 2015.</ref>。 | ||
====血液生化学==== | ====血液生化学==== | ||
目撃者がいない場合にはけいれん発作後の[[wj:クレアチンホスホキナーゼ|クレアチンホスホキナーゼ]] (CPK)の上昇、複雑部分発作の30分以内なら血中[[プロラクチン]]濃度などの増加も診断上参考になる。 | 目撃者がいない場合にはけいれん発作後の[[wj:クレアチンホスホキナーゼ|クレアチンホスホキナーゼ]] (CPK)の上昇、複雑部分発作の30分以内なら血中[[プロラクチン]]濃度などの増加も診断上参考になる。 | ||
====心電図==== | ====心電図==== | ||
[[複雑部分発作]]などの意識障害の存在が疑われ、脳波異常がなければ、[[wj:心電図|心電図]]検査、[[wj:ホルター心電図|ホルター心電図]]検査も必要となる。 | [[複雑部分発作]]などの意識障害の存在が疑われ、脳波異常がなければ、[[wj:心電図|心電図]]検査、[[wj:ホルター心電図|ホルター心電図]]検査も必要となる。 | ||
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==== 心因性非てんかん発作 ==== | ==== 心因性非てんかん発作 ==== | ||
心因性非てんかん発作(PNES)は精神医学でいう解離性障害あるいは転換性障害のひとつといえるが、まったく同一とはいえない。診断で難しいのはてんかんと 心因性非てんかん発作が合併した場合である。難治てんかんでは両者の合併は10-35%と高頻度である<ref name=ref14>'''Krumholz A et al'''<br>Coexisting epilepsy and nonepileptic seizures.<br>In: Kaplan PW, et al, eds: Imitator of epilepsy.<br>Pp 261-276, Demos Medical Publishingm INC, New York, 2005. </ref>。 症状は多彩である。首の横振り、[[後弓反張]]、不規則な手足の運動、刺激に反応する場合がある。発作時には閉眼していることが多く、開眼させようとすると抵抗し、[[対光反射]]は存在する。ビデオ脳波同時記録を行い、発作症状と[[脳波]]所見が一致するか否かが診断の要点となる。発作が始まった時期の前に“心因”の存在を見出すことが重要である。 | |||
====循環器疾患に伴う失神==== | ====循環器疾患に伴う失神==== | ||
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==== 夜驚症、夢中遊行、錯乱性覚醒 ==== | ==== 夜驚症、夢中遊行、錯乱性覚醒 ==== | ||
いずれも主に小児にみられ、[[ノンレム睡眠]]からの覚醒障害により生ずると考えられている。[[夜驚症]]は睡眠中に突然起きだし[[恐怖]]に満ちた叫び、外界からの刺激に反応せず、混乱、[[失見当識]]を示す。[[夢中遊行]]は睡眠中に起き上がり、開眼し歩き回る。その後布団に戻って眠ることが多い。[[錯乱性覚醒]]は覚醒後数十分間、[[ | いずれも主に小児にみられ、[[ノンレム睡眠]]からの覚醒障害により生ずると考えられている。[[夜驚症]]は睡眠中に突然起きだし[[恐怖]]に満ちた叫び、外界からの刺激に反応せず、混乱、[[失見当識]]を示す。[[夢中遊行]]は睡眠中に起き上がり、開眼し歩き回る。その後布団に戻って眠ることが多い。[[錯乱性覚醒]]は覚醒後数十分間、[[失見当識]]や思考の緩慢さが見られる。これらの状態は[[前頭葉てんかん]]との鑑別に重要である。 | ||
==== 入眠時ミオクローヌス ==== | ==== 入眠時ミオクローヌス ==== | ||
[[入眠時ミオクローヌス]]とは、入眠期に起こる短い不規則な筋の収縮であり、発生機序は不明である。[[ミオクロニー発作]]、[[単純部分発作]]との鑑別に重要である。[[周期性四肢運動障害]]は睡眠中に起こる足関節の背屈進展を伴う運動が頻回に出現する状態であり、入眠時ミオクローヌスとは異なる。 | [[入眠時ミオクローヌス]]とは、入眠期に起こる短い不規則な筋の収縮であり、発生機序は不明である。[[ミオクロニー発作]]、[[単純部分発作]]との鑑別に重要である。[[周期性四肢運動障害]]は睡眠中に起こる足関節の背屈進展を伴う運動が頻回に出現する状態であり、入眠時ミオクローヌスとは異なる。 | ||
==== 周期性四肢運動障害 ==== | ==== 周期性四肢運動障害 ==== | ||
[[周期性四肢運動障害]]とは睡眠中に起こる常同的四肢の運動で、[[むずむず脚症候群]]とオーバーラップする症候群として捉えられる。下肢に多く見られ、重症になると入眠が困難になる。病態として[[視床下部]]A11の[[ドーパミン]](DA)細胞の機能低下が考えられている<ref name=ref9>'''稲見康司、他'''<br>むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害<br>''日本臨床'' 71(増刊号5);485-490, 2013.</ref>。 | [[周期性四肢運動障害]]とは睡眠中に起こる常同的四肢の運動で、[[むずむず脚症候群]]とオーバーラップする症候群として捉えられる。下肢に多く見られ、重症になると入眠が困難になる。病態として[[視床下部]]A11の[[ドーパミン]](DA)細胞の機能低下が考えられている<ref name=ref9>'''稲見康司、他'''<br>むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害<br>''日本臨床'' 71(増刊号5);485-490, 2013.</ref>。 | ||
