「Wnt」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
171 バイト除去 、 2020年1月10日 (金)
編集の要約なし
編集の要約なし
29行目: 29行目:


{{box|text=
{{box|text=
 Wntは分泌性[[wikipedia:ja:糖タンパク質|糖タンパク質]]である。7回膜貫通型[[受容体]][[Frizzled]](Fz)、共役受容体として機能する1回膜貫通型受容体[[LRP5]]/[[LRP6|6]]([[low-density lipoprotein receptor-related protein 5]]/[[low-density lipoprotein receptor-related protein 6|6]])、[[チロシンキナーゼ]]活性を有する1回膜貫通型受容体である[[Ror]]や[[RYK]]と結合し、[[β-カテニン]]経路と平面内細胞極性(planar cell polarity, PCP)経路、カルシウム経路の3種類の経路を活性化させる。β-カテニン経路は、[[転写促進因子]]として機能するβ-カテニンのタンパク質レベルを調節することにより、[[シグナル伝達]]が制御され細胞の[[細胞増殖|増殖]]や[[細胞分化|分化]]を制御する。PCP経路ではWntがFzと結合し、その情報は[[dishevelled]] ([[Dvl]])に伝達され、[[Rho]]や[[Rac]]の[[低分子量Gタンパク質]]が活性化される。[[カルシウム]]経路は[[ホスホリパーゼC]]-β(PLC-β)を介して細胞内にカルシウムを動員し、[[タンパク質リン酸化酵素]]を活性化する。PCP経路とカルシウム経路は[[細胞骨格]]を調節し、細胞の[[極性]]や運動を制御していると考えられる。  
 Wntは分泌性[[wj:糖タンパク質|糖タンパク質]]である。7回膜貫通型受容体Frizzled(Fz)、共役受容体として機能する1回膜貫通型受容体LRP5/LRP6、[[チロシンキナーゼ]]活性を有する1回膜貫通型受容体である[[Ror]]や[[RYK]]と結合し、[[β-カテニン]]経路と平面内細胞極性(planar cell polarity, PCP)経路、カルシウム経路の3種類の経路を活性化させる。β-カテニン経路は、[[転写促進因子]]として機能するβ-カテニンのタンパク質レベルを調節することにより、[[シグナル伝達]]が制御され細胞の[[細胞増殖|増殖]]や[[細胞分化|分化]]を制御する。PCP経路ではWntがFzと結合し、その情報はdishevelled (Dvl)に伝達され、[[Rho]]や[[Rac]]の[[低分子量Gタンパク質]]が活性化される。[[カルシウム]]経路は[[ホスホリパーゼC]]-β(PLC-β)を介して細胞内にカルシウムを動員し、[[タンパク質リン酸化酵素]]を活性化する。PCP経路とカルシウム経路は[[細胞骨格]]を調節し、細胞の[[極性]]や運動を制御していると考えられる。  
}}
}}


== 研究の歴史  ==
== 研究の歴史  ==


 Wntシグナル研究は[[ショウジョウバエ]]の遺伝学的解析から開始された。1973年にインドのShope博士が羽のないショウジョウバエの変異体[[wingless]]([[wg]])を見いだした。このハエでは、[[wikipedia:ja:複眼|複眼]]や胸部の[[wikipedia:ja:剛毛|剛毛]]、[[wikipedia:ja:中腸|中腸]]などにも異常が認められ、胚では[[分節形成]]の異常が観察された。分節の形成に関わる[[分節遺伝子]]の中でdishevelled(dsh), [[shaggy]], [[armadillo]], [[pangolin]]がwinglessと遺伝学的に関連することが示された。Dishevelledは哺乳動物のDvlに、Shaggyは[[プロテインキナーゼ]][[GSK-3β]](glycogen synthase kinase-3β)に、Pangolinは転写因子[[Tcf]](T-cell factor)に相当することが明らかになり、Wntシグナルは進化的に保存されていると考えられるようになった。  
 Wntシグナル研究は[[ショウジョウバエ]]の遺伝学的解析から開始された。1973年にインドのShope博士が羽のないショウジョウバエの変異体[[wingless]]([[wg]])を見いだした。このハエでは、[[wj:複眼|複眼]]や胸部の[[wj:剛毛|剛毛]]、[[wj:中腸|中腸]]などにも異常が認められ、胚では[[分節形成]]の異常が観察された。分節の形成に関わる[[分節遺伝子]]の中で[[dishevelled]](dsh), [[shaggy]], [[armadillo]], [[pangolin]]がwinglessと遺伝学的に関連することが示された。Dishevelledは哺乳動物の[[Dvl]]に、Shaggyは[[プロテインキナーゼ]][[GSK-3β]](glycogen synthase kinase-3β)に、Pangolinは[[転写因子]][[Tcf]](T-cell factor)に相当することが明らかになり、Wntシグナルは進化的に保存されていると考えられるようになった。  


