「上衣細胞」の版間の差分

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 上衣細胞が正常に発達し機能するためには、細胞間での協調した繊毛運動が必要不可欠である。上衣細胞が成熟するにつれて、1本1本の繊毛が伸長し運動を始め、脳脊髄液流を生み出す。生み出された液流が基底小体の向きを同じ方向へと配向させ、協調した繊毛運動となる。この過程は平面細胞極性(Planar Cell Polarity; PCP)の形成と呼ばれ、2種類の極性が提唱されている<ref><pubmed> 22101065</pubmed></ref>(図2E)。
 上衣細胞が正常に発達し機能するためには、細胞間での協調した繊毛運動が必要不可欠である。上衣細胞が成熟するにつれて、1本1本の繊毛が伸長し運動を始め、脳脊髄液流を生み出す。生み出された液流が基底小体の向きを同じ方向へと配向させ、協調した繊毛運動となる。この過程は平面細胞極性(Planar Cell Polarity; PCP)の形成と呼ばれ、2種類の極性が提唱されている<ref><pubmed> 22101065</pubmed></ref>(図2E)。


 1つ目は“Rotational Polarity”であり、基底小体及び基底仮足の配向を示す<ref name="ref12" />。発達中の上衣細胞において、[[Wnt]]/[[PCP]]シグナルの構成因子である[[Vangl2]]は細胞頂端部/後部の境界面及び繊毛に沿って局在しており、基底小体を液流の方向へ配向させる役割を担っていることが示唆されている<ref name="ref14" />。別のPCPシグナル因子である[[Dvl2]]や[[Celsr2]]/[[Celsr3|3]]もRotational Polarityの形成に必要であることが報告されている<ref name="ref27"><pubmed> 20685736</pubmed></ref><ref><pubmed> 20473291</pubmed></ref>。
 1つ目は“Rotational Polarity”であり、基底小体及び基底仮足の配向を示す<ref name="ref12" />。発達中の上衣細胞において、[[Wnt]]/[[wnt#PCP経路|PCP]]シグナルの構成因子である[[Vangl2]]は細胞頂端部/後部の境界面及び繊毛に沿って局在しており、基底小体を液流の方向へ配向させる役割を担っていることが示唆されている<ref name="ref14" />。別のPCPシグナル因子である[[Dvl2]]や[[Celsr2]]/[[Celsr3|3]]もRotational Polarityの形成に必要であることが報告されている<ref name="ref27"><pubmed> 20685736</pubmed></ref><ref><pubmed> 20473291</pubmed></ref>。


 もう1つは“Translational Polarity”であり、基底小体及び繊毛の細胞内前方への移動を示す。上衣細胞の前駆細胞である放射状グリアは1本の一次繊毛を有しており、細胞内前方に位置している。一次繊毛を欠失する変異体では、上衣細胞のTranslational Polarityが障害されることから、放射状グリアの極性が上衣細胞に分化しても引き継がれていることが示唆されている<ref name="ref12" />。[[non-muscle myosin II]] は上衣細胞に発現しており、その機能阻害によってRotational Polarityを阻害することなくTranslational Polarityのみが阻害される<ref name="ref27" />。このことから、上衣細胞の成熟に関与する2つの極性形成はそれぞれ独自のメカニズムで制御されていると考えられている。
 もう1つは“Translational Polarity”であり、基底小体及び繊毛の細胞内前方への移動を示す。上衣細胞の前駆細胞である放射状グリアは1本の一次繊毛を有しており、細胞内前方に位置している。一次繊毛を欠失する変異体では、上衣細胞のTranslational Polarityが障害されることから、放射状グリアの極性が上衣細胞に分化しても引き継がれていることが示唆されている<ref name="ref12" />。[[non-muscle myosin II]] は上衣細胞に発現しており、その機能阻害によってRotational Polarityを阻害することなくTranslational Polarityのみが阻害される<ref name="ref27" />。このことから、上衣細胞の成熟に関与する2つの極性形成はそれぞれ独自のメカニズムで制御されていると考えられている。

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