「上衣細胞」の版間の差分

 
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 上衣細胞同士の密着結合は細胞全周性に形成されていない。それゆえ上衣細胞間の「隙間」を介して脳実質と脳脊髄液の間で物質交換が可能になっている。生理的な条件下において、脳実質の細胞外液が脳脊髄液へ拡散することが観察されており、脳実質で生じた排出物の除去に寄与していると考えられている<ref name="ref53"><pubmed> 5634005</pubmed></ref>。ただし、この物質拡散の流れは静圧や浸透圧の変化によって逆になることもあり、この場合、脳脊髄液中の様々な物質は脳実質内へと移行する<ref name="ref54"><pubmed> 7356021</pubmed></ref><ref name="ref55"><pubmed> 3115117</pubmed></ref>。
 上衣細胞同士の密着結合は細胞全周性に形成されていない。それゆえ上衣細胞間の「隙間」を介して脳実質と脳脊髄液の間で物質交換が可能になっている。生理的な条件下において、脳実質の細胞外液が脳脊髄液へ拡散することが観察されており、脳実質で生じた排出物の除去に寄与していると考えられている<ref name="ref53"><pubmed> 5634005</pubmed></ref>。ただし、この物質拡散の流れは静圧や浸透圧の変化によって逆になることもあり、この場合、脳脊髄液中の様々な物質は脳実質内へと移行する<ref name="ref54"><pubmed> 7356021</pubmed></ref><ref name="ref55"><pubmed> 3115117</pubmed></ref>。


 上衣細胞の隙間を通じた物質の受動拡散に加えて、上衣細胞の細胞質を介した積極的な物質輸送も存在する。上衣細胞が発現する[[グルコース輸送]][[GLUT1]]/[[GLUT2|2]]、[[Na+/K+/Cl-共輸送体|Na<sup>+</sup>/K<sup>+</sup>/Cl<sup>-</sup>共輸送体]]、[[モノカルボン酸輸送体]][[MCT1]]などは、これらの物質輸送の際に水分子を[[wikipedia:ja:浸透圧|浸透圧]]に逆らって輸送する<ref name="ref56"><pubmed> 19761815</pubmed></ref>。[[水分子輸送]]体である[[aquaporin]]も上衣細胞に発現が認められる<ref name="ref57"><pubmed> 10613514</pubmed></ref><ref name="ref58"><pubmed> 19170255</pubmed></ref><ref name="ref59"><pubmed> 11027599</pubmed></ref><ref name="ref60"><pubmed> 7508187</pubmed></ref>が、実際に水分子の輸送に関与しているかは明らかにされていない。上衣細胞の膜上に発現する輸送体を介した積極的な物質輸送が水及びイオン濃度の調節を担い、脳内浸透圧の恒常性に寄与していると考えられる。
 上衣細胞の隙間を通じた物質の受動拡散に加えて、上衣細胞の細胞質を介した積極的な物質輸送も存在する。上衣細胞が発現する[[グルコース輸送体]][[GLUT1]]/[[GLUT2|2]]、[[Na+/K+/Cl-共輸送体|Na<sup>+</sup>/K<sup>+</sup>/Cl<sup>-</sup>共輸送体]]、[[モノカルボン酸輸送体]][[MCT1]]などは、これらの物質輸送の際に水分子を[[wikipedia:ja:浸透圧|浸透圧]]に逆らって輸送する<ref name="ref56"><pubmed> 19761815</pubmed></ref>。[[水分子輸送]]体である[[aquaporin]]も上衣細胞に発現が認められる<ref name="ref57"><pubmed> 10613514</pubmed></ref><ref name="ref58"><pubmed> 19170255</pubmed></ref><ref name="ref59"><pubmed> 11027599</pubmed></ref><ref name="ref60"><pubmed> 7508187</pubmed></ref>が、実際に水分子の輸送に関与しているかは明らかにされていない。上衣細胞の膜上に発現する輸送体を介した積極的な物質輸送が水及びイオン濃度の調節を担い、脳内浸透圧の恒常性に寄与していると考えられる。


 主に第3脳室に存在する伸長上衣細胞の正確な機能は不明であるが、脳脊髄液から脳実質内への物質輸送を行っている可能性が考えられている。実際に、[[卵巣ホルモン]]依存的に伸長上衣細胞が[[IGF1]]を脳脊髄液から取り込み、放射状の突起先端へ輸送したり、逆に[[下垂体門脈]]に伸ばした突起終末から物質を分泌したりすることが報告されている<ref name="ref61"><pubmed> 10842239</pubmed></ref><ref name="ref62"><pubmed> 11999726</pubmed></ref>。  
 主に第3脳室に存在する伸長上衣細胞の正確な機能は不明であるが、脳脊髄液から脳実質内への物質輸送を行っている可能性が考えられている。実際に、[[卵巣ホルモン]]依存的に伸長上衣細胞が[[IGF1]]を脳脊髄液から取り込み、放射状の突起先端へ輸送したり、逆に[[下垂体門脈]]に伸ばした突起終末から物質を分泌したりすることが報告されている<ref name="ref61"><pubmed> 10842239</pubmed></ref><ref name="ref62"><pubmed> 11999726</pubmed></ref>。


=== 防御システム  ===
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