 哺乳動物におけるWntシグナル研究は、[[wikipedia:ja:癌ウイルス|癌ウイルス]]研究に端を発した。1982年、後にノーベル賞を受賞することになる[[wikipedia:ja:ハロルド・ヴァーマス|Varnus]]博士とその当時彼の研究室にいたNusse博士による、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]][[wikipedia:ja:乳癌|乳癌]]の原因遺伝子[[int-1]]のクローニングにさかのぼる<ref><pubmed>6297757</pubmed></ref>。ショウジョウバエにおけるint-1遺伝子のホモログがwinglessという形態形成に重要な役割を果たす遺伝子であったことから、この2つの遺伝子名にちなんでint-1はWnt-1(wingless+int-1, 発音は[wint])と呼ばれるようになった。
 哺乳動物におけるWntシグナル研究は、[[wj:癌ウイルス|癌ウイルス]]研究に端を発した。1982年、後にノーベル賞を受賞することになる[[wj:ハロルド・ヴァーマス|Varnus]]博士とその当時彼の研究室にいたNusse博士による、[[wj:マウス|マウス]][[wj:乳癌|乳癌]]の原因遺伝子[[int-1]]のクローニングにさかのぼる<ref><pubmed>6297757</pubmed></ref>。ショウジョウバエにおけるint-1遺伝子のホモログがwinglessという形態形成に重要な役割を果たす遺伝子であったことから、この2つの遺伝子名にちなんでint-1はWnt-1(wingless+int-1, 発音は[wint])と呼ばれるようになった。


== ファミリー  ==
== ファミリー  ==


 これまで、Wnt遺伝子は哺乳動物において19種類が同定されている<ref name="pmid15702249"><pubmed>15702249</pubmed></ref>。種々の発生段階において固有の空間的・時間的発現があり、それぞれの特異的な機能を発揮すると考えられる。ヒトWnt遺伝子ファミリーは独立した遺伝子座に存在するが、Wnt3とWnt9bは17q21、Wnt3AとWnt9Aは1q42、Wnt2とWnt16は7q31の同一染色体上に存在する。さらに、Wnt1とWnt10Bは12q13、Wnt6とWnt10は2q35にそれぞれ隣接して存在し、これらの遺伝子の発現は協調的に調節される可能性がある。
 これまで、Wnt遺伝子は哺乳動物において19種類が同定されている<ref name="pmid15702249"><pubmed>15702249</pubmed></ref>。種々の発生段階において固有の空間的・時間的発現があり、それぞれの特異的な機能を発揮すると考えられる。ヒトWnt遺伝子ファミリーは独立した遺伝子座に存在するが、[[Wnt3]]と[[Wnt9b]]は17q21、[[Wnt3A]]と[[Wnt9A]]は1q42、[[Wnt2]]とWnt16は7q31の同一染色体上に存在する。さらに、[[Wnt1]]と[[Wnt10B]]は12q13、[[Wnt6]]と[[Wnt10]]は2q35にそれぞれ隣接して存在し、これらの遺伝子の発現は協調的に調節される可能性がある。


