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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0092646 倉知正佳]</font><br> | |||
''富山大学 医学部 医学科''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年8月28日 原稿完成日:2012年9月23日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | |||
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生物学的精神医学とは、[[精神疾患]]の神経生物学的側面を理解しようとする学問分野であり、それは、精神医学の生物医学的基盤を提供する。研究に際しては、[[wikipedia:ja:神経病理学|神経病理学]]、[[wikipedia:ja:神経生理学|神経生理学]]、[[wikipedia:ja:精神薬理学|精神薬理学]]、[[wikipedia:ja:神経化学|神経化学]]、[[wikipedia:ja:神経内分泌学|神経内分泌学]]、[[wikipedia:ja:脳画像|脳画像]]、[[wikipedia:ja:認知神経心理学|認知神経心理学]]、[[wikipedia:ja:遺伝学|遺伝学]]、[[wikipedia:ja:分子生物学|分子生物学]]など、神経科学のさまざまな方法が用いられる。 | 生物学的精神医学とは、[[精神疾患]]の神経生物学的側面を理解しようとする学問分野であり、それは、精神医学の生物医学的基盤を提供する。研究に際しては、[[wikipedia:ja:神経病理学|神経病理学]]、[[wikipedia:ja:神経生理学|神経生理学]]、[[wikipedia:ja:精神薬理学|精神薬理学]]、[[wikipedia:ja:神経化学|神経化学]]、[[wikipedia:ja:神経内分泌学|神経内分泌学]]、[[wikipedia:ja:脳画像|脳画像]]、[[wikipedia:ja:認知神経心理学|認知神経心理学]]、[[wikipedia:ja:遺伝学|遺伝学]]、[[wikipedia:ja:分子生物学|分子生物学]]など、神経科学のさまざまな方法が用いられる。 | ||
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生物学的精神医学研究の近年の動向としては、(1) 臨床研究の[[生命倫理|倫理]]指針が整備され、(2)さまざまな方法を組み合わせた統合的アプローチが行われ、(3) 生物学的所見の臨床応用に向けた研究がはじまっていることが挙げられる。 | 生物学的精神医学研究の近年の動向としては、(1) 臨床研究の[[生命倫理|倫理]]指針が整備され、(2)さまざまな方法を組み合わせた統合的アプローチが行われ、(3) 生物学的所見の臨床応用に向けた研究がはじまっていることが挙げられる。 | ||
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== 生物学的精神医学とは== | == 生物学的精神医学とは== | ||
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#臨床研究の倫理指針が整備され、 | #臨床研究の倫理指針が整備され、 | ||
# | #遺伝子解析、認知機能、脳画像、精神生理学、精神薬理学、[[動物モデル]]、血液生化学検査などさまざまな方法を組み合わせた統合的アプローチが行われ、 | ||
#生物学的所見の診断への応用研究がはじまり、病因・病態研究から、新しい治療薬の開発と臨床試験も行われるようになってきている | #生物学的所見の診断への応用研究がはじまり、病因・病態研究から、新しい治療薬の開発と臨床試験も行われるようになってきている | ||
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[[カテコール-O-メチル基転移酵素]](Catechol-O-methyltransferase, COMT)は、細胞質内にあり、[[ドーパミン]]などの[[カテコールアミン]]を分解する酵素である。これには、高活性と低活性の多型があり、158番目のアミノ酸が[[wikipedia:ja:バリン|バリン]](valine)のものは、高活性で、[[wikipedia:ja:メチオニン|メチオニン]](methionine)のものは、低活性である。Val-COMTでは、ドーパミンの分解が促進され、[[作業記憶]]課題の成績がより低いこと、そして、このvalアリルと統合失調症の関連が研究されている<ref name=ref8 />。[[wikipedia:ja:一卵性双生児|一卵性双生児]]の一致率は、約50%で、不一致組では、発症例の方に、脳の形態学的変化が認められる<ref name=ref27><pubmed>20538831</pubmed></ref>。 | [[カテコール-O-メチル基転移酵素]](Catechol-O-methyltransferase, COMT)は、細胞質内にあり、[[ドーパミン]]などの[[カテコールアミン]]を分解する酵素である。これには、高活性と低活性の多型があり、158番目のアミノ酸が[[wikipedia:ja:バリン|バリン]](valine)のものは、高活性で、[[wikipedia:ja:メチオニン|メチオニン]](methionine)のものは、低活性である。Val-COMTでは、ドーパミンの分解が促進され、[[作業記憶]]課題の成績がより低いこと、そして、このvalアリルと統合失調症の関連が研究されている<ref name=ref8 />。[[wikipedia:ja:一卵性双生児|一卵性双生児]]の一致率は、約50%で、不一致組では、発症例の方に、脳の形態学的変化が認められる<ref name=ref27><pubmed>20538831</pubmed></ref>。 | ||
統合失調症の感受性遺伝子としては、メタ解析からは、[[ニューレグリン]](neuregulin)、[[ディスビンディン]](dysbindin)との関連が報告された。これらの遺伝子多型が、脳構造や精神生理学的指標と関連すると報告されている(例. ニューレグリンと側脳室の拡大、[[滑動性眼球運動]]との関連など<ref name=ref28><pubmed>22019858</pubmed></ref> <ref name=ref29><pubmed>19058791</pubmed></ref>)。生化学的には、[[GABA]]ニューロン上の[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の低活性仮説<ref name=ref30><pubmed>16773445</pubmed></ref>が有力である。 | |||
==臨床応用== | ==臨床応用== | ||
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<references /> | <references /> | ||