17,548
回編集
細編集の要約なし |
細 (→発現) |
||
| 31行目: | 31行目: | ||
ICAM-5の発現は[[中枢神経系]]の終脳(telencephalon)の[[スパイン]]を有する[[有棘神経細胞]]([[spiny neuron]])に特異的である<ref name=Mori1987><pubmed>3295872</pubmed></ref><ref name=Oka1990><pubmed>2359499</pubmed></ref>。例えば、[[大脳皮質]]においては[[錐体細胞]]に、嗅球においては[[顆粒細胞]]に発現している。神経細胞内では[[樹状突起]]に選択的に局在しており、[[軸索]]には存在しない<ref name=Benson1998><pubmed>9556028</pubmed></ref>。樹状突起においては樹状突起[[フィロポディア]]およびスパインの[[シナプス後肥厚]]部近傍に局在している<ref name=Murakami1991><pubmed>1717905</pubmed></ref><ref name=Matsuno2006><pubmed>16467526</pubmed></ref>。 | ICAM-5の発現は[[中枢神経系]]の終脳(telencephalon)の[[スパイン]]を有する[[有棘神経細胞]]([[spiny neuron]])に特異的である<ref name=Mori1987><pubmed>3295872</pubmed></ref><ref name=Oka1990><pubmed>2359499</pubmed></ref>。例えば、[[大脳皮質]]においては[[錐体細胞]]に、嗅球においては[[顆粒細胞]]に発現している。神経細胞内では[[樹状突起]]に選択的に局在しており、[[軸索]]には存在しない<ref name=Benson1998><pubmed>9556028</pubmed></ref>。樹状突起においては樹状突起[[フィロポディア]]およびスパインの[[シナプス後肥厚]]部近傍に局在している<ref name=Murakami1991><pubmed>1717905</pubmed></ref><ref name=Matsuno2006><pubmed>16467526</pubmed></ref>。 | ||
終脳有棘神経細胞特異的な発現はICAM-5遺伝子の転写開始点から上流1.1kb以内にある発現調節[[エンハンサー]]によって制御されている<ref name=Mitsui2006><pubmed>16581979</pubmed></ref>。また神経細胞における樹状突起選択的な局在には、ICAM- | 終脳有棘神経細胞特異的な発現はICAM-5遺伝子の転写開始点から上流1.1kb以内にある発現調節[[エンハンサー]]によって制御されている<ref name=Mitsui2006><pubmed>16581979</pubmed></ref>。また神経細胞における樹状突起選択的な局在には、ICAM-5タンパク質細胞内領域C末端の17アミノ酸の配列(樹状突起選択的ソーティングモチーフ)が必要かつ十分であることが示されている('''図2''')<ref name=Mitsui2005><pubmed>15689548</pubmed></ref>。 | ||
他のシナプス機能分子と同様にICAM-5は脳の機能発達に依存的な発現変動を示す。[[マウス]]では出生後から生後数週間にかけてICAM-5の発現が劇的に増加し、その後は若干減少するが、成体においても高い発現レベルが維持される<ref name=Yoshihara1994><pubmed>7794412</pubmed></ref>。末梢組織では生後[[ラット]]の[[下垂体]]や[[がん]]細胞でICAM-5の発現が確認されているが、その発現レベルは低く、機能や病態との関係については不明である<ref name=Eckstrum2016><pubmed>26789235</pubmed></ref><ref name=Maruya2005><pubmed>15975520</pubmed></ref>。 | 他のシナプス機能分子と同様にICAM-5は脳の機能発達に依存的な発現変動を示す。[[マウス]]では出生後から生後数週間にかけてICAM-5の発現が劇的に増加し、その後は若干減少するが、成体においても高い発現レベルが維持される<ref name=Yoshihara1994><pubmed>7794412</pubmed></ref>。末梢組織では生後[[ラット]]の[[下垂体]]や[[がん]]細胞でICAM-5の発現が確認されているが、その発現レベルは低く、機能や病態との関係については不明である<ref name=Eckstrum2016><pubmed>26789235</pubmed></ref><ref name=Maruya2005><pubmed>15975520</pubmed></ref>。 | ||
[[ファイル:Matsuno ICM-5 Fig3.png|サムネイル|'''図3. ICAM-5による樹状突起フィロポディア形成・維持メカニズム''']] | [[ファイル:Matsuno ICM-5 Fig3.png|サムネイル|'''図3. ICAM-5による樹状突起フィロポディア形成・維持メカニズム''']] | ||
==機能== | ==機能== | ||
===樹状突起フィロポディア形成・維持とスパイン成熟の抑制=== | ===樹状突起フィロポディア形成・維持とスパイン成熟の抑制=== | ||