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''東北大学 大学院生命科学研究科 分子化学生物学専攻''<br> | ''東北大学 大学院生命科学研究科 分子化学生物学専攻''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2025年6月15日 原稿完成日:2025年6月24日<br> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2025年6月15日 原稿完成日:2025年6月24日<br> | ||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之] | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之](東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 薬理学分野)<br> | ||
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さらに、LIMK1のキナーゼドメインのcDNA断片を用いたスクリーニングによって、ドメイン構造が同じで高い相同性をもつ[[LIMK2]]が発見された<ref name=Okano1995><pubmed>8537403</pubmed></ref>。また、全体の構造は異なるが、他のキナーゼと比べてキナーゼドメインの相同性が高く[[精巣]]に高発現している[[Testicular protein kinase]] ([[TESK1]]と[[TESK2]])がクローニングされた<ref name=Toshima1995><pubmed>8537404</pubmed></ref><ref name=Toshima2001><pubmed>11418599</pubmed></ref>。 | さらに、LIMK1のキナーゼドメインのcDNA断片を用いたスクリーニングによって、ドメイン構造が同じで高い相同性をもつ[[LIMK2]]が発見された<ref name=Okano1995><pubmed>8537403</pubmed></ref>。また、全体の構造は異なるが、他のキナーゼと比べてキナーゼドメインの相同性が高く[[精巣]]に高発現している[[Testicular protein kinase]] ([[TESK1]]と[[TESK2]])がクローニングされた<ref name=Toshima1995><pubmed>8537404</pubmed></ref><ref name=Toshima2001><pubmed>11418599</pubmed></ref>。 | ||
[[ファイル:Ohashi LIMK Fig1.png|サムネイル|''' | [[ファイル:Ohashi LIMK Fig1.png|サムネイル|'''図1. コフィリンのリン酸化・脱リン酸化によるアクチン骨格のダイナミクス制御]] | ||
=== 基質の同定とその機能 === | === 基質の同定とその機能 === | ||
LIMK1が同定された後、LIMK1がリン酸化する標的基質の探索と機能解析が進められた。[[免疫沈降]]したLIMK1を<sup>32</sup>P-[[ATP]]を用いた[[リン酸化]]アッセイにかけると共沈物の中の20 kDaのタンパク質がリン酸化されること、LIMK1を培養細胞に過剰発現させると[[アクチン]]が過[[重合]]することが見出された。アクチン線維の切断・脱重合因子である[[コフィリン]]は、分子量が約20 kDaで3番目の[[セリン]]残基がリン酸化されることで不活性化することが知られていたため<ref name=Agnew1995><pubmed>7615564</pubmed></ref>、LIMK1の基質候補としてコフィリンが検討され、基質であることが明らかにされた<ref name=Arber1998><pubmed>9655397</pubmed></ref><ref name=Yang1998><pubmed>9655398</pubmed></ref>。 | LIMK1が同定された後、LIMK1がリン酸化する標的基質の探索と機能解析が進められた。[[免疫沈降]]したLIMK1を<sup>32</sup>P-[[ATP]]を用いた[[リン酸化]]アッセイにかけると共沈物の中の20 kDaのタンパク質がリン酸化されること、LIMK1を培養細胞に過剰発現させると[[アクチン]]が過[[重合]]することが見出された。アクチン線維の切断・脱重合因子である[[コフィリン]]は、分子量が約20 kDaで3番目の[[セリン]]残基がリン酸化されることで不活性化することが知られていたため<ref name=Agnew1995><pubmed>7615564</pubmed></ref>、LIMK1の基質候補としてコフィリンが検討され、基質であることが明らかにされた<ref name=Arber1998><pubmed>9655397</pubmed></ref><ref name=Yang1998><pubmed>9655398</pubmed></ref>。 | ||