「神経型PASドメインタンパク質」の版間の差分

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 NPASタンパク質のC末端領域は、転写調節に必須なコアクチベーター(例:CBP/p300, HAT)やコリプレッサー(例:HDAC)との相互作用部位を含む<ref name=Luoma2018><pubmed>30509165</pubmed></ref>(Luoma and Berry, 2018)。これらの相互作用を通じて、ヒストンのアセチル化・脱アセチル化などのクロマチン修飾を誘導し、標的遺伝子の転写効率を精密に制御する。
 NPASタンパク質のC末端領域は、転写調節に必須なコアクチベーター(例:CBP/p300, HAT)やコリプレッサー(例:HDAC)との相互作用部位を含む<ref name=Luoma2018><pubmed>30509165</pubmed></ref>(Luoma and Berry, 2018)。これらの相互作用を通じて、ヒストンのアセチル化・脱アセチル化などのクロマチン修飾を誘導し、標的遺伝子の転写効率を精密に制御する。


==== シグナル伝達経路とのクロストーク ====
====シグナル伝達経路とのクロストーク ====
 NPASファミリーの活動は、他の細胞内シグナル伝達経路と密接に連携している。例えば、NPAS4の発現は神経活動に伴う[[カルシウム]]流入によって厳密に制御されており <ref name=Lin2008><pubmed>18815592</pubmed></ref>(Lin et al., 2008)、カルシウム依存的なキナーゼ(CaMK[calmodulin kinase])や転写因子(CREB[cAMP response element-binding protein], MEF2[Myocyte Enhancer Factor 2])がNPAS4遺伝子の発現制御に関与している<ref name=Sun2016><pubmed>26987258</pubmed></ref>(Sun and Lin, 2016)。また、NPAS2の活性は概日時計のフィードバックループや代謝産物によって調節される<ref name=Reick2001><pubmed>11441147</pubmed></ref><ref name=Eckel-Mahan2013><pubmed>23303907</pubmed></ref>(Reick et al., 2001; Eckel-Mahan & Sassone-Corsi, 2013)。このように、NPASファミリーは様々な細胞内外の刺激に応答し、それを転写レベルの変化へと変換する重要な結節点として機能している。
 NPASファミリーの活動は、他の細胞内シグナル伝達経路と密接に連携している。例えば、NPAS4の発現は神経活動に伴う[[カルシウム]]流入によって厳密に制御されており <ref name=Lin2008><pubmed>18815592</pubmed></ref>(Lin et al., 2008)、[[カルシウム/カルモジュリン依存的タンパク質リン酸化酵素]]や[[転写因子]] ([[cAMP response element-binding protein]] ([[CREB]]), [[myocyte enhancer factor 2]] ([[MEF2]])がNPAS4遺伝子の発現制御に関与している<ref name=Sun2016><pubmed>26987258</pubmed></ref>(Sun and Lin, 2016)。また、NPAS2の活性は概日時計のフィードバックループや代謝産物によって調節される<ref name=Reick2001><pubmed>11441147</pubmed></ref><ref name=Eckel-Mahan2013><pubmed>23303907</pubmed></ref>(Reick et al., 2001; Eckel-Mahan & Sassone-Corsi, 2013)。このように、NPASファミリーは様々な細胞内外の刺激に応答し、それを転写レベルの変化へと変換する重要な結節点として機能している。


=== 個体レベル ===
=== 個体レベル ===