「サイクリックAMP応答配列結合タンパク質」の版間の差分

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== 疾患との関わり ==
== 疾患との関わり ==
 CREBは長期記憶以外にも多様な神経機能において中核的役割を果しており、その機能破綻は様々な疾患の原因となりうる。CREBはCBPあるいはp300を介して転写調節を行うが、CBP/p300の変異はヒトの精神運動発達障害を伴う[[Rubinstein-Taybi症候群]]の原因となることが明らかになっている<ref><pubmed>7630403</pubmed></ref>。また、ポリグルタミン病早期における病態の一つは、CREB依存的転写の阻害である可能性が指摘されている<ref><pubmed> 10958659 </pubmed></ref>。また、アルコール中毒やコカインなどの薬物中毒となる過程においてもCREBによる転写調節が役割を果たしていることが動物実験において示されている<ref><pubmed> 15982754 </pubmed></ref>[28]。さらには、[[鬱病]]の治療薬である抗うつ剤の多くはCREB活性を上昇させることが示されており、鬱病におけるCREBの転写活性の低下の可能性が示唆されている<ref><pubmed> 12486182</pubmed></ref>。しかし逆に、動物実験において側坐核などの特定の神経核においてCREB活性を強制的に上昇させた場合に鬱様の行動が惹起されることから<ref><pubmed>11549750</pubmed></ref>、正常な脳機能を保つためには適切なレベルのCREB依存的な転写調節が必要であると考えられる。
 CREBは長期記憶以外にも多様な神経機能において中核的役割を果しており、その機能破綻は様々な疾患の原因となりうる。CREBはCBPあるいはp300を介して転写調節を行うが、CBP/p300の変異はヒトの精神運動発達障害を伴う[[Rubinstein-Taybi症候群]]の原因となることが明らかになっている<ref><pubmed>7630403</pubmed></ref>。また、ポリグルタミン病早期における病態の一つは、CREB依存的転写の阻害である可能性が指摘されている<ref><pubmed> 10958659 </pubmed></ref>。また、アルコール中毒やコカインなどの薬物中毒となる過程においてもCREBによる転写調節が役割を果たしていることが動物実験において示されている<ref><pubmed> 15982754 </pubmed></ref>。さらには、[[鬱病]]の治療薬である抗うつ剤の多くはCREB活性を上昇させることが示されており、鬱病におけるCREBの転写活性の低下の可能性が示唆されている<ref><pubmed> 12486182</pubmed></ref>。しかし逆に、動物実験において側坐核などの特定の神経核においてCREB活性を強制的に上昇させた場合に鬱様の行動が惹起されることから<ref><pubmed>11549750</pubmed></ref>、正常な脳機能を保つためには適切なレベルのCREB依存的な転写調節が必要であると考えられる。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references/>
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