==== 発作性ジスキネジア ==== | ==== 発作性ジスキネジア ==== | ||
[[発作性ジスキネジア]](PD)は[[ジストニア]]、[[アテトーゼ]]、[[バリスムス]]、[[舞踏病]]が単独あるいは複合して出現する。[[発作性運動誘発性ジスキネジア]](paroxysmal kinesigenic dyskinesia: PKD)は男性に多く、家族性症例が多い。[[Proline-rich transmembrane protein 2]]が責任遺伝子の1つとして報告された<ref name=ref8><pubmed>22752065</pubmed></ref>。意識障害はなく、発作間欠期は無症候性である。発作は数十秒で毎日のように頻回に出現する。[[随意運動]]の開始、[[ストレス]]、緊張などにより誘発され、[[前兆]](感覚異常など)がある症例が多い。特発性発作性運動性ジスキネジアでは発作時脳波にも異常は見られない。症候性の場合には画像所見で異常が見いだされることもある。 | [[発作性ジスキネジア]](PD)は[[ジストニア]]、[[アテトーゼ]]、[[バリスムス]]、[[舞踏病]]が単独あるいは複合して出現する。[[発作性運動誘発性ジスキネジア]](paroxysmal kinesigenic dyskinesia: PKD)は男性に多く、家族性症例が多い。[[Proline-rich transmembrane protein 2]]が責任遺伝子の1つとして報告された<ref name=ref8><pubmed>22752065</pubmed></ref>。意識障害はなく、発作間欠期は無症候性である。発作は数十秒で毎日のように頻回に出現する。[[随意運動]]の開始、[[ストレス]]、緊張などにより誘発され、[[前兆]](感覚異常など)がある症例が多い。特発性発作性運動性ジスキネジアでは発作時脳波にも異常は見られない。症候性の場合には画像所見で異常が見いだされることもある。 | ||
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==分類== | ==分類== | ||
てんかんの遺伝子解析の最近の進歩で、国際抗てんかん連盟(ILAE)は新たな分類を提案しているが、現実的にはてんかん発作型の分類が抗てんかん薬選択に用いれるため、てんかん発作の国際分類(1981年)<ref name=ref4><pubmed>6790275</pubmed></ref>が多く使われている(表1)。 | |||
この分類では発作は[[全般発作]]と[[部分発作]]に | この分類では発作は[[全般発作]]と[[部分発作]]に 分類され、それぞれ、前者は[[欠神発作]]、[[ミオクロニー発作]]、[[間代発作]]、[[強直発作]]、[[強直間代発作]]、[[脱力発作]]に分けられ、後者は[[単純部分発作]]、[[複雑部分発作]]と[[2次性全般化発作]]に分けられる。これらの分類に従って治療のための抗てんかん薬が選択される。 | ||
{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
121行目: | 133行目: | ||
===全般発作=== | ===全般発作=== | ||
発作の起始から発作発射が脳全体に及び起こる発作で、発作直後から意識は失われる。原因として遺伝的素因が関与すると考えられている。 | 発作の起始から発作発射が脳全体に及び起こる発作で、発作直後から意識は失われる。原因として遺伝的素因が関与すると考えられている。 | ||
==== 欠神発作 ==== | ==== 欠神発作 ==== | ||
ごく短時間の意識喪失を示す発作で定型と非定型の2種類に分けられる。 | |||
定型欠神発作は数秒から十数秒の意識障害が突然始まり速やかに回復する。発作は頻発する傾向があり、思春期頃には消失することが多いが、一部は強直間代発作に移行する。発作時脳波は[[3Hz棘徐派結合]]ないし[[多棘徐派結合]]を示す。<BR> 否定形欠神発作は意識障害以外にも各種症状が混在した臨床症状(ミオクロニー、自働症、間代運動、自律神経症状など)がより多く見られ、脱力などの筋緊張の変化がみられることも多い。発作の始まりと終わりがゆっくりで、脳波所見も不規則で左右非対称、背景活動も突発性異常波が混在することもある。欠神発作は複雑部分発作との鑑別が必要なときがあるが、複雑部分発作は発作持続時間がより長く、成人に多い。 | |||
==== ミオクロニー発作 ==== | ==== ミオクロニー発作 ==== | ||
突然に両側同時に強い筋の[[れん縮]]が出現する。瞬間的なので意識障害を伴わず、光刺激により誘発されやすい。思春期に好発し、覚醒直後、入眠期に起こりやすい。発作時の脳波では両側同期性の棘徐波結合が出現し、棘波に一致し筋れん縮が起こる。 | 突然に両側同時に強い筋の[[れん縮]]が出現する。瞬間的なので意識障害を伴わず、光刺激により誘発されやすい。思春期に好発し、覚醒直後、入眠期に起こりやすい。発作時の脳波では両側同期性の棘徐波結合が出現し、棘波に一致し筋れん縮が起こる。 | ||
==== 間代発作 ==== | ==== 間代発作 ==== | ||
意識消失とともに数秒から1分以上の左右対称性の全身の律動的な筋の痙攣を起こす。発作時脳波では10Hz以上の速波と徐派から構成され、棘徐派結合も出現する。 | 意識消失とともに数秒から1分以上の左右対称性の全身の律動的な筋の痙攣を起こす。発作時脳波では10Hz以上の速波と徐派から構成され、棘徐派結合も出現する。 | ||
