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細 (→神経発生における機能と活性) |
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前述したように、ショウジョウバエでは[[SOP]]の分裂時にdNumbが非対称に局在して、[[wikipedia:ja:娘細胞|娘細胞]]に不等分配されることから、dNumbが非対称分裂による発生運命の決定に関わっていることが示されている<ref name=ref1 />。このことから、[[wikipedia:JA:脊椎動物|脊椎動物]]の神経発生においても同様のことが期待された。マウスでは[[神経上皮]]組織において[[脳室]]側、すなわち[[wikipedia:ja:頂端膜|頂端]](apical)側に局在することから、分裂期の神経上皮細胞の分裂方向によっては、不等分配される可能性が示唆された。しかし、その後の観察で、apicalに局在するmNumbを不等分配できるような脳室面に平行な分裂面での細胞分裂が非常に稀であったことが示され、このモデルの妥当性は失われている。 | 前述したように、ショウジョウバエでは[[SOP]]の分裂時にdNumbが非対称に局在して、[[wikipedia:ja:娘細胞|娘細胞]]に不等分配されることから、dNumbが非対称分裂による発生運命の決定に関わっていることが示されている<ref name=ref1 />。このことから、[[wikipedia:JA:脊椎動物|脊椎動物]]の神経発生においても同様のことが期待された。マウスでは[[神経上皮]]組織において[[脳室]]側、すなわち[[wikipedia:ja:頂端膜|頂端]](apical)側に局在することから、分裂期の神経上皮細胞の分裂方向によっては、不等分配される可能性が示唆された。しかし、その後の観察で、apicalに局在するmNumbを不等分配できるような脳室面に平行な分裂面での細胞分裂が非常に稀であったことが示され、このモデルの妥当性は失われている。 | ||
一方、[[wikipedia:JA:ニワトリ|ニワトリ]]については[[wikipedia:ja:体細胞分裂#.E5.89.8D.E6.9C.9F|分裂期前期]]から中期の神経上皮細胞においてNumbが基底膜側に局在していることが示されている<ref><pubmed> 10402194 </pubmed></ref>。この場合には、分裂面が脳室面に対して直交していても、[[wikipedia:JA: | 一方、[[wikipedia:JA:ニワトリ|ニワトリ]]については[[wikipedia:ja:体細胞分裂#.E5.89.8D.E6.9C.9F|分裂期前期]]から中期の神経上皮細胞においてNumbが基底膜側に局在していることが示されている<ref><pubmed> 10402194 </pubmed></ref>。この場合には、分裂面が脳室面に対して直交していても、[[wikipedia:JA:体細胞分裂#.E4.B8.AD.E6.9C.9F|分裂期中期]]以降にNumbが側方に輸送されることで不等分配を可能にしている。これは、基底膜側に非対称に局在している[[中間径フィラメント]]の一種である[[Transitin]]にNumbが結合して一緒に運ばれることによる<ref><pubmed> 17522158 </pubmed></ref>。マウスではTransitin遺伝子そのものが無い(比較的構造の似ている[[ネスチン]](Nestin)は非対称な細胞内局在を示さない)ため、同様の分子メカニズムは生物種間で保存されていないと思われる。[[ゼブラフィッシュ]]でもNumbの細胞内局在が調べられているが、分裂期の神経上皮細胞では[[基底膜]]側から側方にかけて分布しており、不等分配もされないようである。 | ||
mNumbやNumblの神経発生における機能については、[[ノックアウト]](KO)マウスを用いた解析がおこなわれている<ref name=ref4 />。複数のグループが通常のノックアウトやコンディショナルノックアウト(CKO)によって[[大脳皮質]]における機能を調べているが、結果がまちまちで、とりわけニューロン分化における機能についてコンセンサスが得られないままである。 | mNumbやNumblの神経発生における機能については、[[ノックアウト]](KO)マウスを用いた解析がおこなわれている<ref name=ref4 />。複数のグループが通常のノックアウトやコンディショナルノックアウト(CKO)によって[[大脳皮質]]における機能を調べているが、結果がまちまちで、とりわけニューロン分化における機能についてコンセンサスが得られないままである。 | ||
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この説にある程度の根拠を与えているのが、前述した選択的スプライシングによって作られるアイソフォームの存在である。in vitroの培養系を用いた解析では、PRRを持っているアイソフォーム(上記のp72とp71に相当する)は増殖を促進する一方、PRRのほとんどを持たないアイソフォーム(上記のp66とp65に相当する)はニューロン分化を促進することが示されている<ref name=ref3 />。これと対応して、PRRを持つアイソフォームは主に7〜10日胚の時期に発現しておりその後低下するが、PRRを持たないアイソフォームの発現は胚発生期から成体の脳にいたるまで発現が続く。これらの活性がどのような分子メカニズムによるものかは明らかでは無いが、おそらくは直接的にNotchシグナルを抑制したり、接着結合を維持することによって間接的にNotchシグナルを促進したりすることが重要なのであろう。 | この説にある程度の根拠を与えているのが、前述した選択的スプライシングによって作られるアイソフォームの存在である。in vitroの培養系を用いた解析では、PRRを持っているアイソフォーム(上記のp72とp71に相当する)は増殖を促進する一方、PRRのほとんどを持たないアイソフォーム(上記のp66とp65に相当する)はニューロン分化を促進することが示されている<ref name=ref3 />。これと対応して、PRRを持つアイソフォームは主に7〜10日胚の時期に発現しておりその後低下するが、PRRを持たないアイソフォームの発現は胚発生期から成体の脳にいたるまで発現が続く。これらの活性がどのような分子メカニズムによるものかは明らかでは無いが、おそらくは直接的にNotchシグナルを抑制したり、接着結合を維持することによって間接的にNotchシグナルを促進したりすることが重要なのであろう。 | ||
一方、[[小脳]] | 一方、[[小脳]]の発生過程では異なる機能があると示唆されている。すなわち、小脳[[顆粒細胞]]の前駆細胞の増殖は[[ヘッジホッグ]](Hedgehog)シグナル([[SHH]]の項を参照)によって促進されているが、上記のようにmNumbはGli1の分解促進によってHedgehogシグナルを抑制することで小脳顆粒細胞の分化を促進していると考えられる。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |