「プリン受容体」の版間の差分

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(A2B receptor、遺伝子名:ADORA2B(ヒト)、Adora2b(ラット、マウス))
(A2B receptor、遺伝子名:ADORA2B(ヒト)、Adora2b(ラット、マウス))


 A2A受容体と同様にGs共役型GPCRであるが、アデノシンへの親和性が低く、アデノシンの他にnetrin-1の受容体としても機能する[22]。A2B受容体選択的作動薬としてBAY 60-6583やNECA、拮抗薬としてMRS-1754やMRE-2029-F20、CVT6883、PSB-1115などがある[15]。A2B受容体は、中枢神経系を含め、全身に広く発現しており[23]、特に脳や腸、腎臓、肺に多く、心臓や大動脈にもわずかに発現が見られるが、肝臓ではほとんど見られない[24]。また、肥満細胞や繊維芽細胞にも発現する[23, 25]。A2B受容体欠損マウスにおいて、リポ多糖(LPS)による炎症及びサイトカイン産生の抑制やリンパ球の血管付着の増加[24]、肥満細胞の活性化及びIgE誘発アナフィラキシー亢進[25]、心筋虚血プレコンデショニングによる心臓保護作用の抑制が報告されている[26]
 A2A受容体と同様にGs共役型GPCRであるが、アデノシンへの親和性が低く、アデノシンの他にnetrin-1の受容体としても機能する<ref name=ref22><pubmed>11048721</pubmed></ref>。A2B受容体選択的作動薬としてBAY 60-6583やNECA、拮抗薬としてMRS-1754やMRE-2029-F20、CVT6883、PSB-1115などがある<ref name=ref15 />。A2B受容体は、中枢神経系を含め、全身に広く発現しており<ref name=ref23><pubmed>9443164</pubmed></ref>、特に脳や腸、腎臓、肺に多く、心臓や大動脈にもわずかに発現が見られるが、肝臓ではほとんど見られない<ref name=ref24><pubmed>16823489</pubmed></ref>。また、肥満細胞や繊維芽細胞にも発現する<ref name=ref23 /> <ref name=ref>25<pubmed>17200408</pubmed></ref>。A2B受容体欠損マウスにおいて、リポ多糖(LPS)による炎症及びサイトカイン産生の抑制やリンパ球の血管付着の増加<ref name=ref24 />、肥満細胞の活性化及びIgE誘発アナフィラキシー亢進<ref name=ref25 />、心筋虚血プレコンデショニングによる心臓保護作用の抑制が報告されている<ref name=ref26><pubmed>17353435</pubmed></ref>


===A3受容体===
===A3受容体===
(A3 receptor、遺伝子名:ADORA3(ヒト)、Adora3(ラット、マウス))
(A3 receptor、遺伝子名:ADORA3(ヒト)、Adora3(ラット、マウス))


 薬理学的機能同定前にクローニングされた唯一のアデノシン受容体サブタイプで、Gi、GoあるいはGqタンパク質と共役し細胞内にシグナルを伝える[6]。肺や腎臓、心臓、脳、脾臓、肝臓など全身の様々な組織に発現しているが、その発現レベルは動物種間で大きく異なっている[4, 27]。例えば、ラットでは睾丸や肥満細胞で発現量が高いのに対して、人では肺や肝臓でその発現が高く、脳や大動脈での発現量は低い[3]。A3受容体欠損マウスにおいては、野生型マウスと比較して、眼圧の低下[28]や局所炎症反応の減少[29]など、いくつかの表現型の違いが観察される。
 薬理学的機能同定前にクローニングされた唯一のアデノシン受容体サブタイプで、Gi、GoあるいはGqタンパク質と共役し細胞内にシグナルを伝える<ref name=ref6 />。肺や腎臓、心臓、脳、脾臓、肝臓など全身の様々な組織に発現しているが、その発現レベルは動物種間で大きく異なっている<ref name=ref4 /> <ref name=ref27><pubmed>18029023</pubmed></ref>。例えば、ラットでは睾丸や肥満細胞で発現量が高いのに対して、人では肺や肝臓でその発現が高く、脳や大動脈での発現量は低い<ref name=ref3 />。A3受容体欠損マウスにおいては、野生型マウスと比較して、眼圧の低下<ref name=ref28><pubmed>12202525</pubmed></ref>や局所炎症反応の減少<ref name=ref29><pubmed>12220556</pubmed></ref>など、いくつかの表現型の違いが観察される。


== P2受容体 ==
== P2受容体 ==
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(P2X1 receptor、遺伝子名:P2RX1(ヒト)、P2rx1(ラット、マウス))
(P2X1 receptor、遺伝子名:P2RX1(ヒト)、P2rx1(ラット、マウス))


 P2X1受容体は血小板やマスト細胞、リンパ球といった血液細胞に多く発現する。血小板においては、トロンビン受容体を介した血小板の凝集に関与することが分かっており、P2X1受容体欠損マウスにおいて血栓形成の抑制および出血時間の延長が見られる[30, 31]。また、好中球にも発現し、ATP誘発性の遊走を引き起こすことで免疫反応に関与する[32]。一方、平滑筋にも多く発現し、収縮を引き起こすことが分かっており、腎血管の自動調節能や男性不妊症などへの関与が報告されている[33, 34]。中枢神経系では、アストロサイトに発現している[35]が、その機能や役割は明確にはなっていない。
 P2X1受容体は血小板やマスト細胞、リンパ球といった血液細胞に多く発現する。血小板においては、トロンビン受容体を介した血小板の凝集に関与することが分かっており、P2X1受容体欠損マウスにおいて血栓形成の抑制および出血時間の延長が見られる<ref name=ref30><pubmed>16634759</pubmed></ref> <ref name=ref31><pubmed>17461925</pubmed></ref>。また、好中球にも発現し、ATP誘発性の遊走を引き起こすことで免疫反応に関与する<ref name=ref32><pubmed>19635923</pubmed></ref>。一方、平滑筋にも多く発現し、収縮を引き起こすことが分かっており、腎血管の自動調節能や男性不妊症などへの関与が報告されている<ref name=ref33><pubmed>11090125</pubmed></ref> <ref name=ref34><pubmed>10638758</pubmed></ref>。中枢神経系では、アストロサイトに発現している<ref name=ref35><pubmed>18495881</pubmed></ref>が、その機能や役割は明確にはなっていない。


====P2X2受容体====
====P2X2受容体====

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