16,040
回編集
細編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
145行目: | 145行目: | ||
===逆作動薬 === | ===逆作動薬 === | ||
受容体は、活性化状態と不活性化状態という2つの状態(コンフォメーション)をとりうる。[[ | 受容体は、活性化状態と不活性化状態という2つの状態(コンフォメーション)をとりうる。[[作動薬]]が結合した場合には、ほとんどが活性化状態になる。作動薬がない状況では、大部分は不活性化状態にあるが一部は活性化状態にある。従って、わずかではあるが、受容体シグナル伝達が起こっている。阻害薬は、通常受容体結合部位に結合して、作動薬の結合を邪魔する(受容体に結合するが反応を起こさない)ものを言う。その定義においては、阻害薬は、受容体の活性化状態、不活性化状態の割合に影響を与えない。 | ||
[[逆作動薬]]([[インバースアゴニスト]] | [[逆作動薬]]([[インバースアゴニスト]])は、受容体のほとんどを不活性状態に移行させるものを言う。従って逆作動薬が存在すると、作動薬がなくてもわずかに起こっていた受容体反応を抑えることができる。この概念が有用になるのは、例えばアレルギー性鼻炎におけるH1受容体の例である。この症状が進んだ場合にはH1受容体レベルの上昇が考えられる<ref>'''堀尾修平'''<br>ヒスタミン受容体をめぐるクロストーク<br>''生物物理: 50:290-293 '':2010</ref>[20]。すると、ヒスタミンが遊離されていない場合でも、H1受容体反応が進行しアレルギー反応が出てしまう。この反応はさらにH1受容体レベルを上げる。この悪循環を断ち切るには、H1受容体の逆作動薬を、できる限り早期に利用するのが有効である<ref><pubmed>26598006</pubmed></ref>[21]。ほとんどのH1受容体阻害薬は逆作動薬である。 | ||
H1受容体の結晶構造がX線解析から明らかになった<ref><pubmed>21697825</pubmed></ref>[22]。逆作動薬である[[ドキセピン]]が結合した不活性化状態の構造を見たものである。今後さらに特異性の高いH1阻害薬の開発に役立つと考えられる。 | H1受容体の結晶構造がX線解析から明らかになった<ref><pubmed>21697825</pubmed></ref>[22]。逆作動薬である[[ドキセピン]]が結合した不活性化状態の構造を見たものである。今後さらに特異性の高いH1阻害薬の開発に役立つと考えられる。 | ||
H3受容体、H4受容体は恒常的活性がかなり高い受容体である<ref><pubmed>11130725</pubmed></ref><ref><pubmed>24903527</pubmed></ref>[23,24] | H3受容体、H4受容体は恒常的活性がかなり高い受容体である<ref><pubmed>11130725</pubmed></ref><ref><pubmed>24903527</pubmed></ref>[23,24](すなわち、作動薬がなくても受容体のかなりの割合が活性化状態にある)。H3受容体阻害薬のチオペラミド、クロベンプロピットは逆作動薬である。H4受容体阻害薬のチオペラミド、JNJ7777120は、動物種によって、逆作動薬、[[部分逆作動薬]]、部分作動薬、ニュートラルアンタゴニストと性質が異なるので注意が必要である<ref><pubmed>26084539</pubmed></ref>[25]。 | ||
== 末梢機能 == | == 末梢機能 == |