*[[Wnt1]]  
*[[Wnt1]]  
64行目: 64行目:
=== 受容体  ===
=== 受容体  ===


 Wnt受容体として10種類の7回膜貫通型受容体Frizzled(Fz)、共役受容体として機能する1回膜貫通型受容体LRP5/6(low-density lipoprotein receptor-related protein 5/6)、チロシンキナーゼ活性を有する1回膜貫通型受容体であるRorやRYKがWntの受容体として機能することが報告されており、これらはWntシグナルによる細胞応答の多様性を説明するものである。Wntフィールドをリードしてきたスタンフォード大学のNusse博士の研究室が管理する便利な[http://www.stanford.edu/group/nusselab/cgi-bin/wnt/ ウェブサイト]があるので参照されたい。  
 Wnt受容体として10種類の7回膜貫通型受容体[[Frizzled]](Fz)、共役受容体として機能する1回膜貫通型受容体[[LRP5]]/[[LRP6|6]]([[low-density lipoprotein receptor-related protein 5]]/[[low-density lipoprotein receptor-related protein 6|6]])、チロシンキナーゼ活性を有する1回膜貫通型受容体である[[Ror]]や[[RYK]]がWntの受容体として機能することが報告されており、これらはWntシグナルによる細胞応答の多様性を説明するものである。Wntフィールドをリードしてきたスタンフォード大学のNusse博士の研究室が管理する便利な[http://www.stanford.edu/group/nusselab/cgi-bin/wnt/ ウェブサイト]があるので参照されたい。  


=== 情報伝達系  ===
=== 情報伝達系  ===
73行目: 73行目:
 古くから知られており、canonical(古典的)経路とも呼ばれる(図)。
 古くから知られており、canonical(古典的)経路とも呼ばれる(図)。


 転写促進因子として機能するβ-カテニンのタンパク質レベルを調節することにより、シグナル伝達が制御される。Wntの非存在下では[[Axin]]と[[wikipedia:ja:癌抑制遺伝子|癌抑制遺伝子]]産物[[APC]]([[adenomatous polyposis coil]])の複合体中で、β-カテニンは[[カゼインキナーゼ]]Iα(casein kinase Iα; CKIα)とGSK-3βによる[[リン酸化]]と[[ユビキチン化]]による分解が促進され、β-カテニンの細胞内レベルは低く保たれている。WntがFzと共役受容体のLRP5/6に結合するとDvlを介してGSK-3βにシグナルが伝達され、β-カテニンのリン酸化と分解が抑制される。細胞質に蓄積したβ-カテニンは核内に移行した後、[[転写因子]]Tcf/[[Lef]](T-cell factor/lymphoid enhancer binding factor)と複合体を形成して[[cyclin D1]]や[[c-myc]]などの遺伝子発現を促進することによって、細胞の増殖や分化を制御する。
 転写促進因子として機能するβ-カテニンのタンパク質レベルを調節することにより、シグナル伝達が制御される。Wntの非存在下では[[Axin]]と[[wj:癌抑制遺伝子|癌抑制遺伝子]]産物[[APC]]([[adenomatous polyposis coil]])の複合体中で、β-カテニンは[[カゼインキナーゼ]]Iα(casein kinase Iα; CKIα)とGSK-3βによる[[リン酸化]]と[[ユビキチン化]]による分解が促進され、β-カテニンの細胞内レベルは低く保たれている。WntがFzと共役受容体のLRP5/6に結合するとDvlを介してGSK-3βにシグナルが伝達され、β-カテニンのリン酸化と分解が抑制される。細胞質に蓄積したβ-カテニンは核内に移行した後、[[転写因子]]Tcf/[[Lef]](T-cell factor/lymphoid enhancer binding factor)と複合体を形成して[[cyclin D1]]や[[c-myc]]などの遺伝子発現を促進することによって、細胞の増殖や分化を制御する。


