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PGD<sub>2</sub>が睡眠促進物質であることはPGD<sub>2</sub>の[[側脳室]]投与により示された<ref name="ref37"><pubmed>10724461</pubmed></ref>。PGD合成酵素には[[L-PGDS]]と[[H-PGDS]]があるが、L-PGDSの[[阻害薬]]であるSeCl<sub>4</sub>とL-PGDS欠損マウスを用いて、L-PGDSが生理的な睡眠に関与することが示された<ref name="ref38"><pubmed>17093043</pubmed></ref>。さらにL-PGDS欠損マウスを用いた解析から、断眠によりL-PGDS依存的に脳内のPGD2が蓄積し、このPGD2生成が断眠後のノンレム睡眠のリバウンドに必須であることが示されている<ref name="ref39">Eguchi, N., Kuwahata, Y., Pinzar, E., Mochizuki, T., Urade, Y., Hayaishi, O. (1999) Sleep of gene-knockout and transgenic mice for prostaglandin D synthase. Sleep Res. Online 2 Suppl-1, 665</ref>。PGD<sub>2</sub>による睡眠促進作用はDP1を介することがDP1欠損マウスを用いて示されている<ref name="ref40"><pubmed>11562489</pubmed></ref>。L-PGDSは[[軟髄膜]]、[[脈絡叢]]、[[オリゴデンドロサイト]]に発現するのに対し、DP1は睡眠誘導に関わる腹外側視索前野の近傍の軟髄膜に限局して発現する<ref name="ref40" />。PGD<sub>2</sub>による睡眠促進作用は[[ | PGD<sub>2</sub>が睡眠促進物質であることはPGD<sub>2</sub>の[[側脳室]]投与により示された<ref name="ref37"><pubmed>10724461</pubmed></ref>。PGD合成酵素には[[L-PGDS]]と[[H-PGDS]]があるが、L-PGDSの[[阻害薬]]であるSeCl<sub>4</sub>とL-PGDS欠損マウスを用いて、L-PGDSが生理的な睡眠に関与することが示された<ref name="ref38"><pubmed>17093043</pubmed></ref>。さらにL-PGDS欠損マウスを用いた解析から、断眠によりL-PGDS依存的に脳内のPGD2が蓄積し、このPGD2生成が断眠後のノンレム睡眠のリバウンドに必須であることが示されている<ref name="ref39">Eguchi, N., Kuwahata, Y., Pinzar, E., Mochizuki, T., Urade, Y., Hayaishi, O. (1999) Sleep of gene-knockout and transgenic mice for prostaglandin D synthase. Sleep Res. Online 2 Suppl-1, 665</ref>。PGD<sub>2</sub>による睡眠促進作用はDP1を介することがDP1欠損マウスを用いて示されている<ref name="ref40"><pubmed>11562489</pubmed></ref>。L-PGDSは[[軟髄膜]]、[[脈絡叢]]、[[オリゴデンドロサイト]]に発現するのに対し、DP1は睡眠誘導に関わる腹外側視索前野の近傍の軟髄膜に限局して発現する<ref name="ref40" />。PGD<sub>2</sub>による睡眠促進作用は[[アデノシン]][[A2A受容体]]の阻害薬の腹腔内投与により阻害される<ref name="ref41"><pubmed>8650205</pubmed></ref>。以上の結果から、L-PGDSにより産生されたPGD<sub>2</sub>が軟膜に発現するDP1に結合し、[[くも膜下腔]]のアデノシン濃度を上昇させ、アデノシンA2A受容体を介して睡眠を誘導すると考えられている。一方、PGE<sub>2</sub>は[[覚醒促進物質]]であり、[[隆起乳頭体核]](tuberomammillary nucleus; TMN)の[[ヒスタミン]]神経細胞に発現したEP4に作用し、ヒスタミンの生合成と[[大脳皮質]]での放出を促進することが示唆されている<ref name="ref42"><pubmed>12853415</pubmed></ref>。 | ||
=== 疼痛 === | === 疼痛 === |