245行目: | 262行目: | ||
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==病態生理== | ==病態生理== | ||
てんかんの原因には遺伝性、脳血管性、外傷性、腫瘍性、変性、感染症性などがあるが、これにより神経細胞の抑制の低下または[[興奮性]]の亢進により神経細胞が興奮し、てんかん発作を起こす。てんかんを起こすようになる脳内の変化を[[てんかん原性]](epileptogenesis)といい、発作を繰り返し起こすようになる変化を[[発作原性]](ictogenesis)というが、それぞれの過程が脳内に成立する時期と期間が存在することが分かってきた<ref name=ref22><pubmed>24045013</pubmed></ref> <ref name=ref23><pubmed>19020039</pubmed></ref>。神経細胞自体の興奮性は細胞内外の[[イオン]]濃度の変化、[[グリア細胞]]からの影響を受ける。 | てんかんの原因には遺伝性、脳血管性、外傷性、腫瘍性、変性、感染症性などがあるが、これにより神経細胞の抑制の低下または[[興奮性]]の亢進により神経細胞が興奮し、てんかん発作を起こす。てんかんを起こすようになる脳内の変化を[[てんかん原性]](epileptogenesis)といい、発作を繰り返し起こすようになる変化を[[発作原性]](ictogenesis)というが、それぞれの過程が脳内に成立する時期と期間が存在することが分かってきた<ref name=ref22><pubmed>24045013</pubmed></ref> <ref name=ref23><pubmed>19020039</pubmed></ref>。神経細胞自体の興奮性は細胞内外の[[イオン]]濃度の変化、[[グリア細胞]]からの影響を受ける。 | ||
258行目: | 276行目: | ||
薬剤選択には副作用も考慮すべき要因である。容量依存性服作用はすべての抗てんかん薬で存在するため、投与量、血中濃度に留意する必要があるが、各薬剤特有の副作用が薬剤選択に重要である。[[フェニトイン]]は歯肉増殖、[[wikipedia:ja:多毛症|多毛症]]のゆえに女性には避けるべきで、ソニサミド、トピラメートでうつ症状が出現することがあり、レベチラセタムでは行動異常が、ラモトリジンでは重篤な発疹が出現することがある。 | 薬剤選択には副作用も考慮すべき要因である。容量依存性服作用はすべての抗てんかん薬で存在するため、投与量、血中濃度に留意する必要があるが、各薬剤特有の副作用が薬剤選択に重要である。[[フェニトイン]]は歯肉増殖、[[wikipedia:ja:多毛症|多毛症]]のゆえに女性には避けるべきで、ソニサミド、トピラメートでうつ症状が出現することがあり、レベチラセタムでは行動異常が、ラモトリジンでは重篤な発疹が出現することがある。 | ||
抗てんかん薬には発疹を起こすものがあるが、[[HLA]]領域の[[遺伝子多型]]によることが明らかとなり、予測可能性が出てきた<ref name=ref21>'''吉田秀一ら'''<br>遺伝情報に基づいた個別化治療<br>''医学のあゆみ'' 232;951-955, 2010.</ref>。 | |||
===個別化治療=== | ===個別化治療=== | ||
280行目: | 298行目: | ||
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|カルバマゼピン | |カルバマゼピン | ||
|'''[[CYP3A4]]/[[CYP3A5|5]]''' | |'''[[CYP3A4]]/[[CYP3A5|5]]'''(CYP3A4とCYP3A5は分離不可能な場合がある), [[CYP2D6]], [[CYP2C8]], [[EPHX1]] | ||
|[[wj:酸化|酸化]] | |[[wj:酸化|酸化]] | ||
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308行目: | 326行目: | ||
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|レベチラセタム | |レベチラセタム | ||
| | |水酸化酵素(アセトアミド基の酵素的加水分解) | ||
|腎排泄(65%)と[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]](35%) | |腎排泄(65%)と[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]](35%) | ||
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324行目: | 342行目: | ||
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|} | |} | ||
太字で示されている酵素は抗てんかん薬代謝に関与する主な[[wikipedia:Epoxide hydrolase|酵素]]である。CYP:酸化的代謝を行うチトクロームp450、EPH:エポキシド水解酵素、UGT:UDP-グルクロニールトランスフェラーゼ | |||
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