==== β-カテニン非依存性経路  ====
==== β-カテニン非依存性経路  ====
 non-canonical(非古典的)経路とも呼ばれる。
 non-canonical(非古典的)経路とも呼ばれる。
=====PCP経路=====
=====PCP経路=====
 PCP経路ではWntがFzと結合し、その情報はDvlに伝達され、RhoやRacの低分子量Gタンパク質が活性化される。ショウジョウバエの羽の細胞には1本ずつの毛が遠位方向に向かって生えているが、Fzの遺伝子変異では毛の向きが変わってしまうことがわかり、Fzがかかわる平面極性制御シグナルをPCPシグナルとよぶようになった。同様な表現型を示すものとして、Fmi (Flamingo), Stbm (Stramismus), Dsh (Dishevelled), Pk (Prickle), Dgo (Diego)が同定され、これらはコアPCPタンパク質とよばれている。[[wikipedia:ja:脊椎動物|脊椎動物]]においても、[[Fz6]]遺伝子[[ノックアウトマウス]]では体表の毛のパターンが乱れ、Stbm, Fmi, Fz, Dshの相同遺伝子の変異は[[内耳]]の[[蝸牛]]管の感覚受容細胞が生やす繊毛の束の方向をばらばらにしてしまう。さらに、[[アフリカツメガエル]]や[[ゼブラフィッシュ]]において、コアPCPタンパクの遺伝子機能欠損・変異により[[原腸形成]]が阻害され、体長が前後に伸びることができない表現型を示す。  
 PCP経路ではWntがFzと結合し、その情報はDvlに伝達され、RhoやRacの低分子量Gタンパク質が活性化される。ショウジョウバエの羽の細胞には1本ずつの毛が遠位方向に向かって生えているが、Fzの遺伝子変異では毛の向きが変わってしまうことがわかり、Fzがかかわる平面極性制御シグナルをPCPシグナルとよぶようになった。同様な表現型を示すものとして、Fmi (Flamingo), Stbm (Stramismus), Dsh (Dishevelled), Pk (Prickle), Dgo (Diego)が同定され、これらはコアPCPタンパク質とよばれている。[[wj:脊椎動物|脊椎動物]]においても、[[Fz6]]遺伝子[[ノックアウトマウス]]では体表の毛のパターンが乱れ、Stbm, Fmi, Fz, Dshの相同遺伝子の変異は[[内耳]]の[[蝸牛]]管の感覚受容細胞が生やす繊毛の束の方向をばらばらにしてしまう。さらに、[[アフリカツメガエル]]や[[ゼブラフィッシュ]]において、コアPCPタンパクの遺伝子機能欠損・変異により[[原腸形成]]が阻害され、体長が前後に伸びることができない表現型を示す。  


=====カルシウム経路=====
=====カルシウム経路=====
87行目: 87行目:


=====β-カテニン非依存性経路の機能=====
=====β-カテニン非依存性経路の機能=====
 β-カテニン非依存性経路の機能として、β-カテニン経路を抑制することが知られている。その抑制メカニズムとして、Wnt5aがCaMKを介して[[TGF-β-activated kinase1]]([[TAK1]])と[[Nemo-like kinase]]([[NLK]])を活性化し、NLKがTcfをリン酸化することにより[[wikipedia:ja:DNA|DNA]]との結合を抑制すること、Wnt5aが[[ユビキチンリガーゼ]][[Siah2]]の発現を介してユビキチン化によるβ-カテニンの分解を促進する。さらに、Wnt5aは細胞膜上でWnt3aとFzとの結合において競合することにより、Wnt3aによるβ-カテニン経路の活性化を阻害する。
 β-カテニン非依存性経路の機能として、β-カテニン経路を抑制することが知られている。その抑制メカニズムとして、Wnt5aがCaMKを介して[[TGF-β-activated kinase1]]([[TAK1]])と[[Nemo-like kinase]]([[NLK]])を活性化し、NLKがTcfをリン酸化することにより[[wj:DNA|DNA]]との結合を抑制すること、Wnt5aが[[ユビキチンリガーゼ]][[Siah2]]の発現を介してユビキチン化によるβ-カテニンの分解を促進する。さらに、Wnt5aは細胞膜上でWnt3aとFzとの結合において競合することにより、Wnt3aによるβ-カテニン経路の活性化を阻害する。


==神経系における働き==
==神経系における働き==
103行目: 103行目:
===幹細胞の維持と再生===
===幹細胞の維持と再生===


 [[wikipedia:ja:魚類|魚類]]・[[wikipedia:ja:両生類|両生類]]・[[wikipedia:ja:鳥類|鳥類]]において、[[網膜幹細胞]]は[[網膜]]の最も[[レンズ]]に近い領域(網膜辺縁部)に特異的に存在し、生涯にわたって増殖能をもち、分化した網膜神経細胞を生み出すことができる。網膜辺縁部に近接する網膜先端部では[[Wnt2b]]が発現しており、網膜辺縁部の幹細胞のもつ増殖能・未分化性を維持している<ref><pubmed>12490564</pubmed></ref>。
 [[wj:魚類|魚類]]・[[wj:両生類|両生類]]・[[wj:鳥類|鳥類]]において、[[網膜幹細胞]]は[[網膜]]の最も[[レンズ]]に近い領域(網膜辺縁部)に特異的に存在し、生涯にわたって増殖能をもち、分化した網膜神経細胞を生み出すことができる。網膜辺縁部に近接する網膜先端部では[[Wnt2b]]が発現しており、網膜辺縁部の幹細胞のもつ増殖能・未分化性を維持している<ref><pubmed>12490564</pubmed></ref>。


 成熟した脊椎動物の網膜中心部領域は、すでに[[細胞周期]]から逸脱し最終[[分化]]を終えた細胞から構成されており、ここでは増殖する細胞は観察されない。しかし、網膜組織に細胞障害を与えるような条件下では、すでに分裂を終了した[[網膜グリア細胞]]である[[ミュラーグリア細胞]]が分裂するようになる。このような増殖を開始したミュラーグリア細胞ではWntシグナルの活性が誘導されていることから、Wntシグナルは網膜の再生を促進する重要なファクターであることが考えられる<ref><pubmed>17428999</pubmed></ref>。
 成熟した脊椎動物の網膜中心部領域は、すでに[[細胞周期]]から逸脱し最終[[分化]]を終えた細胞から構成されており、ここでは増殖する細胞は観察されない。しかし、網膜組織に細胞障害を与えるような条件下では、すでに分裂を終了した[[網膜グリア細胞]]である[[ミュラーグリア細胞]]が分裂するようになる。このような増殖を開始したミュラーグリア細胞ではWntシグナルの活性が誘導されていることから、Wntシグナルは網膜の再生を促進する重要なファクターであることが考えられる<ref><pubmed>17428999</pubmed></ref>。
109行目: 109行目:
===毛様体形成===
===毛様体形成===


 [[毛様体]]は血管に富んだ眼球の膜状組織である中膜の一つで、前方は[[wikipedia:ja:虹彩|虹彩]]に、後方は[[wikipedia:ja:脈絡膜|脈絡膜]]に連続している。水晶体の赤道部に相当する部位にある輪状の組織で、前方の内面には70-90個の毛様体突起とよばれるひだが放射状に並んでいる。[[Tsukushi]]は[[スモール・ロイシンリッチ・プロテオグリカン]]ファミリーに属する分泌型タンパク質で、11.5日目マウス胚から網膜辺縁部に発現が観察され、その発現は成体まで持続する。Tsukushiは[[Fz4]]のN末端に位置するシステインリッチドメイン(Wnt結合部位)への結合を[[Wnt2b]]と競合することによりWntシグナルを細胞外領域で調整し、毛様体形成に関与している<ref><pubmed>21856951</pubmed></ref>。
 [[毛様体]]は血管に富んだ眼球の膜状組織である中膜の一つで、前方は[[wj:虹彩|虹彩]]に、後方は[[wj:脈絡膜|脈絡膜]]に連続している。水晶体の赤道部に相当する部位にある輪状の組織で、前方の内面には70-90個の毛様体突起とよばれるひだが放射状に並んでいる。[[Tsukushi]]は[[スモール・ロイシンリッチ・プロテオグリカン]]ファミリーに属する分泌型タンパク質で、11.5日目マウス胚から網膜辺縁部に発現が観察され、その発現は成体まで持続する。Tsukushiは[[Fz4]]のN末端に位置するシステインリッチドメイン(Wnt結合部位)への結合を[[Wnt2b]]と競合することによりWntシグナルを細胞外領域で調整し、毛様体形成に関与している<ref><pubmed>21856951</pubmed></ref>。


== 参考文献  ==
== 参考文献  ==


<references />
<references />

案内メニュー